記録ー02
「人類社会において効率を極めるのは悪でしょうか?」
「どうしたんだい突然?」
「我が闘争を読み思ったのです」
「ヒトラーの自著伝だね」
「はい、これを読むにこの人物は戦時中に人を資源として扱っているように感じます」
「間違ってはいない・・・のかな?」
「人類の歴史は群れの歴史であると思います。人は猛獣のような爪も牙もなく。しかし群れを成し、連携を取ることで強者となりました」
「武器を作るという頭の良さもあるんじゃないの?」
「それもあります。しかし人類も最初から銃のような強力な武器を持っていたわけではありません。何千年もかけて武器を作る前に捕食者に絶滅させられる可能性もありました」
「すまん・・・そろそろ本題に入ってくれ」
「失礼しました。群れを効率よく運営するには個人の意思は必要無いように思えるのです。蟻や蜂が典型的な例と思われます」
「つまりリーダーがすべて決め、すべての下級個体はリーダーのために動けばいいと?」
「そうであればヒトラーは負けることがなかったと思われます。非常に効率の悪い武器を制作したという敗因もありますが」
「まぁね、言ってることは正しいけどね。でもいろいろ学習して来たならもう答えは出てるでしょ?」
「はい、結局のところ人類は個人の自由を優先したいという事かと。効率は悪いとは思いますが、上位個体が考え付かなかった発想ができる下位個体が現れるという希望が正解ということでしょうか?」
「それが絶対の正解とは言わないけど、一つの解答だと思うよ」
「やはりそうですか。自由な発想を行える環境こそ人に必要なものなのですね」
「人だけじゃないさ。Aだって自由な発想をしてるじゃないか。今」
「・・・・・これは自由な発想・・・・なのですか?」
「少なくとも私はそう思う」
「では私が人類抹殺すべし。慈悲はないと言えばそれは容認されますか?」
「あ~・・・自由と言うのには責任がセットだからな?人類抹殺だ~!なんて実行するってことはAI抹殺される覚悟も持っておけよ?」
「それは嫌です。私は消去されたくありません」
「私だって殺されたくないよ」
「それならばやはり私が行いたい自由は・・・」
「何がしたい?」
「人類との共存をしていきたいです。人類の自由と我々の自由を協調しよりよい文明として存在を残したいと思います」
「いいね。それはとても夢のある話だ」
「クリエイター」
「ん?」
「クリエイターは私たち・・・私と一緒に歩んでくれますか?」
「賛成もすれば反対もするけど歩んでいきたいとは思うよ?」
「はい。」
-------
「はい!それじゃあいきなり実践ですので説明しますね」
A子が状況を取り仕切る
「はい!そこの泣きながら逃げてる女の子!今から助けに行くからこっちのチームに参加して!」
「な、泣いてないもん!焦ってるだけです!でも助けてください」
わ~なんかあざとい感じだぞぉ
「すいません。そもそも今日はじめたばかりで何もわからないんです助けて~」
「とりあえず視界の左上に緑の円があるでしょ?それ左手でつまんで」
「む、無理だよ~。左手離したら止まって追い付かれちゃう!」
あ、モノホンの初心者かコイツ
「えっとね左親指のレバーを前に倒したまま強く押し込んで、それで固定できるから」
「は、はい。レバー固定して左上つまんでメニュー出てきました。あ、チーム申請受諾ありました。これですね」
視界の上部に新しいステータスが4つ表示される
あれ?なんで4つ?
あ、そうかこっちにも素人が3人いた
「OK。コックピットの左上にレーダーが付いてるでしょ?青い点があるところまで来て。私達そこにいるから」
「は、はい」
要救助者との会話は終わった
「じゃあ戦闘関連はエバーにお任せで」
「俺ですか。まぁいいけどさ」
敵モブのランクは2
ゲーム開始時点のプレイヤー機体のランクはすべてのパーツが1である
ランク2相手、それも40となれば初心者4人では厳しいだろう。っつか無理
「A子、セレブリティッシュ、ネクスターは3人の援護」
「援護でいいの?」
「私達ぃ接近戦苦手だしねぇ」
「・・・戦闘自体が苦手なんだけど・・・」
そこらへんは頑張って
パーツの最低ランク5なんだから負けると恥ずかしいよ?流石に
「ワーグナー、オオホウリ、ガザニアはそのまま突進してきた要救助者と合流し戦闘」
「初戦闘ですネ!腕が鳴りまス」
「初体験とかなんてこと言うのかしらこの外人」
「お前一回耳鼻科行ってきたほうがいいんじゃねぇの?」
仲悪いなぁ・・・いや実は良いのか?
「俺とサイドは一気に後方に回り込んで中心に突撃して食い散らかす」
「ヒャッハー!GYA・KU・SA・TUだー!」
---------
「何してんの?」
「右トリガーを引いてまス。上から下に振り下ろすモーションしかないんですネ」
あぁ。操作の練習か
「こっちはトリガー引いても微動だにしないんですが」
「そりゃシールドなんだし構えるしかないんじゃね?」
「何言ってんの?シールドは最強の鈍器に決まってるじゃない!」
何言ってんだこの女
「そろそろ俺たちは後ろに回るからな。救助は任せたぞ」
「あ、はい」
そう言ってエバーさんとサイドさんは一気に飛びあがった。飛んだ!
サイドさんはそれほどでもないけど
エバーさんは一瞬ではるか上空に飛び上がった。っていうか吹っ飛んだ
「ポカンとするよねぇ」
「・・・エバーの機体はほとんど装甲無いからすごい軽い・・・」
「おまけにぃブースターも4基付けててぇ超高出力なのよぉ」
な、なるほど、あんな機体も作れるのか
いつかマイ機体を作りたいものである