ライダーブレイク
優勢の最中に突然と地面が爆ぜる
その爆発によりナンバーズが数機吹き飛ばされる
「なんだ!」
「体制を整えろ、そのまま落ちて潰れ・・・」
1機が最後までいうことなく何かに突き刺さる
巨大な細長い何か
数秒が経ってそれが何かの腕だと理解した
「なんだコイツは!」
吹き飛んだ地面から現れるのはあまりにも巨大なBW
「クソ!撃て、敵だ。撃て!」
全機が一斉にすべての火器を集中させる
「なぜだ!なぜ止まらん」
20機以上が一斉に攻撃しても怯みもしない
被弾も構わず走り出した光爪の腕に1機が触れる
「機体が溶解!光が・・・」
その腕に触れた1秒足らずでコックピットが溶ける
「コイツは、指全てが光学系武装か。ゲンドゥル!」
「全機後退!絶対に近寄るな!溶かされるぞ!」
ラシャプは即座に光爪の腕を理解しゲンドゥルも部隊に後退を指示する
だが当然敵の武装はそれだけではなく
「発光?全機散開!」
「遅い遅い!遅すぎるぞエース共!」
肩の側面の何かが6つ発光すると射線上にいた数機の一部が溶かされる
肩から先
腰から下
頭部
武装
精確には狙っていなかったのだろう
「戦闘不能な奴は船に戻って修復!動けなくなったやつは脱出しろ!」
この攻撃により戦闘ができる機体は10機ほどに減った
2人は敵との正面からの対峙は危険と判断した
だがラシャプもゲンドゥルもあえて敵の正面に立つ
「後ろがお留守だぜ!」
2人が注意を引いてる間にガザニアが槍を突き刺す
しかしそれが刺さることは無く
「堅えぇ」
「この光爪にそんなものでは傷は出来んよ!」
振り向きざまに光爪がガザニアを殴ろうとする
「・・・じゃあこれは?・・・」
ガザニアに気を取られている隙にネクスターが背中にプラズマピックを突き立てる
ピックは背中の装甲を溶かしながら突き刺さるものの直後にそれ以上先に進まなくなる
「・・・これ・・・」
「ネクスター、下がって!」
ネクスターの退避を援護するためにA子のMLRSが撃ち尽くされる
18発ものミサイルが直撃
しかし光爪はほとんど傷がついていない
「うっそぉ!」
全員が驚く中でネクスターは敵の絡繰りに気が付いた
「・・・ゲンドゥルさん・・・敵の装甲は多属性積層装甲みたい・・・」
「あの巨体になんて浪漫装甲を。いや、巨体だからこそ実現できるのか」
多属性積層装甲
このゲームが始まって間もなく考えられた理論上最強の装甲である
1層を耐衝撃特化装甲
2層を耐熱特化装甲
3層を耐衝撃特化装甲
このように防御属性の違う装甲を限界まで繰り返し貼り付ける物である
確かに実弾か光学しか持っていなければ勝ち目がないだろう
しかし光学と実弾を両手に持って撃ちまくればあっという間にすべての装甲が禿げ上がってしまうのである
結局この装甲は4層までが重量の関係で限界なのでネット上でも「最強(笑)」等と言われるネタ装甲である
で、あった
「ラシャプ、何層あると思う?」
「あの巨体だ・・・20近くはありそうだな」
「あの大きさの敵が高速で動き回りながら一撃必殺の攻撃してくるのを避けながら寸分違わず同じ場所を2属性で何度も攻撃かぁ・・・・死にたくなるね」
ゲンドゥルが撤退の指示しちゃおうかなぁ・・・なんて考えているときにその頼もしい声が聞こえた
「それならこの武器が効果的ってことだな。まさかアイアス知ってて作ったのか?」
かなりの遠距離から光弾が光爪の腰に当たる
「エバーさん?」
「はいはいエバーです。何層逝った?」
「2層だな」
ラシャプが冷静に報告する
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地下の空洞から通常の通路を探し当てなんとか地上に上がると光爪が既に戦闘中であった
「・・・2属性で何度も攻撃かぁ・・・・死にたくなるね」
その会話を聞いた時に閃いた
この機体の右肩の武器なら多属性積層装甲も一気に何枚も撃ちぬけるのではないか?
思ったのであれば即行動
こちらに気が付く前にとりあえず一発
狙いは腰の側面
そこが狙いどころとエバーは判断していた
「2層だな」
その報告を聞いてイケると思った
「セイレーン、こっちの右肩のチューブ一本外してくれ」
「これ?あ、結構簡単に外れるのね」
右肩の対物ライフルの動力チューブを外しセイレーンの動力に取り付けてもらう
「出力を上げる、そっちも40%上げてくれ」
「オッケー」
こちらの攻撃を脅威と感じたのか光爪がこちらに全速力で向かってくる
出力8割増しで対物ライフルを撃つ
プラズマ化した弾丸は精確に同じ場所に被弾する
「竜狩り、理解したか!この機体の仕掛けを!」
危機を感じ光爪がさらに加速する
「出力もっと上げろ、60%だ!」
「そんなの機体がショートするって!」
「相打ちでも倒せればこっちの勝ちだ。躊躇うな!」
さらに4割上昇
弾丸は同じ場所にあたりエバーの予想していたそれが露出する
「やっぱりそうなっていたか!」
地下から出る間にエバーは光爪のことを考えていた
L級と言ってもどう考えても20メートルなんて作ることはできない
L級の限界は12メートルまでである
そんな時思い出したのが自分が使用したウルリッヒユニットである
ウルリッヒユニットは自分の機体のオリバーの2倍の大きさであった
しかし武装と認識されていたユニットはBWと判断されていないためいくらでも大きく作れるのである
だからこそ頭頂部からおよそ10メートル下の腰に狙いを定めた
装甲が全て剥がれた腰の中にはBWの多脚型の足が見えていた
つまり光爪の下半身はウルリッヒユニットと同じ武装扱いだったのである
「終わりだ」
再度発射した弾丸が露出した脚部に突き刺さる
しかしそれでセイレーンの機体もエバーの機体も無理な出力上昇がたたりショートしてしまった
「あれ?ねぇ、これもしかして?」
腰が折れる光爪がすさまじい速度でこちらに飛んでくる
「うん、まぁこうなるよね」
20メートルの巨塊である
「ねぇこれ私たち死ぬんじゃないの?」
「死ぬんじゃないかな?」
凄まじい衝撃音とともにログが表示される
-ハンマーバーグ{重射撃仕様}大破・セイレーン死亡-
-オリバー大破・エバー死亡-