エース
ログインすると広大な荒野だった
僅かな起伏は存在するがほとんど平坦
「まるでコスプレパーティだな」
ほとんどの人間がいたずら半分、興味半分、ただの野次馬
そんな感覚で入ってきたのだろう
ファンタジーな魔法使いがいる
中世の全身甲冑の戦士がいる
近代的な重火器を持った兵隊がいる
SFみたいな光線銃を持った人間がいる
戦車がある
船舶がある
馬がいる
大きなロボットがいる
「皆さんログインありがとうございます」
少女の声が聞こえる
「興味本位で入ってきた人も多いでしょう。
ですがこれは本当に人類の存亡を賭けた戦いです。
敵の力は未知数。
皆さんに何が起きるのかわかりません。
覚悟のない方は今のうちにログアウトしてください。
もう一度言います。
これは本当に人類の存亡を賭けた戦いです。」
ざわつきが起きる
本当なのかと
ログアウトするものもいる
「これが人類の未来がかかってるというならよ!」
誰かが声を上げる
アメリカからログインしている人間だ
自動翻訳が働きすべての人間に聞こえる
「ここで負けたり、戦わなかったら俺たちはどうなる!?」
「・・・・皆さん、無法地帯の戦闘行為、及び敵戦力は知っているでしょうか?」
多くのものが無法地帯の戦闘は知っているが敵戦力は知らないといった表情である
「彼が用意した戦力は人間の脳をCPUとして使用する兵器です。ここで負ければ全人類はそうなります」
状況の深刻さを理解したのだろうか
ログアウトする人間が一気に増えた
予想通りとはいえこの様である
「私は子供のころに兵隊に憧れた」
兵隊服の男が声を上げた
40代くらいだろうか?
「祖国を守るという使命感に燃えていた、だが足を失った。この戦いは祖国を守ることができるのか?こんな私でも祖国のために戦えるのか?」
「戦えます。この戦いは祖国を、家族を、友を、世界を守る戦いです」
男が大きく息を吸う
「ならば!この戦いに私は命を懸けよう!」
世の中どんな言葉が切っ掛けになるのかわからない
彼の叫びに反応してやる気になった人間が出たのだ
1人が2人に、2人が4人に
戦意ある雄叫びが増えていった
いざとなれば私達だけでもなんとかするつもりだった
だがそれだと終わった後がいろいろ面倒なことになる懸念もあった
あの男に感謝しよう
彼のおかげで計画は順調に進む
「アイアス!」
そんな時に焦ったガザニア君に声をかけられた
「どうしたんですかそんなに慌てて?」
「エバーさんがログインできてない」
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アイアスがログアウトすると夏妃が遥に声をかけていた
遥は反応することなくHMDを付けたまま意識を失っていた
「アイアス、どうなってるの?」
「これ・・・・なんで?ログインはしてるって言う事なの?」
「でも荒野には遥君いないんでしょ?」
ログインするときに誰かが遥を持って行った?
「夏妃さんHMDを付けてください」
「ほっとくの!」
「ほっときません。夏妃さんを遥君のいる場所まで送ります。何が起きてるか解明して連れ帰ってください」
「・・・・わかった」
「急いでください。遥君がいないといろいろと解決できない問題があるんですから」
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「エバーさんは?」
「セイレーンさんにお願いしてます。私のリソースの一部もそっちに行きます」
「大丈夫なのか?」
「何とかなります。します。なので一番頼りになる戦力はガザニア君となります」
「俺かよ!」
「あと私はそっちにリソース割けません」
「いやパックセイバーないとどうしようもないぞ俺」
「クリス!」
「出番だね!任せて!」
「は?」
呼び声に反応してクリスがやってくる
「え?なんでクリスがいるの?」
「いろいろ聞きたいこともあるんでしょうけど後回しです。とりあえずクリスに任せればパックセイバーだけは何とかなります」
「大丈夫!兄ちゃんのお世話は私がするよ。これからも全部任せて」
「全部は任せませんからね!」
「じゃあ頂いていくよ!」
「やらせませんよ!」
混乱するガザニアを横に2人は火花を散らす