表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/137

因果応報

「ホーネット!これはどういう事だ!」


急いで帰ってきた私はホーネットに即座に連絡を入れる






-------






街頭演説のため車で東京に向かうと予定の場所には大勢のマスコミたちが集まっていた


「獅子堂議員。今ネットで騒がれていることについて何か一言!」

「ええ!私もにわかには信じられないことなのですが。どうやら首相は過去に犯罪行為を行っているのは事実らしく・・・」

「え?首相が?そんな話は聞いていませんが?」

「何?ではこれはいったい何なのかね?」

「なんなのかね?と言われましても我々が知ったのは獅子堂議員の15年前の出来事ですが?」


15年前だと?

なぜマスコミがそんなことを言い出すんだ

当時のことは完全に口封じを済ませたはずだ


「今ネットで騒がれていることを知らないのですか?獅子堂議員が過去に女学生に暴行を働いたという内容なのですが?」


このマスゴミめ!

何当然のように大衆でその件を口にしているのだ!


「・・・・だせ!戻るぞ!」

「は、はい!」

「獅子堂議員!なにか一言!」

「なぜ反論されないのですか!議員!」

「事実とお認めになるんですか!」











------------










「なんでしょうか?なにか事実と異なる内容でしたか?」

「貴様!首相の犯罪を曝したと言っていたではないか!」

「さぁ?記憶にございませんね?私は過去の事実を広げただけですから」

「き、貴様ぁ!」

「それより早く逃げたほうがいいのではないですか?」

「なんだと?」

「ええ、ええ。15年前の出来事です。確かにその件は金を払って示談に持ち込みましたが・・・・その2年後に貴方は口封じのために1人殺しちゃいましたよね?」

「そ、それがなんだというんだ!」

「こちらの件はしっかりと警察にのみ通報させていただきました。証拠付きでね。本物と分かればすぐにそこに来るのではないですか?もうすぐ時効ですし」


背中から嫌な汗が噴き出す


「騙したのか・・・私を騙したのか!」

「ええ。だって私が受けた依頼は貴方への復讐ですので」


その言い終えると通信が切れる


「もしもし!もしもし!クソッ!」

「獅子堂様!」

「なんだ!」

「下を。入り口に・・・」


正面の入り口に多くの車が集まってきている


「う、裏口にも来ています!」


何てことだ・・・何てことだ


「・・・・地下の下水通路を通る。お前らは足止めをしろ」

「わ、我々は・・・」

「黙れ!私が捕まれば終わりなんだ!お前達は何としてでも私が逃げるまで足止めしろ!」


そうだ。まだ終わってない

また国外に逃げて

また顔を変えて、声を変えて、目の色も変えて、戸籍も買えれば

またやり直せる

そうして成功して来たではないか!













--------------










下水の匂いが鼻に刺さる


「く、くくくく・・・裏切り者のマスゴミ共め、ホーネットめ、必ず復讐してやるぞ」


下水は迷路のようになっている

警察も簡単には見つけることはできない

私は事前に構造を把握しているの

ならば逃げ切ることは十分に可能だ


「そうですか、それは残念でしたね」

「何?誰・・・・?」


誰だ

そう言い終える前に後ろから誰かに突き飛ばされる


「構造を把握しているのは貴方だけではないんですよ」


振り向くとそこには女が立っていた

そして手首に激痛が走った


「ひ・・・ぎ・・・痛・・痛ぁぁぁぁ!」

「あぁ・・・すいません、神経は避けたつもりだったんですが」


手首には大きな切り傷があった

傷口からは何か白い塊が見えていて時おり動いているのがわかる

少ししてそれが自分の骨だと理解した


「やはりそこら辺のガラス片ではうまく切れませんねぇ」


女はガラス片を捨てて去っていく


「あ、あぁ・・・ああああああ!」

「動脈まで達していますから、次第に痛みも無くなってきますよ。それまでの辛抱です」

「待て!待ってくれ!」

「その出血量なら15分くらいで致命傷でしょうし。場所も不潔の極みですから。どうぞ罪を懺悔なさってください」

「15ふ・・・」


無理だ!無理だ無理だ無理だ!

