騙されてる人達
僅か二週間しかない夏休みが終わった
色々文句の言いたい短さではあるが
成績良けりゃ年中午後から休んで良し!
なんてルールがまかり通る学院である
シカタナイネ
そんなわけで8月中旬
学院祭が間もなく始まるために準備してる最中なんですがね
まぁこれを聞いてもらいたい
1年の準備
「ちょっと~段ボール小さすぎない~?看板にならないよ~」
「え~・・・じゃあそっちでやってくれよ。こっちも忙しいしさ~」
「仕方ないわねぇ・・・」
続きまして2年
「ちょっと男子!もっとテキパキ動いてよ!女子に料理関係任せるって言ったのはそっちでしょ!」
「悪ぃ、いろいろ仕事溜まってるからさ。」
「人手足りないの?じゃあ女子から3人くらい手伝いに行っとく?」
「ええ、とにかく当日までに間に合わせるの。かっこ悪いとこ見せたくないでしょ?」
「ったりめぇだろ!今年は完璧にしないとな」
ここまでは普通ですね
まぁちょっと2年が気合入ってる感じですが
では・・・・・その・・・
3年の様子をどうぞ
「窓枠に黄ばみがあるぞ!もっとしっかり拭き取れ!」
「「応っ!!」」
「時計も時間がずれてる!秒単位で合わせろ!」
「「応っ!!」」
「挨拶は完璧か!男子発声!」
「いらっしゃいませぇ!」
「伸ばすな!終わりはピタリと止めろ」
「いらっしゃいませ!」
「声が小さい!そんな事では結果は出んぞ!」
「「「いらっしゃいませ!!!!」」」
「良し!女子!」
「いらっしゃいませ!」
「力強すぎる!もっと穏やかに!」
えぇ・・・まぁ・・・
なんだこれ?
3年の温度差が凄まじい
「そんな菊月君の疑問を晴らすために私参上!」
「惨状?」
「参上ですぅ~・・・とにかく理由が判明したのでお答えしましょう」
突然現れるアイアス
最初は驚いていたのだがこの神出鬼没にもはや慣れてしまった
「去年アイドルが現れたらしいよ?」
「アイドル?」
「あ、別に芸能関係の人とかじゃなくてね。夏妃さんの親戚らしいよ?」
「それがアイドル?」
「なんたってアイドル。すっごい可愛いらしいよ?それで今年も来るんだって」
あ~・・・3年最後の思い出だからか
かっこいいところ見せたいとかそんな感じですか
「でも菊月君には関係ないよね?菊月君のアイドルは私で確定だから?」
「何言ってんのお前?」
いやほんとに何言ってんのお前
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で
学院祭当日
「「「「「春子ちゃ~~~~~~~~んいらっしゃ~~~~い!!!!」」」」」
これには2年も一般の人たちもドン引きである
なお3年男子だけではなく3年の女子も大興奮である
「みんな~今年も来たよぉ~!」
「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」
そんなイカれた3年に律儀に返事する女性。天使か!
「うぉぉぉ・・・なんですかあの美少女?天使?天使ですか?または女神?」
いや、確かに天使だわ
何あの美しさ
夏妃さんの親戚とか聞いたけど同じ人間とは思えねぇわ
「菊月君!駄目!もうあの人見ちゃ駄目!あんなの見たら目が潰れちゃう!」
そんな馬鹿な・・・
そんなことを思いながら眺めていたら
眼があった俺にニコリと笑いながら軽く手を振ってくれた
「ぐぁぁぁぁぁぁアイアスぅぅ医者呼んでくれぇぇぇ!」
「<<ああ!キクヅキ・クンがやられた!>>」
「・・・・・・何してんの?あんたたち?」
「新種の漫才かなにかでハ?」
そんな破裂しそうな心臓を抑えながら彼女に違和感を感じる
なんかあの人知ってる気がする
っと言うか毎日会ってる気がする?
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今頃夏妃と悠は学院祭か・・・・
夏妃はいつも通りの格好だったが悠は違った
去年の女装に加えて微妙に化粧もしていったのだ
どうにも学生たちの反応が楽しくなったらしい
このまま変な趣味に目覚めないでほしいものだが・・・・
そんなことを考えながら私は目的の喫茶店に向かう
「お待ちしていましたよ・・・」
「アンタが電話の人?」
目の前にいたのは20代前半くらいの小奇麗な男だった
「ええ。その通りですよ」
「で、何が狙いだ?」
回りくどいのは嫌なので結論だけ聞く
「警戒していますねぇ。あまり年上に対して無礼な物言いはするべきではありませんよ?」
「年下だからって突然電話で弱みバラされたくなかったら来いってのは無礼だと思わないのか?」
「無礼?はははそれは失礼。ですがあなたに拒否権はありませんので」
弱み
-夏妃に事故の詳細をばらす-
それがこの男の言ったことだ
もしそれが夏妃に知られたら私は生きていけないだろう
男の要望は3つ
夏妃の人間関係
理事長の人間関係
理事長室の盗聴
これを調べろという
「もちろん結果が出たときはあなたにお礼を支払いましょう」
「何をくれるってんだ?」
「夏妃さんに独占されている愛しいあの人とかは如何ですか?」
あぁ・・・つまり悠をお前にやるから学院を破堤する材料揃えろってことか
「いいぜ、その3つをやればいいんだな?」