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ゴミ捨て場のレイナ  作者: 凪
第2章 キセキの歌声
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レッスン開始!

「それじゃ、スタジオを案内するわね」

 リビングを出て、笑里は地下の階段を降りて行った。レイナは後をついていく。


 スタジオに入ると、そこには大きな木目調のピアノが置いてあった。


「これ、ピアノ?」

 レイナは目を丸くする。


「そうよ。グランドピアノって言うの」と笑里は蓋を開け、椅子に座った。

 それから、おもむろに曲を弾きはじめた。


 ブラームスのワルツ第15番。1分ちょっとの短い曲だが、優雅なメロディを叙情豊かにピアノは奏でる。

 いつの間にかレイナの目から涙がこぼれ落ちた。


 笑里は曲を弾き終わると、レイナがボロボロ涙をこぼしているのを見て驚いた。

「どうしたの? お腹でも痛くなった?」

「違うの」

 レイナは大きくかぶりを振る。


「こんな、きれいな曲聴くの、初めてで」

 しゃくりあげながら、レイナは袖口で涙をぬぐう。

「あらあ」

 笑里は感激したように口に手を当てた。

「私よりも、裕のほうがよっぽど上手なのよ」とティッシュをくれる。


 レイナが泣き止むのを待つと、「それじゃあ、レッスンを始めましょう」と明るい声を出す。


「まずは、ウォーミングアップから。私と同じように声を出してくれるかしら」


 笑里に合わせて、「アアアアア」「マママママ」と発声練習をする。

 1時間も練習すると、レイナはさすがにクタクタになった。 


「どんな感じ?」

 裕が顔をのぞかせた。


「そうね、喉を使わないで歌えてるから、ビックリした。どうやってできるようになったの?」

 笑里に聞かれても、レイナは首を傾げるだけだ。

「自然と出来るようになったんなら、どうやってできたのかなんて、分からないだろうね」


「普段は、どれぐらい歌を歌ってるの?」

「毎日。洗濯してるときとか、料理を作ってるときとか。歌ってると、ゴミ捨て場じゃない別の場所に行ける気がするっていうか。だから、トラックに負けないように歌うんだ」


 レイナの言葉に、二人は「そう」としか答えられなかった。


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