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素晴らしき日々

その日の夜、大きな屋敷に高級車が止まる

その後部座席から可憐な少女が降りる


「お帰りなさいませ。」


一人の女性がメイド服で出迎える


「ええ、ただいま」

「いつもより少々遅いご帰宅ですが、何か問題でも?」


無表情にメイドは問う


「問題はないわ、もうすぐ今のクラスメイトともお別れだから少し話が長引いただけ」

「そうですか、遅くなるのであれば連絡を頂けると助かります」


無表情、且つ威圧的ともいえる言い方をする

しかし少女はそんな彼女の言葉にも慣れている

このメイドは家事全般は優秀だが感情表現がきわめて不器用なのだ

最初こそ腹を立てていたものの本音がわかるようになったら純粋にこちらのことを案じての発言なのだと気が付くようになった


「間もなくお食事の時間になりますが・・・着替えは私の部屋でした方がよろしいかと」

「何か問題でもあったの?」


どうせいつもの{お兄様}の癇癪が起きているのだろう。と察した


「はい、陽一様が少々部屋で暴れておりまして」


少女の名は双葉。獅子堂双葉

獅子堂ジンクロウの養女で陽一の妹である

そして双葉の隣の部屋は陽一の部屋である



屋敷に入り双葉とメイドが廊下を歩きながら会話する


「今度はどんなトラブルが起きたの?」

「はい、なんでもせっかく気を使って忠告してあげた後輩に鼻を折られたらしく」


可笑しいね、鼻を折られたのに病院じゃなくて家に帰ってくるんだ


「実際は?」

「鼻の中の血管が少し切れただけでした。もう止まってます」


大げさな行動はいつものことだ


「ですが頑なに骨折している。と主張しています」


触らぬ兄に祟り無し

ここは関わらないように避けるべきだろう

メイドと双葉の意見は一致した


「双葉」


廊下の前方から名を呼ばれる


「あら、ただいま帰りました。お父様」


養父、ジンクロウが目の前に立っていた


「陽一の件は・・・」

「今聞きました」


ジンクロウは不愉快そうな顔をしている


「無用なトラブルを起こしたうえに、トラブルの相手が問題でな。宇都宮の孫とその交際相手だ」

「あ~・・・」


よりにもよってコネを作りたい理事長の関係者とトラブルを起こしたというのだ

私が養子に迎え入れられる前から兄は問題ごとをよく起こしてるらしい


「貴様からも多少の警告はしておけ、このままだと最悪の処遇になるとな」

「わかりました」





--------




翌朝

目を覚ます


「おはよう、悠君」

「おはよう」


夏妃と同じベッドで


「昨夜はお楽しみでしたね」

「ただ抱きしめあって寝てただけなのでセーフです」


同衾しただけです

それ以上のR-18とか成人指定なことは決してしておりません


「いつかはしてくれるんでしょ?」

「するのは結婚してからですよ」


学生だからネ!節度は守ろうね


「その結婚について質問良いかしら?」

「どうぞどうぞ」

「日本の結婚適齢期って男性18歳・女性16歳でしょ?」


そうだね


「じゃあ悠君は卒業したらすぐに私と結婚してくれるってことでいいの?」

「え、まぁそれでもいいんだけどできれば生活が安定してからにしたいなぁ」


結婚には愛が必要不可欠

でも愛だけでは結婚生活を維持できないとおもうんですよ

やっぱり将来を見据えて結婚を考えないとね


「話は聞かせてもらった!!」

「話は聞かせてもらったぞい!!」


洋子と理事長が飛び込んでくる

最近俺の部屋の鍵ガバガバじゃないですかね?


「で?ヤったの?夜にシッポリしちゃったの?」

「お爺ちゃん興味津々!来年にはひ孫の顔見れたりしちゃうの?」


何も聞いてないじゃないか


「一緒に寝ただけですから、それ以上は何もしてません」

「キスとかしとらんの?」


あ、キスは昨日しました

濃厚なヤツを半ば無理やり


「つまらん!おじいちゃんつまらん!」


だがここで起爆剤は投下しないほうがいいだろう

ややこしくなる


「で、真面目な話をするとだね」


理事長が急に真面目な顔になる


「ありがとう」


突然に頭を下げる


「そしていろいろ黙っていてすまんかった」

「アタシも、何も教えてなくてごめんな」


多分2人は夏妃を傷つけたくなくて言い出せなかったんだろう

夏妃の過去を話したら俺が出ていくかもしれない。と


「びっくりはしたけど特に気にするような内容じゃなかったですけどね」

「強いのぅ・・・」


いいえ、多分弱いんです

弱いからいろいろと達観できてしまうんです

仕方のないことだ。って


「まぁあれじゃよ?夏妃の体は知ってのとおりだがお買い得じゃよ」

「今ならもれなくアタシもついてくる!」


急にお茶らける2人。それでいいのかアンタらは


「そうね、私は子供作れないから洋子が沢山悠君の子供産んでね?」

「沢山は勘弁してください。せめて2人くらいで」


生むことに異論はないんかい!


「夏妃はそれでいいの?」

「問題ないわよ?」


ケロっと言う

昨日の泣き虫はどこに行ったんだ


「私は悠君が好き、もうほんとに愛してる。今すぐ好きにして!ってくらいに」


背中が痒くなってくる


「でも同じくらいに洋子も好きよ。同姓とか関係なく、もう性欲湧くくらいに」


節度は守ってネ・・・


「わしは!お爺ちゃんには何もわかないの?」

「お爺ちゃんは加齢臭がちょっと・・・」

「ぐぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・神は死んだ!」


むしろ湧いたら問題あるんですが


「そゆことで悠君」

「はい」

「洋子のことも愛してね」


洋子の意志はどうなる?


「アタシはそれでいいよ」


いいの!


「ただし条件がある!」

「条件?」

「夏妃に言った告白を私にも言え!」


ぎゃあぁ!


「何を言ったのか知ってるから臆せず言っていいぞ。ホレホレ」

「さぁ聞かせてもらおうかのぅ!」


あんなのを2度も言えと言うのかこいつらは!


「鈴木さん。お願いします」


夏妃がそう言うといつの間にか用務員の鈴木さんが理事長の後ろに立っていた


「す、鈴木?こら!何をする離せ!決定的瞬間が見れないではないかぁ~~・・・」


鈴木さんに理事長はどこかへ連れて行かれてしまった


「さぁ、告白してもらおうか悠!」

「ついでに私にももう一度。2人一緒に告白しなさい悠君!」


両腕に2人がしがみついてくる

どうする?このまま勢いに任せて行ってしまうか?

いやしかしこのままだとあまりにも常軌を逸した状況になるのではないか?


「君、欲望を高めたまえよ」

「本能に身を任せたまえよ」


言っちゃうか?行っちゃうか?

いいやもう言ってしまえ


「な、夏妃!洋子!お・・・お、俺の物になれ!」

「うん!」

「はい、よろこんでー!」

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