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オリーブとアクアリウム  作者: チューバ
3/4

探索(?)開始

ほんっとうにすみませんかなり遅れました!!

「暴力…え、闇医者?ど、どういう…」

「言葉のままの意味だよ、深く考えんな」


そういって、辺りを見渡しながら歩き始める綱手。そのフラフラとした風貌からは危険人物の気配はしないが…


「し、シトラスさん!?さっきのあれって本当なんですか!?暴力団だとか闇医者だとか…」

「ざ、残念ながら…」


恥ずかしそうなうんざりしたようなあいまいな表情で。シトラスが答える。


「なんでも、上の人と繋がりがあるとかなんとかでスタジオに居ることがありまして。それで顔だけは知ってるというか・・・」

「こ、怖い・・・」


思いがけなく、芸能界の裏と表の事情を聴いてしまった感じである。


「と言うかあれ?なんで綱手さん僕のこと芸能人って分かったんです!?」

「あぁ?なんでっておま、『水曜どうだろう』出てるじゃねぇか」


地味に楽しみなんだよアレ、と。

呑気な口調で答えた綱手は、しかし相模を見ることなく周囲を物色している。

その眼光はとても鋭く、それだけで射殺されそうな凄みがある。


「・・・あの、」

「とりあえず、状況確認も兼ねて、そこらに意味深に撒かれてるメモでも漁ろうじゃぁねえか」

「メモって・・・あ」


綱手の視線をたどって、シトラスと相模は気付く。

自分たちが突っ伏していた以外のテーブルに、メモ用紙が置かれているのだ。


「・・・なんで、水中なのに紙が濡れていないんですか?」

「シトラスさん、ここで呼吸できてる時点でそれを言うのは野暮じゃ・・・」

「ま、所詮は夢かなんかだろうさ、深く考えんなや」


・・・なんなのだろう、この男。やけに場慣れしているというか、動じないというか。

ただそれだけなのに、相模はその男に不穏なものを感じた。


「さて、何が書いてあるんかね?」


紙を広げて、綱手がそれを見る。

それに習って、シトラスと相模も別のメモを見遣った。




ーーーーー広場のテーブルのメモを入手しましたーーーーーーーー





「ようこそ!ここは楽しい遊園地。最期までお楽しみください。」


「立ち入り禁止ゾーンは危険ですので、足を踏み入れるのはご遠慮くださいね。」


「賢さの安売りはいけませんよ。よく考えるように。」


「ケガなどのないよう、気を付けてお楽しみください。」


「彼らは賢い。対価を支払えば病など簡単に治すことができる。」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「・・・なんなんですかね、これ」

