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それきり女医からの返事は途絶えた。


医療にその解を求める途は最早絶望を意味したと悟る。私はしばらく心を空にして家人との思い出だけに浸ることを決意した。家人に会いに行っても彼女は語らず虚ろな目は誰とも認識の気配さえなく廃墟と化した物体そのものであり私にとっては家人の手を握る行為しか為す術を持たなかった。そこに広がるのは家人との遠い思い出が広がるのみであり、自分自身の懺悔に似た告白が染み渡るのであった。


家人との出会いは冬の季節だった。

「あ、私の誕生日の日だわ」

と、家人が最初に私に告げた言葉である。


私はそのときスキー骨折をして入院していた。右足にはめられたギブスには装着した日付が赤いチョークで記されていたのである。当時私は松葉杖を突きながら最初入院した時同室だった仲間の部屋まで毎日のように出入りしていた。仲間は階上に引っ越したので私は毎日階段を片足で上り下りしていた。仲間の部屋にはテレビがありちょうど「札幌オリンピック」が開催されていたからである。

家人はその階の看護師だった。



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