ヤバルとユバル
崖の下
多くの船によって作られた大地は地獄のような状況になっていた
「これはひどい・・・」
「トンデモ機体にトンデモプレイヤーによる無双とかねぇ・・・」
「お、端っこの船が逃げ出したぞ」
「「「「ヒャッハー!生かして返すな~!」」」」
進めば通行止め
戻れば榴弾の豪雨
留まれば殺戮の被害者
「これエバーさんとナンバーズたちで終わりだよね?」
「まぁ基本エバーがイカれてるだけでナンバーズたちだってエースだからな・・・」
例えそれが番外位の者達であってもである
むしろラシャプとゲンドゥルの言う事を良く聞く今のメンバーのほうが集団戦では強力だろう
「あ~・・・もすもす?皆さん聞こえます?」
お気楽ムードで戦闘を観戦しているとアイアスから通信が入る
「ラシャプさん、洞窟の一部に敵を通そうと思うんですがいいですか?」
「陸に上がられるぞ?」
「実は試したい機体がありまして」
「実験か・・・敵もかわいそうに」
「承認を得たと判断しますね。ということでガザニア君はこっちに戻ってね」
突然俺に話が振られる
「え?俺?」
「そうですよ、なんせ実験するのはガザニア君の機体なんですから?」
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「ちょっと大きめだが見た感じ普通だな」
いくつかエバーと同じ個所がみられる
「あっちほど狂ったモノじゃないけどね」
「狂ってるのは認めるのか・・・」
「だってエバーさんって普通じゃないですもん」
AIからのお墨付きである
「エバーさんってリアルだと肉体があるから常人に見えるだけみたいなんですよね」
「そんなにすごいの?」
「反射神経や判断能力がスパコンじみてますよ?肉体に依存しないVRだと殺戮機械とタメ張れますって」
そしてそれを最大限発揮するように作ったのがあのBWと
「普通のプレイヤーじゃあんな機体使いこなせないですね。操作が複雑すぎて」
「お前はできるんじゃねぇの?」
お前も言ってしまえばスパコンだし
「動きを再現しろというのなら可能ですね」
「その言い方ということは?」
「どんなに学習してもAIでは勘は再現できませんよ」
あぁ、合理性の塊のコンピュータにはそんな不確定要素はできないわな
「ですがあんなすごい傑作を作れたのに一体で終わりってもったいないじゃないですか?」
「それはわかる」
「だからガザニア君に勘を担当してもらおうと思うんですよ」
「ソレガワカラナイ」
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目の前の機体はオリジン・セイバーという仮称らしい
セイバー本来のシンプルで高性能で安価で簡単操作という我儘すぎる機体コンセプトを目指したそうな
しかし完成したところで問題が発生した
武装を扱うOSに出力が回せなかったそうだ
「どんだけカツカツなんだよ」
「マジギリギリッス」
そして出された結論
「移動担当のBWに攻撃担当のBWを背負わせるんですよ」
この発想は以前からあったらしい
しかしうまく機体構築に整合性が取れないとかなんとか難しいことを言っている
そんな時に東の合体砲台型BWを見て
「股間に電流が走りましたね」
「走らすな」
そんな感じで完成した
俺が乗ることを想定した移動担当のBW
オリジン・セイバー=ヤバル
アイアスが乗ることを想定した攻撃担当のBW
パック・セイバー=ユバル
「ヤバルでユバルを背負うことによって性能で考えればエバーさんのセイバーと同じ戦力になります」
「性能で考えれば・・・ねぇ・・・」
結局エバーには2対1で戦わないと勝てないという証明になるわけだが
「まぁとにかくこれから登ってくる敵で実験するってことだな」