裏切り
-クエスト「大岩を撤去せよ」を完了-
何をしているかって?
「おお!巨人様!有難うございます。皆も助かったと言っております」
原住民?のお手伝いをしています
対話を試みようと外部スピーカーで話しかけたところ何やら巨人と勘違いされてしまったようである
メニューからクエストツリーを確認すると複雑に枝分かれしていた
どうやらファーストコンタクトで攻撃するかしないかで最初の分岐になるようだ
「巨人様!遠くの方から巨人様と同じ者たちが!」
原住民はざわめいている
当然仲間たちである
「ガザニア君、手伝いに来たよ~」
アイアスとエバーである
「向こうは良いんですか?」
「殆どセイレーンとゲンドゥルが仕切っていて俺たちの出番ないんだよ」
「だからガザニア君の手伝いに来たの」
3人で会話していたら原住民は安心したような顔つきになっていた
「なるほど。巨人様の家族でしたか」
「!」
顔を見なくてもわかる
アイアスは今絶対驚いている
「貴方素晴らしいですね!そう!私は!私こそが!ガザニア君の!家族!いいえ!妻!よ!」
「巨人様の奥様でしたか!ではそちらの方はご子そ・・・」
「違います。仲間です。仲間」
年上の息子とか意味わかんねぇな
まぁNPCとの会話も面白いが・・・とか考えていると
「あれ?こいつ等って生身?」
「いやどう見ても生身ですよ?」
「あぁいやそういう意味じゃなくてだな」
ゲームの中で生身というのもおかしな話なんだけどエバーは何かに気が付いたようだ
「この新大陸って汚染されてないってことか?」
あ・・・
そうだよ
このゲームって世界が汚染されていて普通の人間は外で生きていけないんだったよ
「つまりここって有機資源の宝庫ってことか」
このゲーム内でアイテム制作に必要な4つの資源
金属系資源・希少金属資源・液体資源・有機資源である
有機資源は使い道はあんまりないんだがその分入手が難しかったりする
他の大陸での主な入手法は
汚染されていない場所を探し。そこにあるアイテムを集める
その汚染されていない地域は毎日変更されてしまうのである
だがこの新大陸は何処も汚染されていない
つまりここでは有機資源を集め放題なのである
「お~・・・まさかのお金持ちからのさらにお金持ちだよ」
「いや、有機資源はそんなに儲からないけどな」
需要は少ないからね
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「ジンクロウ様。ディーラーという方からお電話です」
「繋げ」
「こんな遅くにすみませんミスタージンクロウ」
「無駄話をする気はない。とっとと要件だけ話せ」
「YES。ヨウコ イキタはこちらに付きました。情報を随時提供してくれるそうです」
「それだけか?」
「こちらから言うことはそれだけですが質問をしたいと思いまして」
「質問だと?」
「はい。貴方は首相を引きずり降ろして何をしたいのですか?ただ自分が首相になりたいだけなのですか?」
「貴様に答える必要性を感じないが?」
「そうかもしれません。しかしやはりそちらの目的を知っておけば指示が無くてもそちらと動きが合せられますので。ア~ウンのコキュウというんでしたっけ?」
「・・・・阿吽の呼吸だ」
「それそれ、一応知っておけば急なトラブルに対応できるかもしれませんし」
「この国なんぞどうでもいい」
「と、いうと?」
「私には大義がある、祖国復興という大義が」
「アノ国の復権ですか」
「当然だ、そのために戸籍や個人情報まで書き換えて祖国に裏切り者と言われても耐えてきたのだ」
「なるほど、我々もその祖国で生きていけるのですか?」
「当然だ、報酬として戸籍を提供してやる」
「それは楽しみです。しかしこの国の国民は可哀そうなことになりますなぁ」
「当然の報いだ。我々がどれだけ苦痛を味わっていても助けなかった奴らなのだからな」
「意図と覚悟は確認しました。では仕事に戻らせていただきます」
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「・・・・・お父様、こんな時間に何様でしょうか?」
「双葉、お前の計画に進行度合いを確認したい」
「ホーネットと一緒にいろいろ調べてますよ。あぁ、決定的な証拠を見つけたかもって言ってました」
「ほう・・・内容は?」
「内容はまだ確認していませんがホーネット曰く確実に首相を退任させられるネタだとか。いま資料をまとめているそうです」
「そうか・・・資料をまとめたらこちらに遅れ。急ぎでな」
「急ぎですか?」
「あまり時間が無い。今年中に首相は不法滞在者の強制捜査に乗り出すかもしれん。そうなれば潜伏してる奴らが一掃される」
「そうですね。最近彼らも我慢できなくなってるのか表沙汰で問題ばかり起こしていますし」
「もうすぐだぞ。もうすぐ我ら祖国の復権に手が届くのだ」
「・・・・・そう・・・ですね。えぇ、そうでしょう。お父様。事を成してください」