5.『とれちゃうとれちゃう~引っ張らないで』
店員さんがメニューを見せてくれながら
「ちょうどランチタイムでパスタセットがお得ですよ。」
と今日のおススメメニューを説明してくれる。
メインのパスタと、パンかライス、スープ、サラダ、デザート、食後の飲み物が一緒になっている。980円?値段も彩香の言うことにはめちゃめちゃ安いらしい。
でも日本についたばかりの私にとってそれが
『高いのか?』
それとも
『安いのか?』
全然わからない。
皆パスタランチで良いって事になり一通りメニュー内容を決め料理が出てくるまで色々お話し
パパと静香さんはお互い事故で亡くしたもの同士気があってしまって
お互いに涙を流しながら心情を語り合っている
私も2人の話を横で聞いているだけで
心が
『チクリ』
『チクリ』
と針を突き刺されるように痛む
なんか静香さんと、うちのパパこうしていると夫婦みたいだなって思ってしまう。
私が
「そうしていると静香さんとパパ夫婦みたいだね。」
と私が思わず言うと・・
二人共、真っ赤になってしまった。
『なんか悪いこと言っちゃったかな・・・・』
しばらくの沈黙・・・・
パパが思い出したように・・・
「騙しているようで申し訳ないので、ここだけの話しですけど・・・・」
と一旦話を止めて
大きく息を吸った後
「実はリーナの事娘と紹介しましたが、実は男の子なんです。」
と打ち明けた。
その途端・・・
一瞬彩香も!!
静香さんも固まったけれど、
次の瞬間彩香は
「ええええええええええええええええええええええええええええぇ~男の子・・・」
と驚きの声をあげていた。
そして次の瞬間!!
彩香は突然に私のワンピースのスカートの中に手を入れショーツの中に手を入れてきちゃったの。
彩香は、突然大きな口をあけたまま、
『目もまんまるに見開いたまま固まってしまっ』
突然の彩香の行動に!!
私は
「ひゃ・・・」
声にもならない位の悲鳴を上げた
静香さん、パパのほうからはテーブルの下で彩香のした事が見えない!!
突然彩香と、
私の視線があった瞬間
思わず二人同時に
「あはああああああああああ~」
「きゃはははあああああ~」
と笑い合ってしまう私達
まさか・・
ワンピースのスカートの中に手を突っ込んできて握られるとは思っても見なかったんだもの!!
『想定外の事態!!』
彩香なんて涙を流しながら笑っている。
こんなに大胆に行動されるとはずかしいと言う気持ちも出てこない。
しばらく彩香と私は顔を真っ赤にしながら笑い合っていた。
静香さんも、パパも彩香がしている事が見えないから、なんで笑っているのかわからないようだ。
その間も彩香は、大きくなった私の・・・を握ったままだ。
「男の子だったんだ。」
と彩香は私聞いてきた・・・
聞かなくても・・
『解るよね?』
私のアレ・・握ってるんだから・・
そう思いながらも
「私ってずっと女の子として育てられたから、男の子って言われても実感湧かないの。ママのパパも生まれてくるの女の子だってお医者さんから聞いててね。女の子の服や、ベビー用品かっちゃってて、・・・名前も女の子の名前しか考えてなかったみたい。生まれてきたら男の子だったんでびっくりしちゃったんだって。でも私が凄く可愛くてママそっくりだったからそのまま育ててしまったらしいんだ~。私は、生まれてきてからこのままだから、そういう事気にした事無かったの。誰にもそういう事言われなかったしね。」
と私は今までの事を彩香に話した
そんな私に
「リーナの姿見て誰も言わないよ。男の子だなんてさ~~。どう見ても、まったく女の子にしか見えないもん。言われないはずだよ。」
パパと静香さんに聞こえないように彩香は小声で私に話してくれる
そして、私は彩香の耳に顔を近づけ静香さんとパパに聞こえないように小声で
「そろそろ握った手を離してくれるとありがたいんだけど。さすがに私もこのままじゃ恥ずかしいよ・・あ~や~か~」
と囁いた。
彩香も私の耳元に唇を近づけ小声で
「ご・・・・ごめん」
とは言ってくれたけれど
「すごいね」
と囁いて私の・・・を握った手を離してくれる
『すごいねって・・・』
私・・なんと言えば良いの?
私は彩香の頬にかをを近づけ耳元で
「あやかのえっち~」
と囁いて彩香のほっぺに軽く
『キス』
してあげると一瞬で真っ赤に染まってゆく彩香の表情
彩香ってこう見ると可愛い~
パパはその後、私の生い立ちから、今この姿のままでいる事の説明をしてくれた。
パパも、ママも私が生まれてくるまで、女の子だと思って名前も、女の子の名前しか考えてなかった事。
着るものも女の子の服を用意していた事。
生まれた私がすごく可愛くて女の子みたいだったからそのまま女の子の状態で育ててしまった事。
そして事故の事。
ママが亡くなって、パパが何も食べすにやせ細っていたとき、ママの仕草、ママの喋り方、食事の味全部そのままに再現してこのままお母さんの面影のままでいてくれると約束して元気づけてくれてすごく嬉しかった事
パパは全部話してくれた。
静香さんは、パパの話を聞き終えると私のところに歩いてきて
「リーナちゃんよく頑張ったわね。辛かったでしょ。」
と抱きしめて涙を流しながらハグしてくれる
そうしているうちに、料理が運ばれてきた。
コース料理みたいに、最初は私と彩香はパン、スープ、サラダ
静香さんとパパはご飯、と味噌汁、サラダ
食べながら、彩香は静香さんに
「お母さん私リーナみたいな妹が欲しい。」
と突然真剣な顔でお願いしてきた。
そして驚いて固まっている静香さんに
「お母さん神城さんと結婚しちゃいなよ。そっしたらリーナと私姉妹になれるからさ~」
って爆弾発言をする彩香!!
