幸運
「南西に艦隊確認。観測船の報告と艦数一致」
「望遠観測隊、観測開始」
「データリンク・・・・完了。砲撃開始」
「砲撃開始!」
巨砲10機が35度の角度で一斉に攻撃を開始する
その30秒後に
「敵艦隊4隻炎上」
望遠観測隊によって着弾が確認される
「艦隊出撃!殲滅せよ!」
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宣戦布告から5日
南と西から幾度となく艦隊が侵攻して来たがまるで相手にならなかった
現在2大陸で流行しているバグウェルという機体は確かに高性能だ
だがそれは万人が扱えるようにオリジナルからデチューンしたものに過ぎない
西大陸での大規模戦に十数機の機体が乱入し圧倒的性能で大陸中央を攻めていると報告を聞いた
我慢が出来ずに私は別のアカウントを入手して西で新規キャラクターを作成
そして西大陸中央で私は見た
圧倒的な性能で戦う2機を
片方は伝説のドラグーン
もう片方は全くの未知の機体
その戦闘は決着がつくことも無くサーバーダウンで中断された
そしてサーバーが復旧して即座にログインした
そこにはドラグーンは無く
未知の機体が鎮座していた
私はそれを奪い
西陣営がログインする前に東に持ち運ぶことに成功した
驚愕の性能だった
同時にこれ以上の伸びしろが見込めない機体でもあった
その数日後に全く同じ構成の廉価機体バグウェルが販売された
そうしてバグウェルと未知の機体を解析、比較することで
我々の高汎用量産機、ゲッシュが完成した
「東側の艦隊殲滅が終わったぞ」
副隊長が報告に来る
「・・・ああ、ご苦労さん」
だが私は向き合うことなく自分のコンソールで機体設計を行う
「またそれをいじってるのか?」
「ああ、どうしても出力と重心の調整がな」
「ゲッシュの量産は始まったんだ。もう光爪の出番も無いだろう?」
「出番が無くても作りたいのさ、だってこれが完成すればカッコイイじゃないか」
「わかる。だが隊長なんだからな。そこら辺はしっかりやってくれよ?」
「ああ」
副隊長は前線に戻っていく
申し訳ないとは思うんだがやはりやめられない
この光爪は私の理想なのだ
至極のデザイン
至極の攻撃力
至極の機動力
バグウェルもカッコいいんだけどね
多分設計者とは価値観が共有できないだろうな
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「副隊長」
「待たせたな」
「隊長は来ないんですか?」
「また光爪弄ってたよ」
「またですか、もう2年ですよ?」
「やらせておけ、あれが隊長にとって一番楽しいんだ」
「まぁL級実装でかなり制限は緩くなってるからな。そろそろ完成するだろう」
他の隊員たちと談笑をしていると望遠隊から報告が入る
「南東より艦隊の接近を確認!」
「さぁ敵さんだ。全員配置に付け、迎撃するぞ!」
指示と共に全員が機体に乗り込む
「観測隊の報告は?」
「観測隊からは発見報告はありません」
「無い?西も南も無いのか?」
「はい」
では北の諸島から攻めてきたのか?
しかしそれならなぜ南東からくるのか?
「とにかく撃沈したほうがいいでしょう」
「だな、よし砲撃開始!いつも通りだ!」
流石に連戦で慣れたのか素早く砲撃準備に移行する
「撃て!」
指示に合わせて一斉に砲撃が始まる
そしていつものように望遠観測隊によって着弾が確認され・・・
「砲撃・・・・着弾無し!」
「何!」
「砲弾が全て叩き落とされました!」
遂にこの時が来た
「よし!ついに敵さんが来たぞ!榴弾迎撃なんて確実にエース部隊だ!」
「「「「ヒャッハー!!」」」」
他の隊員たちも楽しみにしていたようである
「砲兵隊は陸に上がった瞬間を撃て。損害を与えた直後に前線部隊にて斬攪せよ」
艦隊の甲版からBWが攻撃をしてくる
しかし距離が遠すぎるため決定打にはならない
そして艦隊が陸に上がりBWが出撃を始める
「砲兵隊全機!攻撃かい・・・」
直後に{真上}から大口径の銃弾が飛んできた
そしてその弾丸は砲兵隊の一機に直撃
頭頂部から股関節まで一気に貫通していた
三か月ぶりの休日が無しになったよ
こやつめはははは・・・・死ぬ