両手に花の人生を
3月もあと少し
そして俺達の卒業式
「濃ゆい3年だった・・・・・」
そんなことをつぶやきながら卒業証書授与の出番を待つ
ちなみにゴウダは目の前で寝てる
どんだけ神経図太いんだコイツは
そして自分の出番
ライトに照らされた壇上に上がり礼をする
学院長の前で背筋を伸ばし目を合わせる
「森口遥、卒業証書、授与」
卒業証書を丁寧に受け取る
「・・・・・・頑張ってな」
小声でそんなことを言われた
何のことだ?
そして全員の授与を終え、体育館のカーテンが開かれる
差し込む太陽に少し目が眩む
あとゴウダは出番が来る直前にミカガリ先生に耳を引っ張られ覚醒していた
少し冷たい風を浴びながらみんなで校門を抜ける
これで卒業式は終わり
感極まって泣き出す女子
ようやく終わったと欠伸や伸びをする男子
親が車で迎えに来た奴もいれば
そのまま歩いて帰る奴も、でもその格好でゲーセン行くのは止めておこうぜ
「あ、遥!こっちこっち」
校門の外では洋子と夏妃が車で待ってた
「なんで車?」
そのまま寮に帰ろうとしていたんだけど
「ちょっと3人で行きたい場所があってね」
「そういうこった。拒否権はないぞ」
二人とも夜の肉食獣の目をしていた
すごい逃げたい
しかし気づいたときにはもう遅かった
洋子にガッツリ腕を掴まれて後部座席に押し込まれる
そして目隠しをされる
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「あの~・・・・どこいくんですかね?」
車はかなり揺れる
確実にアスファルトを走ってない
砂利の音は聞こえるから道を走ってはいるのだと思う
「秘密だ」
「もう少しだから待っててね」
それからしばらくして停車
そして目隠しをしたまま外に出る
「そのまま進んで」
「今からドア閉めるから、そしたら目隠し外していいぞ。あ、でも絶対そこから動くなよ」
肩を掴んでいた洋子の手が離れる
後ろからドアの閉まる音がする
なので目隠しを外した
「なんだここ・・・・」
目に入ってきたのはとても古そうな教会の内部だった
木材がところどころ歪んでいる
だが手入れはされているようで埃はなく廃墟っぽさもない
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それから10分ほど待たされた
後ろからドタドタと慌ただしい足音が聞こえる
「だからもうちょっと簡単なのにしろって言っただろ!」
「一生に一度だもの、妥協なんてできないわよ!」
2人だ
「お待たせ!」
「すまん、待たせた」
飛び込んでくる2人を見て思考が止まった
2人はウェディングドレスを着ていた
夏妃はこれでもかとスリットの深く目のやり場に困るくらい透き通った白いドレス
洋子はやけにスカートの短い黒いドレス
「どう遥君?」
「・・・・固まってるよコイツ」
何故?ホワイ?
どう反応していいのかわからなかった
「エッチだね♪」とでもいえばいいのか?
普通に「綺麗だよ」とでもいえばいいのか?
「なんで洋子は黒なの?」
結局出たのはそんな言葉だった
「これ?白にしようと思ったんだよ最初は、でも夏妃と一緒じゃおもしろくねぇじゃん?」
面白いとか面白くないとかの問題じゃなくね?
「んで調べたら結構昔から黒いウェディングドレスってあるらしいじゃん?」
そうなのか
「ちなみに黒いウェディングドレスって{貴方色にしか染まりません}って意味があるらしいわよ」
そうなのか
「っつ~わけでアタシは黒にした」
「指輪も3人分用意しました。私が。ドレスも。特注で、レンタルじゃなくてね」
そんな危ないウェディングドレスがあってたまるか!
「いろいろ見えてるじゃんソレ!」
「色々見せてるんだよ!」
「遥君限定で見せてるのよ!」
嬉しいんだけど複雑ぅ
「ってなことで結婚式だ」
やっぱりか
「俺たち3人しかいねぇじゃん」
「3人だけでいいのよ」
「女2人と同時に結婚式だからな」
そうだよね
ちょっと現代モラルに反するよね
ちょっとじゃないな深刻だな
「ちなみにここは完全防音です」
「いま窓もドアもカギ閉めました」
あ・・・・・・
「まずは指輪をしないとね」
「ほら遥、アタシらに指輪ハメてくれよ」
そこからですか
「う、・・・・わかった」
まずは夏妃の指輪から
「指輪するだけなのになんか緊張するわね」
「はめるこっちも緊張するよ」
何だろねこの状況
「じゃあ次アタシアタシ」
洋子に指輪をはめる
「ウヘヘヘヘ・・・・・」
すんごいニヤニヤしてる
「次は何すんだよ?」
「そりゃぁ・・・・」
「誓いのキスでしょ?」
しますか!
しちゃうんですか!
今!
ここで!
「指輪は夏妃が先なんだからキスはアタシが先な!」
「どうぞどうぞ」
洋子が頭を押さえてキスをしてくる
こんな誓いのキスってある?
そのあと夏妃ともキスした
そのあと夏妃と洋子もキスをしていた
舌を絡めて
「非常識すぎる・・・・」
「でも」
「嫌いじゃないだろお前も」
ノーコメントで
そのあと
3人だけの結婚式を終えたら夜の運動会が夕方から始まりました
太陽が昇るまで続きました
何なんだろうねこの非常識な人生
多分大学いっても毎日がこうなんだろうな
正直毎日が疲れる
でも
楽しんでる自分がいるんだよなぁ・・・・・・
次が最後になります