すると静香さんが
「彩香のこんな楽しそうな顔見るの初めてね。パパが死んでから、苦しい事ばかりで生きてるのが辛かった。彩香がいるから私はそれだけを支えに今日まで生きてきたの。こんな楽しい一日が送れるなんて私も思わなかったわ。私も神城さんと同じでまだ亡くした主人の事が忘れられないんです。なので亡くしたもの同士で共同生活してみませんか?
それで私も神城さんもこの人と結婚したいって思えるようになったら結婚しても良いかなって思うの。神城さん達さえ良ければですが?」
って静香さんは私達に提案してくれる。
『亡くしたもの同士での共同生活』
私も・・
そして多分・・パパも・・
この前まで・・
そう・・
まだ2ヶ月も経っていない間に、ママを忘れてしまう事なんて出来ない
でも・・
私は、こんな知らない人達の中で一人で生活するには不安
もしも・・・
もしも!!
彩香みたいな子が一緒なら楽しいかも!!
私は
「パパ私は静香さんの提案通り、共同生活してみたい。まだまだママの事私は忘れる事なんて出来ないし、パパもそうなんじゃないかな?
静香さんが言ったように、一緒に住んでみてパパと静香さんが結婚しても良いかなって思った時に結婚すれば良いんじゃないかな?パパはどう?」
ってパパに聞いてみる?
パパは
「綾小路さん、私としては有難いのですが、今日出会ったばかりの通りすがりの見ず知らずの私達と一緒で良いのですか?」
と恐縮しながら静香さんに聞いている。
静香さんは彩香さんの顔を優しい笑顔で見つめながら
「毎日悲しそうに沈んでた彩香が、こんなにも嬉しそうに笑うのを私初めて見たんです。この子が望んでいる事だったら何でもしてあげたいの。此れから一緒に生活してみましょうよ神城さん」
そんな静香さんの提案に
「私も綾小路さんさえよければ是非おねがいしたいです」
と静香さんに頭を下げているパパ。
「やった~~今日から一緒~~!!」
って静香さんとパパの話が纏まった途端に彩香が私に抱き着いてくる。
静香さんは
「こんな彩香見るの初めてよ。」
と微笑んで彩香を見ながら嬉しそう
そんな姿を見ると静香さんも苦労してたんだなと思ってしまう私。
ちょうど食べ終わった頃、熱々のパスタが運ばれてきて、食べ終わったお皿は下げてた後に熱々のパスタと取り皿を並べてくれるウェイトレスさん。
パスタは結構量がある!!
それで取り皿に分けて食べるんだろう。
早速私に抱きついていた彩香が皆の取り皿に出来たてのパスタを取ってくれる。
取りながら皆の表情をみながら量を決めているっぽい!!
『何も考えていない風に見える彩香なのに、ちゃんとそんな気配り出来るって凄いってかんしんしちゃう』
私もお皿に盛られたパスタの量も丁度良い感じ
私の表情を見て量を決めれるってある意味凄い!!
私は彩香の取り分けてくれた出来たてのパスタを早速口に運んでみる。
そんな出来たてのパスタは、熱々ですごく美味しい!!
私は思わず
「美味しいね」
って無意識に言ってしまってた私
そんな私に
「うんうん熱々のパスタ最高だね」
って満面の笑顔で彩香も私に返してくれる
パパと静香さんも美味しそうに仲良くおしゃべりしながら食べている。
でも、段々混んできた店内のお客さんの視線が気になる。
彩香がすかさず
「さすがにリーナは綺麗だから目立つんだよ。髪は金色でサラサラだし、目は透きとおった青色、お肌はめちゃめちゃ白いしすべすべだし、こんなにも可愛いし、ホント天使だよ」
彩香にベタ褒めされるとさすがに恥ずかしい。
顔が火照って真っ赤になってくる。
静香さんも
「リーナちゃんは本当に天使ですね。リーナちゃんのおかげで私たち家族が出会ったんだもの」
って言ってくれるけれど・・
私は天使なんかじゃない!!
普通の女の子!!
彩香も
「本当~私たち家族の為に舞い降りた天使・・・だね」
って言ってくれるけれど・・
『私が天使ならば・・・ママを死なせたりはしなかった!!』
そんな思いが心を過り
心が
『ズキン』
と痛む・・・
つづく・・・