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彼の過去。あの子たちの未来。我々のこれから。

私が小学校に入ったばかりの時に母が再婚した

その日から私の生活がすべて変わった

ボロボロのアパートから立派な一軒家になった

新品の洋服も着れるようになった

1日3食おなか一杯食べれるようになった

残しても怒られることもなくなった

翌年に妹が生まれた

妹が学校に行く前はよくお姉ちゃんお姉ちゃんと何処に行っても付いてきたものだ

妹が入学すると

私と妹はよく比べられた

妹は頭が良かった

容姿が優れていた

学校の生徒は私の上位互換だと笑っていた。

悪意は本人たちにはなかったのだろう

ただの冗談だ、マジになるなよ。と

時間が経つと

私は妹のことを恨んでいた

妹も私を見下していた

自分の評価を下げないためにもお互いに外部では晒さなかったが

私が大学に通っているときに

妹が居なくなった

母は何も答えなかった

父は

「そんな奴は存在しない」

と言った

当時恨んでいたこともあったのだろう

それ以降気にすることもなかった

その数年後に父が失踪した

なぜかニュースにもならなかった

その数日後に母が自殺した

葬式が終わると見知らぬ男たちがやってきて家も家財も財産も差し押さえられた

それでも何とか生きようといろいろな場所に就職した

そこで出会いがあった

結婚して娘ができた数年後に警察がやってきた

警察と一緒に見たのは妹の死体だった

顔の半分は何とか妹だとわかるものだった

そして妹が暮らしていた家で

彼を見つけた

夫と娘に相談して彼を引き取ることにした

私は彼を息子と思い育てた

彼も自分のことをお母さんと呼んでくれた

だからこそ

彼に対して


「アンタなんて引き取るんじゃなかった」


こんなことは絶対に言ってはいけなかったのである





----------------






無法地帯に多国籍の大部隊が進行する中

秘密裏に大西洋の海上の一か所に多くの作業船が集結している

作業船の中で特に巨大な船が中央にあった

大西洋に面してる地域

ギアナから出港した船である

指揮をするのはフランスの議員である

彼に話しかける者が2人


「ニコラ議員!」


海上にいるには場違いなスーツを着た中年の男


「貴方は・・・・えっと、サンチェス議員~で、よろしかったかな?」


フランスから遠路はるばるやってきたニコラ議員が問いかける


「初めましてお二方、ロドリゲスと言います」


3人の中で一番若そうな男が名乗る

フランスのニコラ議員

スリナムのサンチェス議員

ガイアナのロドリゲス議員

3人とも祖国では強い発言力を持つ者である

それ以外にも彼らには1つの共通点があった


「・・・・あなた方もですか?」

「えぇ、娘が・・・」

「私は妻が・・・」


問いかけたニコラも甥が


「失敗すればこの話は破談になるでしょうね」

「失敗はできませんとも」

「えぇ、絶対に引き上げなければなりません」


彼らは強い決意で作業を開始する

そして彼らの接触、彼らの行動は決して国外に知られることはない

もし知られたとしてもすべてが終わってからにしなくてはならない












------------





VRの世界のほんの小さな空間

その空間の中のさらに小さい一室



「次の商品はm19H」

「740万」

「800万」

「850万」

「980万」



「980万・・・ありませんか?」

「1000万」



「1000万・・・ありませんか?・・・・ありませんね?1000万で落札」


m19Hと呼ばれた商品が1000万で売られた

次々に取引が成立する

m16K

w12L

w18U

これらの商品は極秘裏に搬送される

普通であれば輸送することは許されないものである

しかし一部の国では黙認されている

これらを必要としているのは

財界の大物

政治家

大富豪なのである






-------------






アス共和国の現大統領は日々仕事に追われている

しかしこの多忙な日々によってアスはアジア屈指の裕福な国と言えるだろう

まさに黄金期であった


「大統領、ホットラインです」

「何処からだ?」

「分かりません、革命時のホットラインなので」

「そんな古いものを知ってるのは1人しかおらんよ」


大統領は迷わず受話器を取る


「先生か?」

「気づくのが速いな」

「物事を素早く理解しろというのはあなたの教えでしょう?」

「その通りだ。では手短に話そう」

「はい・・・」


先生はいつだって突拍子もないことを言う

今回の件も私が驚くようなことを言ってくるだろう


「アスの黄金期を終わらせなくてはならない」

「・・・・・・は?」

「滅亡しろとか衰退しろと言っているのではない。一番の儲けを終わりにしなければならない時が来た」

「1番の儲けと言いますと畜産業ですが・・・・それを終わらせるというのはかなり厳しいかと・・・」

「・・・・・・ワタシにそんなウソがミヤブレないとオモッてイるのか?」


先生の声が歪む

全て気づいたうえで聞いてくる


「気づいていたのですか?」

「私はいつだってなんだって気付いているし見えているよ。m19Hとはかなりわかりやすい商品名だな」

「そ・・・」

「責めはしないよ。君の行動は君自身の責任で行っているのもわかっている。きちんと責任を取れればよい」

「・・・・・・終わらせる方法は如何様に?」


大統領は観念する

惚けるのも誤魔化すのも拒否するのも駄目だ

おそらく、いや絶対にアス共和国そのものが終わる


「16時間後にドイツで交通事故が発生する」

「はい」

「国籍や所有者がわからない輸送車が崖から墜落し運転手も死亡する」

「はい」

「地元の警察とマスコミによって荷物の中身が判明する」

「・・・・・はい」

「あとはアスのバイヤーたちを処分したまえ」

「わかり・・・ました」


アスの黄金期は終わるのだろう

緩やかに衰退がはじまるかもしれない


「ソレに力を入れすぎだ。代替え案を用意しなければいけないよ?」

「はい」

「やれやれ・・・・代案を私が用意してやる・・・それで国庫をカバーしたまえ」

「助けてくれるのですか?」

「私の我儘を聞いてもらうのだ。私からも何か君に献上せねばなるまい?」

「ありがとう・・・ございます」






「・・・・大臣」

「はい」

「例のバイヤーを全員処分しろ。無法地帯側の奴らもだ」

「直ちに」

man

19

heart

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