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努力を知らない卑怯者  作者: 自宅警備員Lv9999
序章
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すべての始まり



「あ゛~ガッコ行きたくね~」


 学生であれば誰しも思うことをぼやきながら重い足取りで学校へ向かう。


 学校自体は嫌ではない。いや、嫌だがそれほどではない。しかし、俺は世に言う『ボッチ』であるため、学校に居ることが嫌なのだ。


 そんなこと言っても友達ができる訳ではない。友達が出来ない理由なら分かっている。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――


 美少女と交差点でぶつかるとかそういったことは特になく学校へ到着、昇降口で靴を脱ぐ。


 教室内へ入ると全員が一瞬こちらに目を向け、一瞬で目を反らす。毎日この瞬間の居心地が最悪だ。


 何時もであればこのままHR(ホームルーム)が始まり、何事もなく授業が進むはずだったのだが、


「鋼牙君おはよう!」


 俺に声をかける人がやって来た。

                                      

 八雲(ヤクモ)(カエデ)。一週前のクラス替えで同じクラスになった。我が高校の三大美少女の一人である。


 三大美少女のあとの二人は俺の知らない先輩と後輩らしい。名前は聞いたが聞いたことない名前だった。


 それにしても何故、俺の妹が入っていないのだろう。はなはだ疑問である。


 そんな人気者が何故俺のようなボッチで暗くて顔怖くて言葉遣いが悪い奴(泣きたくなってきた)に挨拶するのか。それは誰にも分からない。俺にも分からない。


「おう、おはよう。八雲さん」


 ヤバい、殺意がヤバい。なんでお前なんかとって感じの殺意がヤバい。そんなことは俺が聞きたい。


「鋼牙君ひどいじゃん!!朝は一緒に行く約束してたじゃん‼︎」


 八雲さんは何故か俺によく絡んでくる。おかげで学校では殺意の視線を向けられ、仲良くしていたオタク達にもやんわり追い出された。


 オタクの中に美少女がいたら俺と同じ殺意を向けられるんだそうな。なんて薄情なやつらだろう。


「いや、本当は行こうとしたんだがよ、妹がこけて怪我してな。手当てしてたら遅れちった」


「妹さんが?」


「うん、なんか末っ子がこけて、手当てしたらもう一人こけて、手当てしたらまた一人こけて、って感じで連鎖してな」


『にいにーーーーーこけたぁーーーーーー助けてぇーーーーーーー‼︎』


『兄さぁーーーん、こけたぁーーー痛いよぉーーーー‼︎』


『お兄ちゃぁーーーーん、手当てしてぇーーーーー』


 自分でやれば良かろうに。


 ここで急に女子がざわめき出す。


 ある男子が一人、登校してきたのだ。


 クラス1、いや高等部1のイケメンにして文武両道のモテ男、聖岳正義(ひじりまさよし)


 女子の多くは正義に心酔しており、毎日のように告白しているらしい。しかし正義には正義ハーレムという組織が存在し、告白はだいたい彼女達が妨害している。


 ツンデレツインテールの……だれだっけ。


 ゆるふわ巨乳の……だれだっけ。


 クールビューティーのし…清水?さん。


 こいつはギャルゲーの主人公かよ。おい。天は二物を与えずって言うけど嘘だな。


 あ、正義がこっち見た。ああ来んな来んな。


 「八雲さん、御早う」


 おお、すげぇイケメンオーラ。おはようが漢字だったぞ今。


「うん、おはよう聖岳君」 


 正義はチラッとこちらを確認した後、僅かに顔をしかめた。


「八雲さん、君の優しさは尊敬するがこいつと関わるのはやめたほうがいい」


 正義が初っぱなから飛ばしてきた言葉は非常に棘があった。


「ん?なんで?私が話したいから話しかけたんだよ。正義君が言っている事は分かんないかな」


 惚れてまうやろーという言葉を飲み込み、反撃する。


「おいおい正義、ひでぇじゃねぇか。やっと出来た友達候補をとらないでくれ」


「君は黙ってろ。それと、君に友達がいないのはそれ相応の行いをしたからだぞ」


「記憶にねぇな」


「……八雲さん、こいつは昔、一人の人間を自殺に追い込んだんだ。正真正銘のクズだ。関わるのはやめたほうがいい」


 やることなすことすべて正しいような名前ではあるが、実際のところこいつは自分の正義を信じて突き進むめんどくさい奴だ。


「でも……」キ~ンコ~ンカ~ン~コ~ン


「は~い、席についてくださーい」


「残念、俺の昔話はまた今度だ」


 チャイムと共に担任の御坂先生が入ってきたため、しっしっと正義を追っ払う。


 いつも通り先生がHRを始めた。終わるまで寝るとするかと、そう思って体を伏せる。


「黒鉄君、体を起こしてください…」


「ああ、すいません」


「体を動かす素振りくらいしてください…」


 いじめアンケートというとてつもなくどうでもいいもののお話を聞き流していると


ブウン


 という音がした。


「おっおい、なんだこれ!?」


「何!?何何なんなの!!?」


「どうなってるの!?」


「異世界召喚キタァアアアアア!!」


「まさか本当にあるとは……!」


 女子の悲鳴と困惑の声、オタクの歓声に椅子と机が倒れる音が混じってドッタンバッタン大騒ぎになった。


 体を起こすと教室の床いっぱいに広がった輝く模様が目に飛び込んでくる。


「え……?」


 脳ミソが処理を終える前に、俺の視界が白く塗り潰された。

どうもどうも、自宅警備員でございます。この小説を読んで下さった方に最大級の感謝を。


おもろかったで。続き気になる。そう思って下さった方はよろしければブクマ、感想などお願いします。

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