荒稼ぎ OF THE END
門をくぐり、ちょっと休憩するため立ち止まる。すると屈強な男達がずらりと並んで物珍しげに眺めてきていた。
心臓とまるかと思った。
今ヤバい量の死体を運んでいたのだと思いだし、さっさと納品するかとえっちらおっちら進み始める。
途中で何人かの冒険者がねぎらいの言葉と後で話がしたいと言ってきたがすべて無視。
多分パーティーに誘おうと思ったのだろうが、俺は冒険者になるつもりは無い。
冒険者ギルドの近くまで来たとき、職員らしき人がこちらを一瞥すると、慌てて帰っていった。
自分のギルドに納品されると思っているのだろうが、3分の1の呪いがあるので申し訳ないが冒険者ギルドには納品出来ないのだ。
まあその条件で契約したのはアイツらなので、知ったことではない。
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そんなこんなで無事納品し、傭兵ギルドのマスターと話ていると何故か、俺にあの理不尽な契約を結んだ受付嬢が涙目で話掛けてきた。
「あ、あの、すみません!!」
「あ?ああ、あん時の……」
「先日はとんだ失礼を致しました。謝罪いたします。ギルドマスターがあなた様と話がしたいと言っておられるので、どうか来て頂けないでしょうか」
「話ってのはどんな内容なんだ?冒険者になれってんならお断りだが」
「と、とにかくお越し頂けないでしょうか?お願いいたします!!」
「………」
「どうか、どうか……」
「行って見てはどうですか?本当に謝罪したいのかも」
「……分かった。話ってのを聞くだけきいてやろう」
「あ、ありがとうございます!!どうぞこちらへ……」
受付嬢に案内され、俺は冒険者ギルドの建物へ入って行った。
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「え、え~先日はウチの受付嬢がとんだご無礼をしでかしたようで、誠に申し訳ありませんでした」
「話ってのはなんだ?それを聞くために来たんだ」
「は、はい。あなた様のその強さを見込んで、あなた様と特殊契約を結ばせて頂けないかと……」
特殊契約とな?……いやまて、あんまり興味がない感じにしとこう。
「……特殊契約ってのはなんだ?」
「(食いついた!!)はい、力が認められた者を優遇する契約でございます。報酬を普通より高く、特殊契約を結んだ者という形で名を上げることができ……」
「契約書を見せてくれ」
「は、はい、直ちに!」
渡された契約書に目を通す。確かに優遇はされるようだが、微々たる物だな。
「結んでやってもいいが、3つほど条件がある」
「な、なんでしょう?」
「俺に対する指名依頼を極力断ること。俺に降格処分を適用しないこと。長期間依頼を受けなくてもギルドから除名しないこと。この3つだ」
「指名依頼の件は、その貴族が相手となると……」
「できる限りでいい。できる限り俺に通すな」
「そう言うことでしたら……しかし降格処分免除や除名なしというのは……」
「嫌なら良いんだ。傭兵ギルドに入る」
「ぐ……分かりました、それで結ばせて頂きましょう」
こうして俺の荒稼ぎは終了した。納品した魔物の値段はかなりの物で、あと暫くは働かなくてよくなった。
そしてこの件で都市の情報誌記者達がこぞって押し掛け、質問攻めにされた。
その時記者が撮った一枚の真写(真写水晶という水晶に画像を焼き付け、魔法で現像する写真のような物)のせいで、俺はとんでもない苦難に襲われることになるのであった。




