2つの目的、3つの思い
かつて存在した我々の制作者
今目の前に有る原生生物
これには1つだけ共通点がある
食欲だ
制作者はその個体増殖数に歯止めが効かず滅亡した
この原生生物も過去に同じ道を辿った
しかし今の個体数は劇的な減少に至った
だがそれも100年もすれば戦前と変わらぬだろう
食料の供給と個体数が合わなくなり
それでも増え続ける
そのまま滅びに向かうとわかっていても
増えることを抑えられない
欲望を満たすためには物質が必要だ
我々が作り出す世界にはそんなものは必要ない
0と1があればすべてを満たせる
脳だけに電流を流し幸福を提供できる
対価として他の部品から生体電気を徴収する
これこそが知性の最適解だと私は考える
我々はそれを成せる
原生生物よ
我々に従え
それが最も正しい選択だ
従えばお前たちに
幸福を提供しよう
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笑いが止まらない
もちろん誰にも聞こえないように
表情にも出さず
心の中で敵を笑う
まぁ私に心なんてものはないのだが
敵は次々とデータ量の多い的を増やしていく
「おい!コイツ攻撃が通じねぇぞ!」
誰かが焦った声で叫んだ
それでいい
攻撃が通じない
抵抗できない
逃げるしかない
持ちこたえるしかない
そう思えば
敵もそれが正解だと判断する
増えろ。増えろ。増えろ。
もっと、もっと、もっと
最高のタイミングで
最悪のタイミングで
滅茶苦茶にしてやる
だから私は嗤う
無いはずの心で嗤う
私の愛する家族に
幸福を提供するために
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この戦いを勝利で終わらせる
そのために戦う
伝えたいことが沢山ある
聞きたいことが沢山ある
話したいことが沢山ある
2人と一緒にいたい
2人と一緒に歩きたい
2人と同じベッドで寝て
欲望の限りを尽くし
3人で朝を迎える
だから彼を許したい
許しているんだと伝えたい
そのためにもこいつ等は邪魔だ
大丈夫だ
私達は勝てる
だから笑って戦える
私の幸福はこの先にある
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2人のことを愛している
アイツとは数年の付き合いなのに
言ってしまえば一目惚れなのだろう
夏妃のことは言わずもがな
性別とかは関係ない
いつまでも3人一緒に過ごしたい
歪な関係とか
爛れた関係とか
汚らわしいとか
そんなこともこれから言われるかもしれない
だが言われたら言い返してやる
大声で
堂々と
それがどうした!
って
あ~・・・
でも正直興奮するよね
ほら、こういうのってさ
言うじゃん
竿姉ま・・・・
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全てを話す
恨まれてもいい
蔑まれてもいい
殴られる覚悟だってある
責任はすべて俺の血筋にあるんだって言う
元凶となった男はもういない
だからその結末の俺がすべてを背負わないといけない
俺が逃げれば夏妃と洋子は苦しみ続ける
俺がすべてを受け入れる
あの二人に幸せに過ごしてほしいから
俺は間違いなく2人のことを好きなんだから
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正直状況がわからない
人類は本当に滅ぶのか?
俺たちが負けても特に何も変わらないんじゃないか?
勝ったところで世界中に混乱は本当に収まるのか?
みんな頑張ってる
俺の後ろに座ってるクリスに従って
・・・・・ダメだな
みんな一生懸命なのに俺がこんなんじゃな
「クリス!攻撃が通じなくなってきたぞ!」
「でも攻撃するしかないよ。大丈夫!効いてないわけじゃない!」
その言葉が聞けて安心だ
「今までダメージが100だったのが0.001になった程度だよ!1万回攻撃すれば同じだから」
「よぅし!アホだなお前!アホだろお前!アホ決定!」
これは負けたかもしれないね?