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R.U.R.

「・・・以上をもって獅子堂ジンクロウの処分報告を終わります」


Rの報告が終わる


「ご苦労、一番大変な役を押し付けて悪かったな」

「いいえ。私はこれが一番得意ですから」


Rの過去からすれば確かに慣れているのだろう

当然そんなことに慣れてしまうのは良くないことなのだが


「これで今回の依頼は終了だ。3人ともしばらくは自由にしていい」

「「「了解」」」

「ところでH」

「なんでしょうか?」

「なぜ帰ってきた?しばらくは日本でゆっくりしていてもよかったんだぞ?」

「それも最初は考えていましたが・・・」


Hは少し躊躇って


「・・・あの空間は眩しすぎます」

「眩しい?」

「はい、私はあの場所に居てはいけないような気がするんです」

「それは気のせいだろう?」

「気のせいです。気のせいですが・・・やはり無理です」

「そうか・・・・・・それなら仕方がない。母国で少しリフレッシュして来い」

「はい」

「そろそろ私も用事がある。これで終わりにしよう」










----------------











「おはよう悠君!ってもう起きてるのね」


その悠君は寝間着を脱いで普段着を着ようとしていた


「う~ん・・・・・・エロい!」

「朝から元気だねお前」

「元気よ!もう朝から襲っちゃいたいくらい元気」

「朝はきついんで勘弁してください」


そんないつものようにイチャイチャしているときにそれは起きた

先に言っておくと悠君の部屋は2階である

その上は3階で高野菊月の部屋である


「アイアス!」


大きな声に反応して声の方向、窓の方を2人で振り向いた


「きくづ・・・・」


窓から見えたのは・・・何かが落ちた影だった

その直後に

ゴン

と鈍い音がした







--------





3人の報告を聞き終えてHMDを外す


「さて」


部屋のカーテンを開き今日も快晴だと確認する

こんな日には布団を干したほうがいいだろう

まぁ、私は布団や毛布を持っていないのだが

皆が寝静まった後の深夜には私はひたすら知識の吸収だ

最近は料理にも手を出すようになってきた

彼に喜んでもらうために


「しかし・・・・塩一つまみ・・・・とかどう判断すればいい物やら」


料理などを見ていると○○少々等の実にアバウトな記載が多い

面倒な事この上ない


「そんな事考えても仕方がないか、トライ&エラーしかあるまい」


頭を切り替えて行動を開始する


「さってと、菊月君起こさないと」












-----------









「菊月君起きて~」


良い気持ちで寝ていると誰かが布団を揺する

とても明るい声で元気よく

そしてとてもやわらかい指が頬を撫でる


「お~き~て~」


薄くブルーベリーのような匂いを感じる

香水かな?


「おきろ~~~~~~~!」


そして頭に手刀を食らう


「痛ぇ!」


そうして微睡は強制的に覚醒させられた


「ほら起きて~、今日はいい天気であったかいんだから布団干さないとカビちゃうよ~」

「先週干したばっかだろうに・・・いってぇなぁ」

「普通は毎日干すんです!」


そう言って布団を引っぺがされる


「さむ!」

「寒くないです!ほら服も用意したから着替えて着替えて!」

「おまえはどこぞのオカンかよ」

「・・・・・・・・それいいかもしれない・・・」

「はぁ?」

「菊月君を毎日お世話するんですよ。料理・掃除・洗濯」


そして勝手に暴走を始めた


「そうして学校の部活から帰ってきて汗だくな菊月君の匂いに興奮しながら・・・・もうたまらん!ヤらせろ!」

「あ~今日もいい天気だな~」

「無視しないでぇ~!」


そんなわけ解らんことを言いながらもテキパキと動き回るアイアス


「よっと!」


アイアスは小さい

胸は大きいけどね

背が小さい、多分150センチ無い

そんな小さい女の子が甲斐甲斐しく世話してくれるって・・・

あれ?俺もしかしてリア充?


「あ・・・・」


そんなことを考えているときにそれは起きた

布団が外に落ちて

一緒にアイアスが落ちる


「アイアス!」

「きくづ・・・」


最後まで聞こえる前に

ゴン

と地面に叩きつけられた


「アイアス!」


急いでアイアスの落ちた場所に走る

行ってどうなる?

うるさい

あんなに激しく打ちつけられて動かないんだぞ?

うるさい

そんな事よりも自分のせいではないと何か理由を考える方が先では?

うるさいうるさいうるさいうるさい

こんな時にそんな自己保身を考える自分に腹が立つ


「菊月!今の!」


助かった

他の人がいればそんなことも考えなくて済む


「悠先輩!救急車頼みます!」

「ああ!わかった!」


玄関を出てアイアスの落ちた場所に向かう

動いてない

最悪なことを考えながら駆け寄る

残り3メートルというところでアイアスが動く


「アイアス!」

「あたた・・・・しくじったなぁ・・・」


どうやら意識はあるようだ、しかし


「お前、腕!」


その右腕はあり得ない方向に曲がっていた

一瞬で血の気が引いた


「あ、やっちゃった~」


アイアスは呑気だ

そんな呑気さに怒りそうになりながら違和感を感じる

血が出てない

むしろ出ているのは金属片だ


「あ・・・・あ~・・・・」


アイアスはしまった!という表情をして


「・・・・てへぺろ?」

「てへぺろ?じゃねぇよ!」






-------------





悠先輩に救急の電話を取り消してもらい

全員がリビングに集まる


「「「「「「ロボット!」」」」」」

「です!はい!」


アイアスの体はすべて機械でできているという事が白状された


「別に面白い話でもないですけどね」

「面白いとか以前にそんなSFな話が実在するのかよ!」

「失礼ですね。実際に目の前にいるじゃないですか」

「右腕以外はどう見ても人間にしか見えないんだけど?」

「人間そっくりに作るのって別にそこまで難しくは無いんですよ?」

「そうなのか?」

「はい、この皮膚も実際にはマイクロレベルでデザインされたシリコンですし」

「え?でもそんな張り付いたりしてないじゃない?」

「人間でいう汗腺を付けていまして、そこから水分を必要な量を適時流しているんですよ」

「筋肉は?」

「筋肉はありません。骨格そのものが稼働するので」

「骨格?」

「そのままの意味ですね。フレームって言ったほうがいいかもしれません。材質はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)です」

「お腹の中とかどうなってるの?」

「バッテリーとかさっき言った汗腺から発する水分とかが入ってます」

「今まで一緒に食事とかしてたよね?」

「一応周りに合わせるために食事もできるようにデザインしてます。消化吸収はできないですけどね」

「じゃあ食べた後はどうなるんだ?」

「お腹の中で圧縮してトイレに行ったときお尻から出してます。ほとんど人間と同じですね」

「そうやって考えてるのは頭の中?」

「ちょっと違いますね。頭の中には20テラほどの記憶媒体が入っていますけど考えてるのは本体です」

「本体?」

「はい、本体は今現在も地球の衛星軌道上で回り続けてます。あらゆる情報回線を通じて常にこの体とリンクしています」

「759+852+669+225は?」

「2505ですね」


もうね・・・これどうすればいいんだ?


「とりあえず右腕直さないといけないですね。あと他の場所が壊れてないか点検もしないと」

「あ、うん。いってらっしゃい」


朝からなんか疲れたとっとと見送ってもう一回寝よう


「何言ってるんです?菊月君も手伝うんですよ?」

「え?」


そうして今日一日アイアスがロボットだという事を思い知らされる

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