こんな奥で15分で地上に出ることなんて


「助けろ!なぁ助けてくれ!金ならやるから!欲しい物なんでもやるから」

「欲しいものくれるんですか?」


去ろうとした女は笑顔で戻ってくる


「そうだ!何が欲しい?何でもやる!だから・・・」

「ではですねぇ・・・」


女は躊躇なく私を蹴る

そして倒れた先には汚水が溜まっている


「貴方が死んだという事実が欲しいのです」


女はまたガラス片を何処かから取り出し・・・・








--------------













電話が鳴っている・・・


「もしもし?」

「レプリコです。ご依頼を完了いたしました」

「そうか・・・ご苦労様」

「報酬の3000万、確かに口座から頂きました」

「あぁ、もってけもってけ」


それで電話は終わりだ

それ以上の会話は必要ない


「さて、やることはやったなぁ・・・」


ひとりごとを言いながら大きく伸びをする

もうこの寮にいる必要もない

私が居なくても夏妃には悠がいる

悠なら大丈夫だ

私はもうここに居てはいけない

どこか遠くに行かないと

夏妃に見つからないくらい遠くに















-------------















そう思って空港にやってきた

全てを夏妃に知られたくないから

その前に夏妃の前から消えてしまおうって思ったから

なのにさ、それなのに・・・・


「何してんのお前?」


目の前には悠が立っていた


「いや別に?散歩?」


白々しい

空港に散歩しにくる学生なんているわけないだろうに


「あ、すっごい疑われてる。そうですよ~鈴木さんから聞いてここに来たんです~」


なんで鈴木さんがそんなことまで知ってるんだよ


「寮に帰れよ・・・」

「嫌だよ」

「・・・帰れよ」

「帰るなら洋子も一緒に決まってんだろ?俺ここから歩いて帰るの嫌だし」

「帰れよ!!」
















--------------










「帰れよ!!」


おお!すごい大声

洋子がこんなに怒声を吐いたのって初めて聞いた


「なんで俺が怒られてんの?」

「お前が私の言う事聞かないからだろ・・・」


そしてまた静かな声に戻る

アレだな、かなり精神的に参ってるパターンだな

まぁ原因は俺なんだろうけど


「私は・・・夏妃と一緒に居ちゃいけないんだよ・・・」

「それだけじゃ納得しないんでちゃんと事細かにお聞かせ願いたいね」


普段自分のことをアタシ、と呼んでいるのに今は私と呼んでいる

多分こっちの方が洋子の素なんだろうなぁ








--------------







とりあえず空港の中の人気の少ない場所に移動する

さっきの大声で凄い注目を浴びてしまったためである


「・・・夏妃の過去ってどこまで聞いた?」

「ん・・・・母親が事故って父親にヤられたことまで」

「夏妃の母親の事故ってさ・・・私の両親が原因なんだ」


あ・・・それで罪悪感感じてるのか


「パパがフリーのジャーナリストでさ・・・すっごい正義感強かったんだ」

「うん」

「昼から話題になってる獅子堂が昔犯罪をもみ消してさ。許せないから暴くんだーって」

「うん」

「それで・・・車に細工されたらしくて崖のカーブで曲がりきれなかったらしくて」


その時巻き込まれたのが夏妃の母親か


「パパもママも夏妃の母親も死んじゃってさ・・・でも事件にならなくてただの事故で片づけられて」

「うん」

「そのあと家が放火されて全部無くなって。でもパパは理事長に証拠を預けてたんだ」


理事長・・・知ってたのか


「それで今さっき復讐も終わって。夏妃に知られる前に消えようって思って」

「なんで?」

「全部知られたら夏妃に嫌われるから」


それは無いんじゃねぇかなぁ?


「そんなんで夏妃が洋子を嫌うか?」

「親の死の原因で自分の体の原因が私の家族なんだぞ?嫌うに決まってる・・・」

「嫌われたくない?」

「好きな人に嫌われたくないよ」


だ、そうですよ夏妃さん


「あら、そんなことで嫌いにならないわよ私は?」

「は・・・え?・・・なつ、夏・・・妃?」

「はいはい夏妃です」

「え?・・・何時・・・から?」

「帰れ!!って叫んだあたりから?」


殆ど最初っからですねそれ

まぁ一緒に来てたから知ってたんですけど俺も


「洋子!」

「ヒッ!・・・」


真実を知られて夏妃に怯えてる洋子

不謹慎だとは理解してるんだけど普段の明るい感じとのギャップにちょっと萌える


「私は洋子のこと好きよ?ずっと一緒にいてほしいくらい」

「でも・・・」

「でもも何もない!私は我儘だから!洋子も悠君も欲しいから!」


そう言って強引に夏妃は洋子の腕を引く


「あ・・・や、どこに?」

「寮に帰るに決まってるじゃない?私たち3人はあそこで暮らすの。少なくとも悠君が卒業するまではね」


そう言って強引に洋子を夏妃の車に乗せて寮に帰る

ちなみに洋子の車は後日黒スーツの人に回収されて洋子の元に戻ってきたようである

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