会議、というより発表会
「集まってくれてありがとな。早速会議を始めよう」
屋敷の一部屋で長机を囲んで会議が始まる。
「まず現状を整理しよう。火山の地熱によって湧き出た温泉を利用した温泉郷を造り、そこをミグレアの王女二人に宣伝してもらい、そんで宣伝によって商人が街に来た。こんな感じだな」
一旦言葉を切り、再度話始める。
「そして、まずこの場で宣言しておこう」
鋼牙は深呼吸し、全員を見渡す。
「俺はこの街を国するつもりだ。獣人と人族が共に暮らし、差別とかいう下らねぇ理由で苦しむ奴がいない国を」
「国、ですかな?」
「うーむ、僕にはよくわからんっ!!」
「私はコウガ様に着いていきます」
「わかんないけど、やるだけやってみたら?」
「コウガならイケると思うぞ」
「ま、戦争なら負けねぇだろうな」
「魔道具無双の次は建国ですか。チート異世界ライフを謳歌してますなぁ」
「コウガ氏の力であれば簡単でござるよ」
国を作るなんて突拍子もない発言だが、全員の心は一つだった。
『鋼牙なら、やりかねない』
そこで爺さんが発言する。
「そんな平和な国を作るのはいいと思うんじゃが、どうしてそんなことをする?なにか意味があるのか?」
爺さんは仲間になってから日が浅い為、鋼牙という人物をよく分かっていなかった。
「意味なんかねぇよ。暇潰しだ」
「………」
爺さんは絶句した。
「で、今回の議題なんだけど、ぶっちゃけ会議っていうよりこれからの方針の説明会だね。一回全部聞いて、それから意見を言ってほしい」
全員が頷いたのを確認して、話し始めた。
「まず、こないだここに来た王族の姉妹から連絡が入った」
「え?どうやって?」
「通信用の魔道具を渡したんだ。皆で使ってるのとは別回線な。で、通信の内容っていうのが、貴族のオバサマ達がこの街に来たがってるんだそうだ。でも馬車だと時間が掛かるうえに快適でも無いから、なんとかして欲しいとのことでな」
「そんぐらい我慢出来ないのかねぇ……」
「出来ないんだろ。で、なんとかする為に考えたんだが、護送……いや、輸送……いや、旅客運送するための乗り物を作ろうと思ってな。屋敷とか、そういう変な物じゃなくて、飛ぶ為に作られたものを」
「温泉郷とミグレアの間に運行機関を開通させる。それでマダム達をここに連れ込んで金を落として貰おうってことさね」
「いいんじゃないですかな」
ジェントーの言葉に全員が頷いた為、満場一致で会議は終わった。
その後、鋼牙は数日間ガレージ(街と一緒に建設した)に引き篭もり、新たな乗り物の開発に尽力した。
その間に街道を通った行商人や他国の冒険者が街に立ち寄り、じわじわと温泉郷の存在が広まって行ったのであった。
謎の街として取り上げられていたところが普通に街だったので、馬車で向かう人や貴族が着々と増えていった。
大分めちゃくちゃになってきたなぁ……まいっか




