拾い物
「じゃあナンバーズ時代の機体を基本にするってこと?」
「タイマンだからな、やるからには全力だよ」
アイアスの挑戦に遥君は全力で応じるみたいだ
残念ながら私は遥君の全盛期を見たことがない
「ん~~・・・・あっ!」
「どうしたんだよ?」
今凄い邪なこと思いつきましたよ私は
「フヘッ!・・・・いやいや今都合のいい妄想を考えただけよ私は」
「じゃあ聞かないわ」
「いや聞いてくれないと困るんだけど」
「いやだよなんか嫌な予感するし恥ずかしいことになりそうだし」
ちなみに私たちは今公園のベンチに座って仲良くソフトクリームを食べています
たまには外に出て気分転換もしないとね!
「ほんとに聞きたくないの?」
「抹茶アイス初めて食うけど美味いねこれ」
ほんとに興味がなさそうである
なので強制的に聞いてもらおう
「全力を出して彼女にカッコいいとこ見せたい!とかそんな妄想」
遥君の動きが止まった
凄い!
人間ってそんな無機質な表情ができるんだ!
でも耳が真っ赤なので誤魔化せてない
「おまっ・・・・~~~~~~~!!」
言葉にならないほど効いたらしい
ニャア・・・・
「今なんか聞こえた?」
「ネコじゃない?」
こんなタイミングで邪魔がはいる。おのれ!
公園に猫なんて別に珍しくもないんだけど
鳴き声は弱々しかった
「こっちか?」
遥君は茂みのほうに入っていく
当然私もついていく
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ベンチから10メートルくらいの茂みの中
4匹の猫がいた
1匹は大人、3匹はまだ幼い
3匹はすでに死んでいて変色していた
「この暑さだと死んで1日くらいか?」
「多分そのくらいじゃない?」
最後の1匹はまだ幼い
「どうするの?」
「夏妃、寮はペットOK?」
「大丈夫よ。飼う?」
「飼うかどうかは決めてないけど見たからにはほっとけないし・・・」
「OK」
「ここら辺のコンビニで子猫用のミルクとか売ってたよね?」
「うん、買ってくる。遥君は先に連れて帰って」
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とりあえず必要そうなものを買ってくる
どうすればいいのかわからないけどほとんど遥君がやってくれた
そしていま遥君の腕の中で哺乳瓶を咥える子猫がいる
凄い手慣れている
そしてなんか絵になる光景
「なぁ、なんか俺たちより女らしくね?」
小声で洋子が言ってくる
「女らしいとは言わないわよ、あれは・・・・・そう、母性」
穏やかな表情で子猫の面倒を見る遥君はとても・・・・・母性的なエロスを感じた
私は何を考えているんだろう
いや、でもそうとしか言えない光景なのだ
ミルクを飲んで満足したのか子猫はそのまま眠ってしまった
タオルを敷いた小箱に子猫を寝かせる
「とりあえず様子見かな」
「お疲れ様。遥ママ♪」
茶化す
「いやこれぐらいはできるだろ?」
「できね~よ。手慣れすぎだろ」
「で、この子どうすの?」
「飼えばええじゃろ?」
いつの間にかお爺様が座ってた
「飼うとして日中はどうすればいいんです?」
私と洋子は大学
遥君も学校がある
「面倒見るなら学校に連れて行ってもええぞ」
「ええ?」
それはさすがにダメなのでは?
「大丈夫大丈夫、特にそんなペット連れ込みはアウトとか決めとらんし。まぁちゃんと面倒見るのが条件じゃ」
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部屋の住人が3人と1匹になった
「そろそろ電気消すぞ」
洋子が電気を消そうとする
「豆電球はつけておいてくれ」
「あいよ」
気晴らしのつもりで外出したら遥君の午後は全部子猫に費やされた
「大丈夫なの?」
「問題ないよ。ちゃんと全力を出せる」
「何か欲しいパーツあったら言えよ。アタシらも集めるの手伝うから」
「そこらへんは遠慮なく言うさ」