二度目の春
4月1日
今日から俺はこの学院に通うことになる
入学式は無く
クラスメイトのほとんどは中等部から一緒らしい
高等部で余所から転入してきたのは10名ほどだという
このクラスでは3名
俺と
「高野・菊月 です。よろしく」
俺から少し離れた金髪の男
「アルヴィルト・ディス・アレクセイ デス。エストニアのクレサーレからきましタ。よろしくおねがいしまス」
俺の正面の女
「柊・千鶴 です。よろしくお願いします」
転入生3人が続けて自己紹介する
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軽くホームルームを済ませた後すぐに通常の授業が始まった
編入で勉強に差があるか少し心配になっていたがそこまで違いはなかったらしい
午前の授業も終わり午後の授業はサボった
学内が気になったから探索するためだ
「アナタは午後の授業は受けないんですカ?」
そう後ろから声をかけられた
「あ~・・・アルヴィルト・・・さん?」
「ハイ!アルヴィルトでス。地元ではアデューと呼ばれていますのデよかったらそう呼んでくださイ」
なんという爽やかスマイル
「そういうアデューは授業どうすんだよ?」
「slowdown」
どういう意味だ?
「日本語ではsabotageでス」
「なら最初からサボタージュって言えばいいやん?」
「サボるの語源は英語のサボタージュですけど本来の意味は「破壊活動」と言う意味なんですよ?」
横から第三者が指摘する
「午後の授業は強制ではありませんが転入初日から退席とは如何なものかと?」
「お前が言うな」
「ブーメラン、突き刺さってますヨ?」
第三者の正体は柊千鶴である
「てへぺろ♪」
なんというあざといリアクション
「そういう柊サンは何か御用ですカ?」
「ええ・・・恥ずかしながら2人にお願いがあって」
お願いとな?
「ここ・・・・どこなのかしら?」
「はい?」
「ハイ?」
何処って・・・学院の・・・
「あれ?どこだここ?」
「これは、歩き回ってるうちに迷った感じでしょうカ?」
「うわ・・・この人たち使えない・・・」
なんて失礼な女なのか
とりあえず目の前の部屋から声が聞こえるから3人で入ってみる
「「「失礼しまーす」」」
部屋の中にはパソコンの画面を見る4人の男女がいた
「え?誰?」
「あ、今日新学期だから新入生じゃないの?」
これが高校生活どころか一生を決めることになる出会いとは考えもしなかった