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春の息吹

12月23日


世間はクリスマス商戦の真っただ中

我々バトルウォーカーの運営もその対応に追われていた

さらに並行して正月商戦の対応

さらにさらにとある理由によりそちらにも人員が割かれていた

そんな中ありがたいこともある

ユーザーの中に自分たちの力でクリスマスを盛り上げようとしている者たちがいるのだ

-戦場のサンタクロース-

この部隊は自分たちで素材を集めて世界各地で飾り付けを行う

さらに自分たちで集めた素材やアイテム。価値としては3流ではあるが、それらを無償配布する

運営としてはとてもありがたい

それを毎年。10年以上続けてくれている


「田所!」


上司に呼ばれる


「なんすか?」


手を止めず。画面から目を背けずに対応する

失礼な態度であるが仕方がない

忙しいのである

上司もそれを知っているので何も言わない


「ソフトウェアの件、どうなった?」


その内容か

それは作業しながら説明できない

なので手を止め対応する


「無理っす。もう上書きできる場所なんてねぇっすよ」

「そうか・・・・資料は?」

「出来上がってるっす」


机の引き出しにあったファイルを渡す

ゲームなんざ1年持てばまだいいほう

オンラインゲームでも10年は相当持ったほうだろう


「最近人気が戻って来たって上の人たちが喜んでたんだがな」

「そりゃ頑張りましたからね。僕らが」

「感謝してるよ」


新大陸作ったり。

新しい要素ガンガン追加したり

戦闘以外も楽しめる要素増やしたり

頑張ったんすよほんと


「やっぱサービス終了っすか?」

「早くても来年末にはなるだろうな」


包み隠さず上司は言う

しかしその表情は不敵である

ニヤニヤしてるとも言う


「なんすかその気持ちわりぃ顔?」

「顔に出てたか?」

「えぇ、気持ちわりぃっす」


A4用紙を机に置かれる

その内容は・・・・・


「正気っすか?」

「正気だよ。実はクリスマスに有志イベントが起きるんだ」

「戦場のサンタクロースの?」

「別口」


どうやら上司はあと2年は続けるつもりらしい


「大型イベントはこれで最後にするつもりだ」

「リソースは?」

「役に立ちそうな奴は目を付けてある。お前もその1人だ」

「そいつらで事を進めろと?」

「決まってからな。今から上に掛け合う」

「頑張ってくだせぇ」


ここの職場は気に入っている

続くならそれが良い


「話はたぶん7時ころに終わるから、そのあと良いか?」

「ここで待ってりゃいいっすか?」

「シャワーでも浴びとけ。あと着替えとけ、さすがにその匂いで外出は駄目だろ」

「外出ってどこ行くんすか?」


7時とか食堂とかファミレスか?混むぞ?

居酒屋は・・・・まぁもうちょっと後か混むのは


「近場にいい雰囲気のレストランがあってな。予約しといた」


は?


「近場のレストランってあの高そうなとこっすか?」

「知ってるのか?」

「入ったことはねぇっすよ」

「いい機会じゃないか」


いやいやいやそりゃダメでしょう


「そういうのはもっと綺麗な女といかんと駄目でしょう?」

「なら問題ないじゃないか」


田所 真璃

元オタクでニートの引き籠り

真冬のこの日に春が訪れる

あと女性

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