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宇都宮家は普通じゃない

午後5時頃、寮に帰ってくる

玄関を開けると夏妃が待っていた。


「お帰りなさい、あなた♪」


なぜそんな呼び方なのは突っ込まない、それ以上におかしい所があるからだ


「あー・・・何が起きてるんですかね?」

「あら?この格好はお気に召さない?結構苦労したのだけれど」


それ以前の問題です

彼女はいつもの制服姿であるが、なぜか服の上から荒縄で体を縛っていた


「読みが外れたわ・・・」


そう言った後小声で「飛びついてくると思ったのに・・・」という発言は聞き逃さなかった

しかし追求するのは危険と判断、ここは聞かなかったことにする


「仕方ないわ。縄、解いてくださる?」

「いや自分で・・・」

「縛ったのはいいけど解けないのよ。解いて♪」


面倒だが仕方ない、とっとと解くとしよう


---


結論から言えば放置すべきだった

結び目は背中にあり解こうとするのだがかなり固い

力を入れるたび夏妃の体が震えている


「ん・・・あっ・・・♪」


お願いですから少し静かにしていただけないでしょうか

身じろぐたびに艶やかな黒髪が揺れて白いうなじが!

あとなんかいい匂いが!


悪戦苦闘してる時に更なる悲劇が襲う

玄関が開き人が入ってきたのだ


「夏妃~!おじいちゃんダヨー!」


おじいちゃんを名乗る筋骨隆々の老人の眼前には縛られた夏妃

そしてその後ろには縄を引っ張る俺。あ、これは人生が終わったかもしれん


「な、夏妃・・・」

「あら?おじいさま?」


やはり夏妃の祖父だった

さてどう言い訳するか。いや言い訳以前に誤解だ

俺は何も悪くねぇ!


「なるほど・・・夏妃!おじいちゃんも混ざる!」

「ごめんなさいおじいさま。彼は緊縛は趣味じゃないらしいの」


3秒で解決、問題はなかった


---


ダイニングで夏妃とその祖父、名は「源十郎(げんじゅうろう)」だそうだ、は談笑している

俺?お茶入れてます

入寮して少し経ち1つ判明した事がある

寮生5名、料理どころかお茶すら入れることができない

俺は将来を考えてちゃんと家事全般勉強しました

そんなわけで2人に緑茶を入れる


「この寮で熱い茶が出てくるとはなぁ・・・」


どうやら今まではペットボトル飲料を出していたらしい

接客としてはどうかと思うよお嬢様


「グッジョブじゃ夏妃!いい男見つけたな!」

「最上級の一品だと思いますわ!」


2人で勝手に盛り上がらないでください


「嫌そうな顔しとるのぅ。なんじゃ?夏妃じゃ不満か?儂の愛妾共でも紹介しようか?50人ほどいるからより取り見取りじゃよ?」

「あら?おじい様の愛妾ってみんなDからFじゃない?残念だけど私の悠はAからAAAが好きなのよ」


あなたの物になった記憶はございません

あと何で貧乳好きって知ってるんですかね?


「ホッ!私のと言いよった!宇都宮家は将来安泰になったというわけじゃな」

「ええ。この学園に入ったからには彼はずっと私の隣にいる義務が発生しますもの」

「だが一線はまだ超えてはいかんぞ、犯罪になってしまうからの?」

「ええ、婚約者として節度あるイチャラブライフをしていきますわ。婚約者として」


もう帰ろうかな・・・ここに来たのは失敗だったかもしれん

学費免除でこんなところに来てしまうなんて・・・なんて巧妙なトリックだ!

いいね?これは巧妙な罠だ。決して俺がチョロいわけではないんだ


「夏妃、ちょっと悠きゅんと話がしたい、2人きりでな」

「じゃあ部屋に戻っていますわ」


いい年した爺さんが男にきゅんとか言わないで気持ち悪い

夏妃がダイニングを出て2階に上がっていく


「さて森口悠君」

「はい」

「うちの孫、美女じゃろ?」

「否定はしません」

「あんな性格じゃが夏妃はとてもモテる。毎月男からも女からも告白されてな、んで儂が理事長なもんだからお見合いとかもえらい申し込まれてな」


それは納得がいく。外見はすごく魅力的だ、モテないはずがない


「だが夏妃は今まで交際を一切したことがない、交際してる暇があったらゲームをしとる。いつもな」

「正直不安に思っておった。一回りも二回りも年上の野郎共がお見合いを申し込んでくるせいで男を怖がっておるのではないかと・・・」


権力を持つっていうのは良い事ばかりじゃない、わかりやすい例だ


「そんな夏妃が君のことを自分の物だと言った。とても良い事だ」

「どうじゃ?婚約を前向きに考えてくれんか?」


まだ出会って一か月もたってないんだけどなぁ・・・


「それはまだ決められません。お互いのことを何も知らないので」

「それもそうじゃな。じゃあ婚約者の候補の1つとしよう」


遠まわしに嫌ですって言ったつもりなんだけどなぁ


「君が夏妃の婚約者第一候補じゃ」


なんか勝手に話し進んでる。だめだこの人、会話が通じない


「大丈夫じゃよ。理事長は夏妃がするし、その補佐や労いをするだけじゃ。それだけで毎日贅沢な生活ができるんじゃよ」

「ダイジョブヨーワタシウソツカナーイアナタダケノイイハナシヨー」


詐欺の常套手段みたいになってきたぞ

胡散臭いことを言っているが突然真面目な顔になる


「正直な話。夏妃はこの寮の人間以外とはあまり関わりたがらない。なんというか一線を置いてると言うか。

だからじゃ、婚約者までとはいかん。心を許せる親友ぐらいにはなってくれんかのぅ?ダメ?」


真面目なこと言ってると思いきやいきなりぶりっ子ぶる

この爺さんあまりシリアスは長く続けられないらしい

心を許せる親友ね


「婚約者の話は置いときまして。友達になるくらいなら別にいいですよ」

「そうかそうか!」


心底嬉しそうな爺さん。それで満足したのか


「まぁここまで引き出せたなら今日は十分じゃな!じゃが儂はまだ諦めておらん。君を何時か夏妃の嫁にしてみせるぞ!」


そこは婿でしょ?なんで俺が嫁なのさ

そんなこんなで爺さんは鼻歌を歌いながらスキップして帰って行った

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