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第二章(2)

(第十九回)


特別養護老人ホーム。

「特養」と呼んでいる。

特養はケアマネとこれまで何度も交渉し続けていた。


その特養「I」は家人にとって「終の棲家」となる。


家人はいつも一戸建てに住みたいと言っていた。

「死ぬまでに一度でいいから一戸建てに住みたいわ」

「私の夢は一軒家で暮らすこと」

「マンションは嫌なの」


k病院を退院すると皮肉にも我が家であるマンションにも戻れず

そのまま「特養」送りになってしまったわけである。


もう回復の見込みはなく余生は出来るだけ本人の苦痛なく過ごせるところ

として手配された。


「治る病気は治る。治らない病気は治らない。医者の知ったことではない」

あのセリフが浮かんでは消える。

「すべての病気に医学で治す力などない」


原因はあれこれと…

論理だけが夥しい数だけ積み重ねられ

臨床実験が繰り返され

画像診断に正当性が肯定され

本人でない他人が「結論」を下す世界…


ふざけるな!


頭に怒りの火花の導火線がさく裂し、

「毎日、家人の様子を見ているのはこの俺だ!お前らが目にしているのは

これまでの診断データは薬石の数量だけではないか」

と言いたかった。


家人はよく言っていた。

「頼むからお医者さんと喧嘩しないでね」


しかし。

薬漬けで日に日に進行していく「病魔」の正体を単に「文献」に頼っていいものだろうか。

突然という根源には

何の解答もなされていない。

彼らの「文献」には必ず仮定としての「論理」が常に存在している。


「論理」は推定であり、必ずしも「真理」とは言えない。

作り上げられた「論理」に憤りを覚える。

だから、

「すべての病気に医学で治す力などない」


反発して、

悲しむ以外に道はなくなってしまった。






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