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男のロマン

眼前には5メートルほどの白いBWがあった


「あ、エバーさん来るのちょっと早いですよ」


アイアスが文句を言ってくる

どうやらもっと仕込みをして驚かしたかった模様


「いや、十分驚くんだけどなこれ」


うん、驚く

主に機体のデザインに

明らかに既存のBWとは姿が違っていた

後ろに長く左右が狭い胴体

それに合わせたような小さい肩

一枚の鉄板と言っていいほどの薄い腕

それとは逆に非常に大きな太股

なのに逆に膝から下は折れそうなほど細い脚


「なにこれ?」

「最高傑作ですよ?」


何処がだ


「おまえ皆が戦ってる中でこんなネタ機体作って・・・・」

「ネタじゃないですよ・・・」

「いや・・・」

「ネタじゃないです」


ダメだ目がマジだ

リアルでもAIなのにこの人間のような真剣さがどこから出せるんだ


「説明初めてもいいですか?」


あきらめよう


「まともな機体と証明してくれよ・・・」


本気でお願いします








-----------






「ズバリ!コンセプトは最低限の手間で最高の汎用性です」


どう見ても汎用性なさそうなんですがね


「おっと何も言わないで、どうせ汎用性なんてなさそうと思ったでしょう?」


そうですね


「制作にあたって各パーツが単一の目的に特化されて余計な機能が省かれた簡略的な構造に仕上げました」

「どっかで聞いたことあるコンセプトだな」

「大昔のロボット漫画ですね」


それだ、木星のロボットだ


「胴体は機体駆動のジェネレーターとコックピットの機能を」

「うん」

「腕部は武装の保持と使用を」

「わかる」

「脚部は移動機能を」

「それがわからない」

「わかりませんか?」


普通の足の形や車両の形してりゃわかるよ?

でもこれ歩けるの?


「脚部の形見たら移動機能あるとは思えないんだけどさ?」

「脚部だから歩くなんて何時から錯覚してました?」

「なん・・・だと・・・?」


あ!


「そのためのこの巨大な太腿か」

「正解!歩きません。ホバー移動で滑るように動きます」


でもそれだと更なる疑問が出てくる


「ホバーのためにスラスター付けるとしてもこれは大きすぎないか?っつか背中のほうが安全じゃないか?」

「初期案ではそうでしたね。あくまで脚部は着地のために設計してました」

「あと推進剤の問題は?」

「推進剤使わないですよこいつのスラスター」


ほう・・・


「既存の燃料式ではなく電気式のスラスターです」

「出力はどこから持ってくるんだよ?」

「太腿からです」

「あ~・・・太腿にジェネレーター仕込みやがったなこいつ?」

「ええ!飛び切り大型の奴を」


よしバカだろお前


「お前これどうやって戦えっつうのよ?」

「誰もこのまま戦えなんて言ってませんよ?」


アイアスがドヤ顔でコンソールをいじりだす

その後ろでクレーンに吊るされた白いBWが勝手に動き出した

脇を締め腕は肩に折りたたまれる

膝を曲げ膝から先を100度ほど曲げ太腿は180度回転する


「なんだこれ?」

「さっき言ったように最低限の手間で最高の汎用性の答えです」


だからそれがわからない


「どうしたらこんな形になるんだよ・・・」

「今までの機体では最高の汎用性は無理でした。だって全部積み込めばただの高火力ドン亀ですし。かといって速さを求めれば貧弱ぅ!ですし。バランス考えれば器用貧乏ですし」

「で、至った結論は?」

「状況に合わせて腕・足・頭・バックパックを即座に換装すればええやん?」


あぁ、つまりこいつは核なのか


「よく作れたな」

「あれですよ。東の大陸のデカブツの設計を参考にしたんですよ」


あったなそんなの


「で?肝心の換装パーツは?」

「一種だけで試作段階ですが完成しておりますよ!」


自信満々のアイアスの後ろで白い機体が増設される

足には大量のスラスターが付いている脚部

肩には前腕にそのまま大口径のライフル?キャノン?が付いた腕

背中には大量の火砲、多分これフレキシブルに動く奴だ

頭に望遠レンズのような隻眼


「急造なんでかなり大雑把ですけどね」

「限度があるだろ」


仕方がないのはわかるけどもさ

どう見ても既存の武装を寄せ集めて作ったパーツだ


「で、これでどうやって狙撃するんだ?」

「狙撃できないですよ?」

「どうすんのよ?」

「敵のど真ん中に上空から急降下して強襲です」


またか

また俺一人で単独戦闘か


「エバーさんに聞きますけど」

「なんだよ?」

「あなた本来の戦闘スタイルは狙撃じゃないですよね?」

「・・・・」

「沈黙は肯定と受け取りますよ?」

「人間ってさぁ」

「うん?」

「飽きるっていう感情があるのはご存知?」

「理解はできませんけど知ってますよ」

「ならそういうことだ」

「了解了解。できるだけ早くいろんな戦闘スタイルの武装作っておきますよ」

「ああ、よろしく」


コンセプトがイカれていてもそこはアイアスの制作

性能が悪いというわけではない

まぁピーキーの極みなのは間違っていないが


「じゃあ仕方ないからこれで行ってくる」


そもそも自分の機体を壊したのが原因なんて言われたらぐうの音も出ないわけだし


「・・・・・・・」

「行かないんですか?」

「こいつって名前なに?」

「・・・・考えてませんでしたね」

「じゃあセイバーで」

「理由は?」

「なんとなくかっこいいから?」

「わかる!けどもうちょっと捻り入れましょう」


なかなか男の子のロマンがわかるやつである


「増設してない場合はセイバー・コアで」

「OK」

「んでそれは乱戦仕様なんで試製カオス・セイバーで」

「ちょっと中二っぽいが良し」

「じゃあ次から作るのはもうちょっと中二成分薄めに考えておきますね」

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