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努力を知らない卑怯者  作者: 自宅警備員Lv9999
第六章:建国
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おもてなしO-MO-TE-NA-SI



「コウガ様、何故情報ギルドへ寄ったのですか?」


「んー? ちょこっといたずらをな。へっへっへ、広まったときにどうなるか楽しみだ」


 邪悪な笑みを浮かべる鋼牙に不思議そうに首を傾げるファル。


「じゃあ帰ろうか。俺達もお出迎えの準備だ」


「はい!!」


 ファルを背中にしょって、村へ向けて飛び立った。


「コウガ様、大丈夫でしょうか?」


 空中でファルが話し掛ける。


「何が?」


「温泉郷です。うまく広まればいいですが……」


「心配すんな!!ジェントー達にも冒険者に広めて貰うつもりだし、この風呂がねぇ世界だ。世の女性達はこぞってあの温泉に行こうとするぜ」


「そうですね……」


「俺が大丈夫って言ってんだから、多分大丈夫だよ」


「……コウガ様はいつでも自信たっぷりですね」


「俺は、お前含めた仲間がいれば、なんとかなるって確信してっから」


「はい!!お任せ下さい!!」



ーーーーーーーーーーーーーーー



「お前達。これからVIPの客がやってくるが、準備は完璧か?」


「ええ。特別なユカタは完璧な出来よ」


「温泉街のセッティングは出来てるぞっ」


「温度の調整は完璧だぞ」


「食事の用意も完璧でござる」


「魔物の駆除もしておりますぞ」


「うむ!!じゃあお出迎えに行く前に、もう一度復唱だ!!」


『おう!!』


「おもてなしの精神は」


『愛と感謝と思いやり!!』


「おもてなし?」


『O-MO-TE-NA-SI!!』


「っしゃぁ、行くぞ!!」


『おう!!』



ーーーーーーーーーーーーーーー



――ゴゴゴゴゴ……――


 相変わらず凄い音を立てながら、温泉宿『油屋』の飛行船発着場にミグレア王室の飛行船が到着した。


「コウガーー!!来ったよーー!!」


「お世話になります、コウガさん」


「ようこそいらっしゃいました。この度はこのような田舎に足を運んで下さり、誠に有り難うございます。精神誠意おもてなしをさせていただきますので、ゆっくりしていって下さい」


 いつもの中二コートを脱ぎ、タキシードに身を包んだ完全真面目モードの鋼牙。


 このモードはどんな人が見ても真面目に見えるが、生粋のおふざけ魂が邪魔をするので最長で1日しか持たず、無理に続けるとストレスで口内炎が大量発生するという危険性を含んでいる。


「えっ、あ、その、お願いします……」


「お、お世話になります……」


 有無を言わさぬ真面目なオーラに姉妹の体は固くなる。


「…………」


「…………」


「…………」


「だーーーーっ、止めだ止め!!こんなん蕁麻疹出るわ!!」


 長いこと敬語を使わなかったので持たなかった。


 しかし、自分達が親しみやすい鋼牙が戻ってきたので姉妹の表情は明るく、柔らかくなった。


「もーーー、びっくりしたよぉ。急にスッゴい真面目っぽくなるんだもん」


「ふふふ、思わず固まっちゃいましたね」


「いやー、やっぱこういうのは真面目にやっとかねぇとって思ってたんだけど、無理だったわ。ま、ちょこっと真面目にな」


 エヘン!! と咳払いし、呆れ顔の仲間の先頭に立った。


「精神誠意おもてなしさせていただきます」


『どうぞ、ごゆっくり』



ーーーーーーーーーーーーーーー



 まず初めに、とりあえず浴衣に着替えて貰う。


「まず、浴衣に着替えてくれ」


「「ユカタ?」」


「俺の故郷の伝統的な服だな。この街では浴衣を着るのがルールなんだ」


「へぇー」


「ルールならば仕方ありませんね」


「じゃ、着終わったら玄関ホールへ宜しく」


「着せてくれないのー?」


「そうですよ。着方が分かりません」


「大丈夫。少し恐ろしいオネェさんが着せてくれるから。じゃな」


「「……チッ」」


 浴衣は温泉などで貸し出されている地味なやつと、縁日などで着る綺麗なやつがあるのだが、日本人三人組で話し合った結果、綺麗なやつのみを浴衣として広めることにした。


「終わったよー」


「ど、どうでしょうか」


 数分後、玄関ホールに颯爽と現れた姉妹は、それは可愛らしかった。


 ミリアムはその天真爛漫さをモチーフにしたオレンジの布地に大小様々な蝶々の模様が編み込まれた明るい浴衣。


 プリシラはその冷静沈着なクールさをモチーフにした青の布地に桜の花弁が舞い散る様子が編み込まれたクールな浴衣。


 どちらも外見的にもイメージ的にもベストマッチしており、内心でガッツポーズをする。


「二人ともよく似合ってる。可愛いよ」


「やったぁ!!」


「ありがとうございます」


「それにしてもこの服、とっても綺麗だけど動きにくいね」


「綺麗なんですけどね」


「まぁ、運動することを考えてないからな。でもまぁ、大丈夫だ。不貞の輩だったり、凶暴な魔物だったりは絶対に現れないから」


 相変わらずのヘラヘラした軽い言葉だが、絶対の信頼を寄せられる頼もしい言葉だった。


「じゃあ、危険だったら守ってね!!」


「コケそうになったら助けて下さい」


「任せろ。お客様には傷一つ着けさせねぇよ」

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