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今日の技術革新

「全砲兵隊に告ぐ」


40機のBWが並ぶ前で1機のBWが話す


「この大陸を我々、У(ウー)が制圧してから2年が経過した」


東大陸

南・西の大陸から一切敵を寄せ付けずに防戦に徹していた場所である


「資源は貯めるに貯めて十分なほどになった」


彼らの目的はこのゲームを楽しむことである


「これだけの資源、そして圧倒的な我々の機体性能」


ゲームというルールに縛られた状況で勝利することが彼らの楽しみである


「さぁ!南と西に喧嘩を売ろう!全面戦争だ!」

「「「「「「「「「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ」」」」」」」」」」


その声と共に40機のBWが一斉に動き出す


「まずは南だ!先頭薬室機10体!並べ!」


指示に従い左腕が巨大な砲になっている機体が横に並ぶ


「次!第2薬室機10体!並べ!」


その後ろに巨大な筒を背負う機体が並ぶ


「起爆機!並べ!」


さらに後ろに胴体そのものが巨大な装置になっている機体が並ぶ


「最後!弾倉機!」


巨大なバックパックを装備した機体が最後尾に並ぶ


「ふふん・・・壮観な光景だな・・・・・・・・・全機接続!」


その掛け声とともに第一薬室機の左腕と

第2薬室機の筒の前方が

筒の後方に起爆機の胴体が

弾倉機がその側面に接続される


「目標南大陸全土、射線を重ねるな。広域砲撃だ。」


全機の火器管制がリンクされお互いの射線が表示される


「おい、こっちと重なってるぞ」

「OK、こっちがズラす。そっちはそのままで」

「誰か、俺の隣が空いてる。こっちに射線をくれ」

「了解だ、俺がカバーする」


笑いあいながら軽い会話が続く


「弾倉機、6式弾丸を込めろ」

「4段階拡散榴弾砲・・・込め」

「信管を24、10、2」

「1段目24秒・・・2段目10秒・・・3段目2秒・・・・・・・完了」

「カウント5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・発射ぁ!」


合図とともに10機から爆音が響く

その砲撃の衝撃波凄まじく周囲は煙に包まれた

10秒ほど経ち煙が収まると通信が入る


「こちら観測船。砲弾の飛来を確認、1段階の信管作動を確認・・・2段・・・確認・・・3段確認・・・弾着・・・・今!」


その後少しの静寂に包まれる

皆が観測船の報告を期待している


「・・・こちら観測船、攻撃は成功。南の主要部隊製の施設被害を確認・・・被害は甚大」

「「「「「いよっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」


この日から、東大陸から南と西に砲弾が降り注ぐ

初心者が多い南は非対人エリアから出られずに

前回の大規模戦闘の爪痕が多い西はされるがままに

しかし彼らはまだ新大陸の存在を知らなかった

そして南と西にいた彼らがそこに移り住んでいたことに

















--------------
















「え?サイドさんお休みですか?」


サイドは今日はINしない

そうアイアスに伝える


「ああ、ちょっとINできないって」

「・・・・・・・・メンス?」

「君はもうちょっとデリカシー持とうね」


2人の会話にセイレーンが乱入してくる


「仕方ないわ、あれだけ幸せそうにクネクネしてたら誘えないもの・・・」


どうやらサイドに新兵装の実験に付き合ってもらう予定だったらしい


「じゃあエバーさんが実験に付き合ってください」

「別にいいけど・・・何変なもの作ったの?」

「それではこれを見てください!」


作られたばかりのBW専用倉庫にはやたらと重そうな機体が鎮座していた

どことなくバグウェルに似ている


「バグウェルを改良発展した新機体!その名もクロムウェルでっす!」

「ずいぶん重そうね・・・」


セイレーンに同意

見た感じバグウェルから装甲を増したように見える


「はい!バグウェルから装甲を40%増加、フレーム関節を強化カーボンから超硬セラミックに。あ、他のフレーム部分は強化カーボンの厚さ2倍です」

「それ動けるのか?」

「無理じゃないの?」


もし動けたとしても戦車級に鈍重そうである


「ええ、普通に動けばただの硬いカカシです」

「駄目じゃん!」

「いや、普通に動けばってことは何か細工仕込んだなてめぇ・・・」

「エバーさんさすが鋭い」


アイアスが指を鳴らすとクロムウェルのエンジンに火が入る

その音はエンジンやモーターではない

まるでブースターの噴射音のようだった


「おい・・・機体に火が入ったらちょっと浮かなかったか?」


西大陸で自分の使ったジェルジオを思い出す


「流石お目が高い!クロムウェルの各部には超小型化されたジェルジオのブースターを内蔵したのです!」

「あ、馬鹿かお前?」

「馬鹿じゃないもん!」


いや馬鹿だろ

機体を軽くするためにブースターを内蔵する

そういう発想は以前からあったのだ

しかしブースターを吹かすには推進剤を必要とする

結果として推進剤を膨大に消費するため起動する度に大赤字である

そしてそれ以前に起動時間が短すぎる


「お前その理屈の欠点は知ってるだろ?」

「知ってますよ?」

「だったら・・・」

「ですがもしその問題の解決ができれば強力な機体になりません?」

「なん・・・だと・・・?」


そう言ってアイアスは自信満々に1冊の本を見せる


「制作レシピ図?」

「はい!この782番が重要なんです」


782番?

高純度推進剤

あ・・・・


「ふふふふ、これの制作に必要な素材がこの新大陸で大量に入手できるようになっているのですよ!」

「お、おう。それはすごいな」


つまり推進剤のコストを自作することで節約できるのである


「起動時間の問題は?」

「この高純度推進剤は通常の推進剤と同じ比率で10倍長持ちするのです」

「つまり今までのブースターで軽量化するBWでも起動時間10倍?」

「正解!そしてこのクロムウェル、見た目は5メートルのM級ですが」


そう言って今度は設計図を見せてくる

それはクロムウェルのフレーム設計図である


「手と足が長くない?」

「あ、折りたたんでるのか・・・」

「このフレーム折り畳みによりギリギリL級な所から見た目Mになっているのです」

「折りたたんでまでLに拘る意味は?」

「L級作ってみて思ったんですけどMより積載関係に補正がかかるんですよね。もっと沢山積めるようになります」


あ~、その余剰分でブースター積んで。それで補えるまで装甲増やしてるのか


「で、実際の稼働時間は?」

「既存のM級と比較して30%低下まで抑えてます」

「30%か・・・1回の戦闘時間で考えれば十分すぎるな」

「でも連戦は厳しいわね。補給機は必須みたいだけど作ってるの?」

「そちらも現在設計中ですよ。いい感じにアイデアが出てるので完成も時間の問題です」


いいな、これは面白いことになってきたぞ


「それなら文句も無いな。じゃあさっそく試運転してみるか」

「よろしくお願いしま~す!」

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