教導
「クソ!速ぇっ!」
アイアスが作ってくれた機体は正しく最高峰のBWだった
それでもエバーには勝てる気がしない
だからこそ徹底的に軽量化して速度を上げた
しかしそれでも
今戦っている相手には追い付けない
「さぁ、一発行くぞ。耐えて見せろや!」
そう言って相手は真正面から突撃してくる
相手に照準を合わせて引き金を引く
「あっやべ・・・・」
武器のリロードが始まった
今になって弾丸が切れていることに気が付いた
リロードの完了と同時に発砲する
「遅ぇ!」
その弾丸を上に跳んで避ける
そして敵は俺のすぐ後ろに着地
振り向く暇もなくジェネレーターを破壊されて負けが決まった
-------------------
香菜と店に入る
そこはネコカフェだった
「いらっしゃいませ~」
店の隅で猫と戯れる男がいた
だらしない顔をしている
「・・・・・予定時間より5分早ぇじゃねぇか」
-----------------
その男こそがPHANTOMだった
「日本語わかんのかよ」
「・・・・・わかんねぇよ?」
「え?いやでも」
「・・・・これのおかげだよ」
PHANTOMの右耳
ハンズフリーのインカムのようなものを付けている
「なんだそれ?」
「・・・・・翻訳機、すげえだろ?アスの最新式だぜ?翻訳まで2秒もかかんねぇ」
香菜は猫を撫でながら紅茶を飲んでいる
「・・・・俺が来た理由はその女に頼まれたからだ」
「何を頼まれたんだよ?」
「・・・・そりゃ教導さ。てめぇが№6に挑むって聞いたからな。喜んで戦闘とは何かを叩きこんでやるぜ?」
何て余計なことを
明らかにスパルタそうな奴じゃないか
-----------------
意外にしっかりした教導だった
「機動力に頼りすぎだな」
「これでもまだ足りないだろ?」
「そりゃ違うぜ。アイツは機動力はそこまで良くない」
「は?いやそれはないだろ」
「アイツが特化させてるのは機動力じゃなくて運動性だ」
「運動性?」
「おう、特に旋回性能だな。ドラッグレースになったらアイツはそんなに速くねぇ」
確かにエバーの機体って一直線に進んでる時ってないな
いや、ウルリッヒユニットの時があったか
でもあれはほとんど落下してるようなもんだったしな
「理屈はわかんねぇがとにかく旋回性が半端じゃねぇ。旋回機構を2重にしてるってのが俺たちの推測だな、腰とか」
「ん~・・・・・跳躍力とか大事?」
「使いこなせるんだったらやってみろよ。相手してやっから」
「あ、あと蹴り入れるの止めてくれよ、装甲ひしゃげて修理に時間かかるんだから」
「そりゃお前が避ければいい話だ。コックピット潰されて12時間無為に過ごすよりはマシだろうがよ」
プレイ期間1年未満がランキング1位にまともに戦えるはずないだろうが
「とにかくゲンドゥルの話を考えるとアイツは全力で来るぞ」
「見たことあんのか?」
「動画ではな。実際にやったことはねぇ」
大体そんな感じの試行錯誤
ほんのちょっとの調整でもちゃんと相手してアドバイスしてくれる