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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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ドラゴンキラー掌編

魔女

作者: あびすけ






 彼女は焔の中で踊り、血の中で踊る。




 ジュリアーヌは男の睾丸を踏み潰す。絶叫。ジュリアーヌは女の眼を抉り取る。嗚咽。ジュリアーヌは男の皮を剥ぐ。悲鳴。ジュリアーヌは女の腸をゆっくりと引きずり出す。慟哭。ジュリアーヌは子供の頭蓋を砕く。軽快な音。ジュリアーヌは老人の舌を切り取る。滂沱とした血により窒息するコミカルな音。ジュリアーヌの周りには死体しかない。血と肉しかない。肘まで血に染めた彼女は両腕を広げ華麗に踊る。「ここがアタシの舞台」と魔女は高らかに宣言し「アタシはここで舞踏ダンスをするの」と不気味に嗤う。ほのおが舐める。すべてを舐める。生きとし生けるものすべてを呑み込み、苦痛と絶望で世界を焦土にかえる。「アタシは魔女マギス」ジュリアーヌは焔の中で踊り、血の中で踊る。「アタシはガルノ」ジュリアーヌは異形の杖を振り回す。熟練の踊り子のように杖が踊り出す。「そう、獣」歯を剥き出し、魔女は絶叫するように嗤う。あらゆるものを殺し、ころし、ころす。彼女の二十歳はたちの誕生祭に集まった人々は彼女へのプレゼント。生け贄といってもいい。極大魔法。死体、死骸、遺骸。黒い焔が魔女を包む。燃え盛るその姿はおそろしい。まるで夜叉。まるで羅刹。まるで獣。


 魔女は人を棄てた。


 人を棄て何になったのだろう?


 少なくとも彼女は踊る。


 そして獣とは踊るものだ。血に酔って踊るものだ。踊らない獣は獣ではない。


 ジュリアーヌは今日も踊る。焔の中で踊り血の中で踊る。


 魔女に後悔などあり得ない。


 なぜなら彼女に過去などないから。






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― 新着の感想 ―
[一言] ジュリアーヌの過去編かな思ったら予想以上の短さと過去編ですら無かったw ただの転換時の一幕って感じだな
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