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慧可

リスポーン まで 残り 12時間 00分 00秒


「ぬへ?」


おもわず変な声が漏れた

わかっていることは自分がゲーム内で死亡したという事だ

というかそれしかわからない

何で死んだのか。誰が殺したのか。みんなはどうなったのか

とりあえず椅子から起き上がりHMDを外す

皆はまだプレイ中のようだ

BWでは死亡者は現実時間で半日何もできない

これがかなり痛いペナルティなので基本みんな死にたくない

つまり私は


「やらかしたぁぁぁぁぁ!」




-----





-セイレーン 死亡-

システムログに簡潔に流れる

警戒はしていた

従来であれば森での奇襲は木の陰に隠れながら近づいてくるものである

しかし目の前の敵は上から降ってきた

とても小さい機体だ。これが新要素のSサイズBWだろう

全身を覆う黒いローブも新要素だろうか?

そんなローブから異様な長さの右腕が伸びている

本体より長いだろう

そんな右腕には巨大な杭打機が付けられている

考察していると謎の機体がすさまじい速度で飛びかかってくる

しかしこの距離ならば反応できる


「貰う!」


ライフルを撃つ

照準は完璧

ブーストを使わない跳躍で飛ぶ相手には回避する手段はない

しかし


「キキキキキ」


範囲ボイスチャットで嫌な音が聞こえる

黒板を爪で引っ掻くような音

思わず目を細める

その瞬間に謎の機体は慣性を無視して直角に曲がる

目の前の大木が自分に向けて倒れてくる

弾丸が当たる直前に敵は横にある大木を蹴って機動を変えた


「どんだけ軽いんだよ・・・」


敵は姿を消した

しかしすぐ近くにいるのはわかる


「キキキキキキキキキキキキキ」


耳が痛くなる、目を閉じたくなる

異音を我慢した直後に真後ろに敵が現れる


「うぉ!」


背中を杭打機で狙われるが何とかかわす

敵は撃ち終わると即座に逃げ出す


「嫌なヒットアンドアウェイだな・・・・」

「キキキキキキキキキ」

「くそ野郎・・・」


嫌な音に思わず口汚くなる

1人ではさすがに厳しい

仲間に連絡をする


「セイレーンがやられた。森林中心の東北の湖だ」

「通・・・・・・外・・こ・・・・・・・・・・に広・・・・・・・・ね・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・周・・・・・・・・る・・・・・・と孤・・・・・・な!」


仲間との通信が上手くいかない


「きこえな~い、きこえな~い」


何処からか声がする、嬉々とした声だ


「キキキキキキキキ」


直後にまた異音

真横から頭を狙ってきた

機体をのけぞらせて何とか回避する


「すごいすごい!そんな回避パターン作ってるなんて!違うか!ほとんどの機体行動をマニュアル化させてるんだ!いいねいいねすごくいいね!殺し甲斐があるよ!」

「ボイチャで集中力乱しながら倒し甲斐とか言える立場かよ!」

「ルール違反ではないよ!だって利用規約にはそんなの乗ってないからね!所詮負け犬の遠吠えさ」


いや利用規約にはあるはずなんだが


「利用規約に{他者が不快に思う発言は禁止}ってあるだろうが」

「ハイ言い訳おつ~。負けるやつが悪いんだよ~」


クッソムカツク

この手の人間は「自分が絶対に正しい」という前提で行動するからどんなに発言が矛盾してても気が付かないのだ


「キキキキ」


しかし腕はいいが頭は悪いようだ

異音で集中を乱しながら攻撃

そんなのを単純に何度も繰り返したら


「げう!」


簡単にカウンターができる


「畜生!クソ野郎!なんでこっちに当てれるんだよ!チートだな!チート使ってんだろ!このチート野郎!」


自分から仕掛けておいて逆上である。迷惑プレイヤーにも限度がある

しかしそれ以上にあの機動力と軽さでノーダメかよ。直撃だぞ


「エバー!無事か!」


最悪なタイミングでサイド達4人が駆け付ける


「駄目だ!森から離れろ!」

「キキキキキキ」


異音と同時にネクスターの胴体が粉砕される

-ネクスター 死亡-

あっけなく1人がやられる


「雑魚だ!雑魚だ!下手くそめ!ゲームやめちまえクソ野郎!」


敵はひたすら煽っていく


「3人とも、敵は強いが馬鹿だ。異音と同時に来るぞ」

「キキキキ」


3人とも即座に理解したらしく奇襲をやり過ごす


「うぎぃぃ!貴様らもチートか!」


敵の暴言は止まらない。こっちもさすがにイライラしてきたが


「うるっさいのよこのクソ野郎!」


最初にキレたのはA子だった


「あぁ・・・A子ちゃんネクスターやられたからキレちゃったわぁ・・・」

「セレブリティッシュは平気なのかよ?」

「まぁゲームだしぃ?」

「リアルだったら?」

「・・・フフフ・・・・・」


これ以上はやめておこう


「この僕に向かってクソ野郎だと!このネカマ野郎」

「私は本物の女よ!」

「はい嘘おつ~。女がこんなゲームやってるわけねぇだろうが!」

「女だってロボットゲームくらいするわよ!この童貞野郎!」


なんて低レベルな争いだ

まぁ攻撃も止まったし


「そろそろ来るかな?」

「何が?」

「GM」


さっきのカウンターが直撃したのに無傷なのは明らかにおかしい

しかし一発では証明としては不十分だろう

なので敵の暴言を理由に迷惑行為として通報したのだ


「お待たせしました。トラブル元はここですか?」


数分程度でGMが来てくれた


「クソ!」


GMの管理権限でログアウト禁止措置と言うものがある

当事者の逃亡や証拠の削除を防ぐための物だ

しかしあの敵はそんなのを無視してログアウトができた


「物理的手段で強制ログアウトしましたね」

「まぁ逃げるってことは何か不都合があるってことだな」


とりあえずGMに事情を説明してこのエリアのログを洗ってもらう


「調査には時間がかかるので今回はこれで終わります」

「お疲れ様です」

「あと被害側ですがA子さんにはイエローカードなので今後気を付けてください」

「ファッ!」

「売り言葉に買い言葉とはいえさすがに暴言が酷すぎたので・・・」


まぁね。こっちがGMに通報してる間もかぐや消し必須な罵倒合戦してたからね


「さてこっちも帰るわけですが・・・・」


問題は死亡したセイレーンの機体{ヘヴィバレット}とネクスターの機体{マジシャン}の回収である


「A子どんぐらい詰める?」

「マジシャンなら丸ごと持っていけるよ。ヘヴィバレットは重すぎてバラすしかないよね」


ヘヴィバレットは重いからね。主に武器の持ちすぎで


「じゃあネクスター一機と索敵端末、あとナパームランチャーと小型ミサイルでイケる?」

「イケるイケる」


とりあえずヘヴィバレットから一番高い順にパーツを剥いでいく


「ハイ、手痛い出費になりましたが遠足は終わり。とっとと帰りましょう」

「サイド先生、遠足は帰るまでが遠足です」

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