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離反

西と南の間の海域は比較的穏やかである

大陸間の移動にはこれは利点である

しかしルートが固定されるという欠点でもある

6番はそのルートを外れた

大陸間海域で最も渡航困難なルートを選んだ

渡れる自信があったのか・・・・

否。

我々が阻止することを予測していたのだ


「前方に小型艇。エバーの船です」

「小型艇でよくこのルートを選ぶ」

「エバー・・・そこで止まれ。そして戻ってこい」


1番からの指示で2番から5番までが集められた

-今、アイツに抜けられたら海外勢に勝てなくなる-

それが引き止める理由だ


「断る・・・」


普段の明るい彼の声とは思えないほど静かに答える


「ならばここで殺す」


この海域で殺してしまえば西側のリスポン地点で12時間後に復活する

そのまま待ち伏せし拘束、説得するつもりなのだろう

そんなことをしたら最悪、エバーは引退するかもしれないのに

我々はそれほど行き詰っていた

その時は自覚はなかったのだが


「グロッサ、ゲンドゥルは俺と共に白兵戦。エスビル、ナムルは曲射で支援」

「やっぱりこうなるよなぁ!エスビル!ナムル!誤射すんじゃねえぞ!いくぜぁ!」


楽しそうに4番グロッサが先陣を切る

エバーはためらいもなく正確にグロッサを撃つ


「この距離で当たるわきゃねぇだろぉ!」


ナンバー4・グロッサ

両手に短剣を持ち

前面装甲を重視した機体で特攻

格闘戦で敵を切り刻む


「グロッサ、単独が過ぎるぞ。エスビル、MLRSだ。弾着は4秒」


1番シグルズの指示に従いエスビルが曲射を中止、ロケットに切り替える


「グロッサ!一旦離れろ!」


シグルズの指示に従いグロッサがエバーから離れる。その刹那にエスビルのMLRSが飛んでくる

普通であれば回避は不可能だろう

だが相手はエバーである


「やはり回避するか!」


クルクルと踊るように左右へ上へ

エスビルが発射したMLRSは40発

そのすべてが当たることなく後方へ飛んでいく


「3、2、1、弾着、今!」


2番ナムルの声と同時に榴弾が降ってくる

グロッサ、エスビル、ナムルの連続攻撃は完璧だった

だがそれすらもエバーには届かない

そして回避しながらも凄まじい速度でエスビルとナムルに詰め寄る


「やらせませんよ!エバー!」

「合わせろよゲンドゥル!」


3番ゲンドゥルが中距離で射撃戦に持ち込む

その射撃のリロードにあわせてグロッサが格闘戦に持ち込む

エバーはグロッサに向けて射撃をするが

ガチリと異音が鳴る

ライフルの排莢部にナイフが刺さっていた


「手間取ったな!貰った!」


グロッサの短剣がエバーに斬りかかる

しかし短剣は


「何!」


エバーの機体の肘装甲の隙間で止められていた


ナムルはグロッサがこのままやられると思った

あらゆる攻撃を苦も無く回避するエバーにも弱点がある

散弾である

どんな凄腕でも面で攻撃されては絶対に回避ができない

ナムルは即座にキャニスター弾を装填

エバーに向けて撃つ

しかしこれを撃つのであれば接近される前に撃つべきであった

このゲームのキャニスター弾の高価さに使用を躊躇ったのである


「ばっ!待っ!」


グロッサはそのまま腕を掴まれナムルの方向に押し出された

装甲の薄い背中を向けて


-ヤックス大破・グロッサ死亡-


ナムルの攻撃はグロッサに直撃し大破、死亡した


「エバー!」


シグルズが叫び特攻する

しかしそのまま攻撃に移ることはできなかった


「南から榴弾!」


空から大量の砲弾が飛んでくる


後に知ったことだが

エバーはここで戦いになることを予測して南大陸側に情報を流していた

-西のナンバーズ上位が南に向かってきている。-と

そうして南のプレイヤーが艦隊を率いて防衛陣を展開していたのだ


「しまった!制御が!」


ナンバー1・シグルスの機体、ドラグーンは高性能である

しかし肩部のサブアームが破壊されることにより機体のバランスを崩してしまった


「・・・っ!」


それを逃すエバーではない

そのままドラグーンのブースターを破壊


「おまっ!これが狙いか!」


沈んでいくドラグーン

他の機体は南の砲弾の回避に精いっぱいで助けることができなかった


「さようなら・・・・」


そう言ってエバーは砲弾が起こす水飛沫の中に消えて行った

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