「いや・・・」


なんというか、子供が書いたような幼稚な、それでいてなぜか説得力がある文章だ。

こちらの身を案じているようでいて、逆のことを望んでいるような・・・


「子供騙しだな、くだらねぇ」


その言葉とともに、綱手はビリビリとそのメモを破り捨てる。


「ちょちょちょ!!何やってるんですか綱手さん!!」

「どしたサーバードちゃん、そんな大慌てで」

「いやだってこのメモ、そんなことしたら読めなく」

「大丈夫だよ、全部覚えてっから」

「そういう問題じゃなく!!」


ヒステリーになるサーバードに、それをのらりくらりとした様子で躱す綱手。

シトラスはああ言っていたが、仲はそれほど悪くないのかもしれない。


「で、だ。まずはどこに行く?」

「どこに・・・行くって・・・ゼェ・・・どういうことですか・・・」


声を荒げて息を切らすサーバードに、シニカルな笑みを浮かべて綱手は言った。


「どこにって、ここは楽しい楽しい遊園地だぜ?楽しまないと損じゃねぇか」


シトラスと相模は、その傍若無人ぶりに唖然とするしかなかった。


///////////////


「で、最初はどこから遊ぶ?」


のんきな調子でつかつかと歩く綱手。その発言とは裏腹に、眼光は鋭いままだ。


「メモと一緒にあったマップを見る限り、そんなに広いわけではないみたいですね…遊具も、メリーゴーランドと観覧車位みたいですし」

「え、シトラスさんもこの状況慣れたんですか?慣れてないの僕だけですか?」


その後ろを調子を取り戻したのかついて行くシトラスと、まだ慣れない様子の相模。なんだかんだ言って、彼も多少は慣れてきているらしいが。


「メリーゴーランドか、アレだろ?馬に跨がって上下するやつ」

「それ何か変な意味に聞こえるんですが…?」

「今夜辺り、俺のメリーをGOランドしてくれてもいいんだぜ?」

「お断りします!!ていうかどういう意味ですか!?」

「あなたたちホントは仲良いでしょ…ほら、そのメリーゴーランドですよ」


駄弁りつつ歩いてたどり着いたのは、話題に上がっていたメリーゴーランドだ。思っていたより規模は小さいが、それでも大人のシトラス達が乗れるくらいの大きさである。


「これ…動くんですかね?」

「スタッフさんはいないみたいですね…お魚は一杯いますが」

「いや?あいつだろ、スタッフ」


見ると。

怯えたようにふるふると震えながら一匹の生物が近づいてくる。


「…ナマコ?」

「namc○?」

「綱手さん、一文字足りてない…」


しかも伏せ字になってない、自重しろヤクザ。


「…いや、ナマコがスタッフな訳ないじゃないですか。メリーゴーランドどころか、会話すらできませんよ」


近づいてプニプニとナマコを触りながら、シトラスが言う。

水族館に魚のついでに飾られている、ごく普通のナマコだ。普通のナマコよりも巨大で、さらに体の一部が大きく盛り上がっているが、それを除けば何てことはない海洋生物である。


「それとも綱手さん、この子が喋るっていうんですか?それこそ夢でもない限り…」

「あの…の、乗りますか?メリーゴーランド…」

「ひぃぇいあぃ!?喋った!?」


まるでコントのような流れで驚くシトラスをよそに、綱手と相模もナマコに近付く。


「喋ったってシトラスさん、このナマコがですか?」

「は、はい。メリーゴーランド乗るかどうか聞かれました」

「シトラスちゃん、ちょい、それこっちに」


綱手はシトラスの横にしゃがみ、ナマコの体のあちこちを触りはじめた。ナマコは「ひ、ひぃぃ…」と小さく悲鳴をあげ、されるがままにされる。


「ちょ、綱手さん、そんなにつついたら可哀想ですよ」

「まってなシトラスちゃん、これ割りと重要なことだから」

「重要って…」


やがて、満足したのかすくっと綱手が立ち上がり、顎に手を当てぶつぶつと言い始めた。


「つ、綱手さん?なにか分かったんですか?」

「ん?あぁ、とても重大なことが分かった。意外にナマコってふにふにしてて気持ちいいんだな」

「…は?」

「いや思った通りだ。この触り心地イイわ、めっちゃ足で踏みたい」

「くっだらねぇぇぇぇぇぇ!!」


ちなみに当のナマコは、地面でがくがく震えていた。シトラスだけでなく、遠目で眺めていた相模ですらちょっと申し訳なくなるくらい。


「で、だ。ナマコ君、大人3人だ、メリーゴーランドの空きはあるかい?」

「ひ、ひぇ…あ、ありますが…」

「んじゃ頼むわ、それじゃぁ早速、イクゾー」

「…シトラスさん、あの人何でこんな呑気なんですか?死ぬ気ですか?」

「わ、私に聞かないでください…」

「おら二人とも早くしろ、馬が逃げるぞ」

「いや作り物ですし、あんな状態で生きてるわけが」


------------------------------


「生きてますって!!絶対生きてますってあの馬!!」

「シトラスさんおち、落ち着いて!!」


メリーゴーランドから降りた一行は、そのまま降りた先で言い争いになっていた。


「だって暖かいし!何か一瞬涙見えたし!!ヤバイですってこの遊園地ィ!!!」

「シトラスさん一回!一回落ち着いてください!!やめて天パが毟られいだだだだだ!!」


シトラス曰く、馬が生きているように暖かく、一瞬涙を流したのを見たという。ちなみに相模はそんな光景は見ていないし、綱手も「夢かなんかだろ」と相手にしなかったのだが…


「なんなんですかここぉ…もう嫌だ女子大生の太ももに埋まりたい…」

「その発言に同意しつつ、女性が言うのは違うような気がしないでもないんですが…ほら、すぐそばにレストランもありますし、そこで一旦話し合いましょう。というか綱手さんがもう行っちゃいましたよ…」

「うう…はいぃ…」


相模の手をとって、シトラスが立ち上がる。どうやら落ち着いたらしい。


「…そういえば、レストランって誰がやってるんですかね?メリーゴーランドみたく魚?」

「もしかして魚が魚料理作ってるんですかね?」

「や、やだなぁ・・・」

相模のPLの人は水曜どうでしょうの大泉洋さんのようにプレイングしたかったそうなんですが、なんでかこのセッションだと割とまともな人物で描かれてます。何故。

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