産★廃
だいぶ最初の話で宇都宮学院に入学式は無いという話をしたのを覚えているだろうか?
卒業式も同様で小学・中学には無い
学院は高校まであるので高等科でのみ卒業式を行うそうだ
んでなんで今更そんな話をするのかと言うと
明日、卒業式である
3年生はいろいろとバタバタする時期だろう
そう考えながら寮に帰る
「ただいま~」
「おかえり悠君。ご飯食べたら全員でログインするからヨロ~」
おい三年生
おまえさん明日卒業式だろうに
「明日の準備とかいいのかよ?」
「全部終わったので問題なし」
それでいいのかお前は
「ちょっと思うところがあってアバター弄りたいのよ」
あ~キャラメイクとか後でやろうと思ってたら「あれ?どこ弄りたいんだっけ?」ってなることあるよね
「あと亜子のレーダーユニットよ。あれで私の端末が産廃になったそうじゃない?」
「そんなこともあったな」
そのあとのゴタゴタで完全に忘れていた
「で、もし事実なら機体の構成も考え直さなきゃ」
「それで?機体制作の進歩状況は?」
夏妃が刹那で目をそらす
「・・・・さ・・・30%・・・くらい?」
疑問形ですな
「本当は?」
「すいません・・・まだ頭の中でしか考えてないです」
嘘は良くないと思うよ?
「機体に関しては私にいい考えがある」
「その物言いだと大体ロクでもない結果になるよね?」
「大丈夫だ。問題ない」
実際問題ないと思う
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「と、言う事で。アクセサリを追加したんだけどどこかわかるかしら?」
「チョーカー?」
というより首輪ですねそれ
「正解。いや~、本当は現実でつけようと思ったんだけど洋子にダメって言われちゃって」
「普通はそうだろうよ」
ある日、学校の同級生が制服姿で首輪付けて登校してきたらだれだってドン引きするわ
あぁ・・・だからゲームの中で首輪付けたと
そしてそんなことする理由は?
「ん?ん~・・・主従関係?」
よし!これ以上はやめておこう
「おまたせ!他の皆はもうちょっと遅れるってさ」
A子!ナイスタイミング!
危ない話を切り上げてチームの倉庫に移動し、A子が装備することになったレーダーユニットの話に移る
「・・・っていうことで1.5キロの索敵範囲が確保できたので索敵端末は用済みよ」
「用済みって・・・あれ作るのにどれだけ苦労したと・・・・」
「でもこれで端末分の軽量化が見込めるわけだから利点は大きいよな」
話の途中でサイドたち3人も合流した
「あとの問題はセイレーンの機体だよな」
「あ、そこらへんはこちらで何とかしました」
そう言って倉庫に新しい機体を読み込ませる
「おぉ!中量2脚だ」
実を言うと俺は以前から機体を2機持っていたのだ
この中量2脚、俺がバレットナンバーズにいたころの機体である
中量と侮るなかれ、装甲は少々薄いが機動力と積載力に力を入れた攻撃特化である
「どうやって2機も所持していたの?」
「あ~企業秘密?」
別にそんな秘密にすることでもないが
南大陸から少し離れた海底に放置していたのである
以前なんとなくそのあたりを探索していたら公式の地図に映っていない亀裂があったのだ
恐らくMAP間を繋ぐときに発生した不具合
その場所にナンバーズ脱退後に持ちきれなくなった資源や当時の機体を隠していたのである
「え?何この機体?やたら高性能なんですけど?」
「あれ?肩に№6って書いてるんだけど?」
「あ、消すの忘れてた。後で消しといて」
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エバーから送られたこの機体。恐るべき性能である
装甲の薄さに不安はあるもののこの積載なら自分が使っていた武器はすべて搭載可能であろう
「№6って書いてるってことはこれ、バレットナンバーズ時代の機体よね?」
「Exactly」
数年前の旧式パーツで作った機体で現在の機体を凌駕する性能
全盛期のバレットナンバーズが如何にバランス崩壊した組織だったのかがわかる
「大事な機体じゃないの?私が使っても大丈夫なの?」
「いいよ、どうせもう使わないつもりだったし」
簡単に言ってくれる
だがありがたいとも思った
とりあえず機体はあまり弄らずに武器を装備していく
右手に中口径のライフル
左手に大型ナパームランチャー
右肩部に大型シールド
左肩部に小型ミサイル
右腰部にサブアームを増設しそこに小口径のアサルトカービン
これだけ武装を詰め込んでも機動性は全く損なわれなかった
「あとは機体の操縦設定だな」
「そこらへんはチマチマ弄っていくしかないわね」
そして明日は卒業式だという事を忘れて深夜まで機体弄りに没頭するのであった
翌朝眠かったのは言うまでもない