女子力(物理ではない)
「おはようございまス」
「おはよ~」
現在朝の7時
早朝五時に電話が来た
「すいません悠さん、急な用事で朝食を用意できません」
と、いつも食事を用意してくれる従業員?が言ってきた
なので今朝は俺の手作りである
「オヤ?いつもと食事が違うフインキですガ?」
あ、コイツ気づくのか
「ああ、今日は俺の手作りだ」
「なるほド」
「おはよう悠君」
「おはよ~ございま~す!」
他のメンツも来た
時間が足りなかったので簡単なものしか用意できなかった
白米・麩と葱の味噌汁・スクランブルエッグ・ソーセージ
「・・・・和食?」
「いやどう考えても和食じゃねぇだろスクランブルエッグは」
仕方ないじゃん
本当は魚の塩焼きとか用意したかったけど魚なんてなかったし
「まぁこれはこれでアリじゃない?美味しいし」
「美味美味」
そしてアデューはスプーンが止まっている
箸を使ってもらいたかったがどうにも苦手なようなのでスプーンである
「あ、なんか苦手なものあったか?」
「苦手な物なのか解らない物がありましテ・・・・」
ん・・・あ~・・・
「納豆見たことなかったか・・・」
「いエ、見たことも聞いたこともあるんですがジッサイに食べたことは無いんですよネ」
こいつ普通になじんでるけどエストニアだから欧州?の人間なんだよな
「シュールストレミングってエストニアじゃなかったっけ?」
「エストニアでも食べる人はいますけどアレはスウェーデンですね。ワタシは食ったことないでス」
スウェーデンとエストニアってすぐ近くだと思ったけど食わないのか
「アレよりはマイルドだと思うけどなぁ・・・」
「あ、悠君。確か台所にふりかけ無かった?」
あ、そんなのもあった気がする
さっそく台所の引き出しを探してみる
たまごふりかけ・とりそぼろふりかけ・鮭フレークふりかけ
・・・・業務用わさびふりかけ
おい最後のコレはなんだ
内容量は1キロ・・・1キロ!?
とんでもない隠し玉である
「っつーことで白米選択肢。お好きにどうぞ」
「納豆うめぇ~」
アイアスは納豆ごはんにご満悦である
お前は大丈夫なのか・・・
「納豆初めて食べますがいいですねぇ~昆布つゆかけて輪切りの葱、おまけで鰹節。まさにウマし」
こいつアイアスって名前だけど実は日本人ではなかろうか・・・
「トリソボロ?・・・美味しいですネこれハ」
アデューはとりそぼろが気に入った様子
「イヤー昨日の学院祭といい料理といい悠センパイはいいお嫁さんになれますネ」
む?コイツ気が付いてたのか
「あれ?そういえば先輩昨日見ませんでしたね?」
「そういえばそうよね?」
そして2人は気が付かず
「エ?二人とも気が付かなかったんですカ?昨日の春子ちゃんなる人物ガ悠先輩ですヨ?」
「え・・・・?」
「なにを訳の分からない・・・・マジで?」
では説得力の出るようにしてやろう
「みんな~小春だよぉ~!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「畜生!ちっくしょうぉう!返せ!俺の青春返せ!ふざけるな馬鹿野郎ぉ!」
効果は抜群だ
「あ、悠君。あとでちょっと部屋に来て」
混迷の中空気を読まずに夏妃が話しかけてくる
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「きたぞ」
「いらっしゃい」
食後の登校前に訪れる
「いやちょっとこれ付けてみてほしくて」
そう言って小さな箱から出してきたのは
「ヘアピン?」
である。かなりシンプルで飾り気がない
「そう、ヘアピン。ちょっと動かないでね」
そう言って前髪の左側にヘアピンを付ける
「おぉ~・・・やっぱ似合うわね」
「いや、さすがに女っぽくね?」
「そうでもないわよ、悠君って中性的だからそういうの似合うかなって思ったけど予想通りだったわ」
褒められた気がしない
「まぁ騙されたと思ってそれで学校行ってみて。皆に変って言われたら外していいから」
「じゃあまぁこれで行ってみるけどさ」
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「ヘアピンって言えば女性ってイメージだったが・・・普通に似合ってるわ」
「夏妃先輩の着眼点素晴らしいわね」
「まさか男の娘にこんな萌えを感じるとは・・・」
と評価はなかなかのものだったのだが
とりあえず俺に萌えを感じないでくれ