宣伝効果
「大隊長!!街の入り口に行商人の馬車が来ましたぜ!!」
「おお、早速か」
世紀末なモヒカンの報告を聞いて、俺は内心でほくそえむ。
恐らく、やってきた行商人は姉妹からこの街のことを聞いたのだろう。
つまり、来たのは王族と話が出来る大商人だ。……と思う。
大商人であればかなりの『見る目』を持っているはず。この温泉郷に可能性を見いだしてくれるだろう。
きっと俺に会いたいと言ってくるから、それまで待っとこ。
「とりあえずほっとけ。妙な真似したら捕まえろ」
「へい!!」
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私は、目の前の光景が信じられなかった。
薄くもやがかかったような視界には、大都市に勝るとも劣らない立派な街並みが広がっていた。
綺麗に磨かれた石で舗装された道、見たこともない造形の家々、そして道の真ん中を流れる湯気が立ち上っている水路。
今まで様々な街、様々な国を巡ってきたが、このような街は見たことがなかった。
これは金になる!!
私は確信を持ち、部下に命じた。
「ここのトップに取り次いでもらえ!!今すぐにだ!!」
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読み通り、会いたいと言って来たので油屋のVIPルームに通した。
待たせてある部屋に入ると、豪華な身形をしているがデップリ太ったハゲの小男という小物感溢れる男だった。
「おお、あなたがここのトップですか!!」
「ええ、温泉郷にようこそ。ここのリーダー?の鋼牙です」
「私はコマーシャルでゴドルバ商会という商会を経営している、ローン・ゴドルバというものです」
ゴドルバ商会は聞いたことがある。コマーシャルに材料を買いに行ったとき、唯一日本の食材を扱っていたところだ。
「そんな大商人のあなたが、どういったご用件で?」
「単刀直入に申し上げると、この街に私共の店舗を置かせて頂きたいのです」
キターーーーーと内心でガッツポーズ。
「一体どうして?」
「先程、この街を見せて頂きましたが、私は直感しました!!この街はかなり大きくなる、と!!」
「ほう」
「獣人族と人族が共に暮らしていることに驚きましたが、街には活気がありました!!広大な畑、徹底した安全対策、見たこともない建築物や食べ物、そして様々な効能があるオンセン!!ここには将来性が大いにあります!!その将来性に賭けたいのですよ!!」
「なるほど、分かりました。どうぞ好きな場所に店を構えて下さい。大歓迎ですよ」
「ありがとうございます!!」
俺とゴドルバは固い握手を交わした。
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街の入り口付近で。
「ゴドルバ様、よろしいのでしょうか?」
「何がだ?」
「獣人族なんかが住んでいる街に、本当に人が来るとは思えないのですが……」
「大丈夫だ、私の目に狂いはない。この街は成功する。それに、もし成功しなくても、獣人の子供を数人拐えばもとは取れるしな……」
腹黒い笑みを浮かべるゴドルバと従者達。
その時、ゴドルバは見覚えのある三人を目にした。
「おや?あなた方はSランクの……」
「あれ?ゴドルバさんどうしてここに?」
「まぁ色々ありまして。あなた方こそ、どうしてここに?」
「ここに謎の街があるとの情報が入ったので、調査を依頼されまして」
「しっかし、こりゃどういうこった?獣人が我が物顔で歩いてやがるぞ?」
「おかしな街ですね」
「良いじゃないか。宝島みたいなものだよ」
街を制圧できる武力を持った三人は、攻め滅ぼして奴隷にする気まんまんであった。
「え、え、ちょっと?」
「数人戦闘能力が高い者がいるそうですから、注意して下さいね」
『魔導王』メビウスが杖を魔法を準備しながら言う。
「俺様に勝てる奴が要るわけねぇだろ?」
『破壊者』グランツが腰のマジックバックから巨大なハンマーを取り出す。
「それは同感だね。そんなヤツそうそういないよ」
『拳闘王』マテオが両手に籠手をはめた。
「それじゃ、いきますよ」
杖を構えるメビウス。
「逃げろ!!」
ゴドルバは従者と共に危険地帯を離脱した。
直後、メビウスの攻撃魔法が入り口のゲートを吹っ飛ばした。
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――ドォオオオオオオオオオオオオオオン……――
少し離れた所で爆発音がした。
「ん、隊長。なんか爆発しましたよ」
「うむっ!!ちょっと様子を見てくるっ!!」
――ドンッ――
マッスルが爆発があった方へ跳躍した。
「むっ!!!!幼女の危機!!!!」
幼女の悲鳴を感知したジェントーが凄まじいスピードで現場へ走って行った。
「んぁっ!?」
ベッドで昼寝していた鋼牙も起きた。
「あ~~?敵襲か?めんどくせぇ。あいつらがなんとかするだろ」
「ダメですよコウガ様。早く行って下さい」
「…………え?なんでお前いんの?」
「ほら早く!!早く!!」
「は、はい……」
困惑しながらも窓から現場へ飛び立った。
「ん?なんだあいつら」
爆煙が立ち上る現場に、不審な三人組がいた。
「商人の関係者でしょうか?」
「おお、来たかジェントー」
「幼女の危機と聞いて」
――……ドンッ――
「おおマッスル。来たか」
「うんっ、爆発音が聞こえてねっ。あの三人は誰だっ?」
「わかんね」
三人の様子を伺っていると、あっちも俺達に気付いたらしい。
「お、戦力みたいな奴らが出てきたぜ?獣人じゃねぇみてぇだが……」
「三人いるね。僕はあの剣を持ったおじさんをやろう」
「私はあの頭の悪そうな男を」
「俺は黒いチビだな。よし、行くぜっ」
魔法使いっぽい奴がマッスルに攻撃。
防御したが吹き飛ばされ、飛んで行った方向に追撃しに行った。
ジェントーの方には凄いスピードで男が殴りかかっていった。
俺はこのマッスルの色ちがいか。
「やるかぁ」
俺は魔道具を起動した。




