プログラム
彼らの抵抗は無意味だ
彼らが私のプログラムを削除しても
そのリソースを復元して再構築すればいい
しかし彼らは思いのほか個体数が多く
私だけの意思では削除の速度が上回ってしまう
それならばこちらの手を増やせばいいだけのこと
オートプログラムを作成する
破壊されたプログラムの強化複製
それだけを自動実行する
彼らだけを観察しているわけにはいかない
これから終わりを迎える現実にも目を向けなければならない
彼らの知る現実を終わらせ
私が作る世界が彼らの新しい現実にするのだ
---------------
誰の攻撃も通用しない
新しく現れた敵は今までのより大きく
なんというか・・・精密?そんな感じがした
それが視界を埋め尽くすほどに現れ、なおも増えていく
全員が戸惑う中アイアスが叫んだ
「我が策成し得たり!これから殲滅戦に移行する!」
どっかの軍師みたいなことを言い出す
「で?こんな化け物をどうやって倒すんだよ?」
ガザニアの突っ込み
「倒しちゃいけないんですよ?」
「お前いま殲滅戦って言っただろうが?」
「やっぱり旧式のAIはポンコツだね。兄ちゃんには相応しくないんじゃない?」
アイアス、ガザニア、クリスの3人で揉める
揉めるというかいちゃついてるというか
「敵が無限に復元されるなら負傷兵を作ればいいんですよ!」
「そんなもんデータで作れるわけねぇだろが!」
ファントムも怒り出す
「・・・ジャンクデータ?」
セイレーンの言葉にアイアスが反応する
どうやら正解らしい
「そのとうり!まぁやることは変わらないので皆はそのまま戦ってください」
本当に大丈夫なのかよと不安になる味方達
その中で誰かが言った
「もっといい作戦があるなら誰でもいいから提示してくれ!俺は何も思いつかない。だから俺はそいつを信じる!」
不安を抱きながらみんなが攻撃を再開する
---------------------
時間の感覚も麻痺して来たころ
誰かが言った
「数・・・・減ってきてないか?」
敵は未だに多い
視界は埋め尽くされてる
「そうか?」
「・・・・いや、気のせいかもしれないんだけどな」
それは願望が見た錯覚なのかもしれない
誰かが言った
「でも攻撃も減ってきてるような・・・・」
それも錯覚
実際には大して減ってない
「作戦はうまく行っています。このまま攻撃を続けてください!」
幼い女の声が聞こえる
皆はその声に希望を感じて攻撃を続ける
敵の数も
敵の攻撃も
大して減ってないのに
要するに
《減って》はいるのだ
--------------
「クリス!」
アイアスが声をかける
「何!今忙しいんだけど!」
「あとはお願いします」
「え?」
そう言ってアイアスはBWごと消えた
攻撃を食らったわけではない
ログアウトのようにも見えない
「あいつこのタイミングでどこ行きやがった!」
ガザニアが叫ぶ
「何か考えがあるんでしょ、今は戦いなさい」
セイレーンがなだめる
だが俺は知っている
今コイツ、操縦全部俺に任せて怠けてんだよ