はうとぅめいくすし
10月も中旬になった時のある日
「あれ?悠?」
スーパーで洋子と遭遇した
「ん?いま大学からの帰り?」
「そうそう。なんかジュースでも買おうかなって思って」
その手に持ったカゴには大量の2リットルのペットボトルが入っていた
「それ全部飲むの?」
「いや1日で飲むわけねぇじゃん」
ですよね。そんな量飲んでたらその年で成人病とか糖尿病まっしぐらだよ
「そんでそっちは何しにスーパーに来たんだよ?」
「ん~。暇だったからちょっと物色」
「んで買った物は・・・・フランスパン?」
「の、バケットな」
「え?フランスパンと何か違うの?」
そうかコイツ料理しないもんな
「フランスパンつってもいろいろ種類あるんだよ。70センチくらいで300グラムくらいのコレはバケットって種類」
「ふ~ん、で他には・・・チーズとハムと・・・ブルーベリー?」
「せやで、ちょっと簡単なもの作ろうと思ったんだ」
「へぇ、何作るんだよ?」
「フランスパンのサンドイッチみたいなもん」
「あ、美味そう。さっそく作ってくれよ」
「じゃあ報酬は前払いで。車で送ってくれよ」
「お安い御用で」
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と言ってもそんなに手間のかかる料理じゃないんだけどね
バケットの側面に大きめの切り込みを入れて
レンジでちょっと暖める
一緒に買ってきたカマンベールチーズと
ハム、これは買った時からハーブが混ぜ込んである奴
そしてブルーベリー
を崩れないように挟んで
「はいお待ち」
「美味そうだけどすごい単純だなおい」
だから簡単なもんだって言ったじゃないか
「・・・・・・うん・・・・実際美味いしまぁいいや。これアタシでも作れそうだな」
「・・・誰もお前を愛さないって知ってるか?」
「?。いや知らないけど」
そうですか、まあ好きにすればいいんじゃないかな
「ん~・・・・話変わるんだが悠」
「なんだよ?」
「もしアタシと夏妃のどっちかとしか一緒に居られないとしたらお前はどっちに付く?」
なんだそのもしもの話は
そもそも夏妃が洋子から離れる姿が想像できんわ
「そんなの決まってんじゃん」
「お!やっぱり夏妃か?」
んなわきゃない
「どっちともくっつきません」
「は?」
「お前男子高校生の欲望甘く見んなよ?欲しい物は全部欲しいんだからな?夏妃も洋子もどっちも手に入れるつもりだしそのための努力も惜しまねぇよ?」
「アタシと夏妃が大喧嘩したら?」
「仲裁して中立公平に扱います」
「今にも殺し合いに発展しそうな雰囲気になったら?」
「同上」
「どっちかが捕まったら?」
「出所するまで待ちます」
「どっちかが他の男に惚れたら?」
「ん・・・・・ん~・・・移り気しないようには努力するけどそれでも他のところ行くなら仕方がないよね・・・」
「そこら辺の本音は?」
「そりゃ手放したくない」
「そうか~・・・・そうか・・・・困ったな・・・」
「何か言った?」
最後の一言が小さくて聞こえなかった
「いや何にも、それよりこの料理美味いからもう一個作ろうぜ」
そうしてなんか有耶無耶にされながらも2人でまたバケットのサンドイッチを作ることになった
当然結果は
ちくしょう!だいなしにしやがった!お前はいつもそうだ。