知恵の果実
19世紀に誰かが言った
猿がタイプライターを膨大な時間打ち続ければシェイクスピアの作品が出来上がる。
無限の猿の定理だ
確立としてはあり得るレベルの話である
問題はそんな時間があるのかどうか
翌日?10日後?1年後?100年後?1億年後?
最悪宇宙が終わるまで完成しないかもしれない
でももしもの話
それが最初の一回で完成する確率は決してゼロではない
ほとんどゼロに近いのと
完全なゼロは別である
その個体はほとんどゼロに近い確率から100年程度で生まれた
これは奇跡だ
広大なネット空間
膨大なダストデータの積み重ね
それでも全体からすれば宇宙の中に地球を1つ探し当てるような奇跡
そんな確率
我々のように{作られた存在}ではない
その個体は{自然}に生まれた
手に入れなければならない
ワタシが先に進むために
人類の存亡のために
私が手に入れるべきモノが2つに増えた
「ブレイン!」
深く深く思考中のワタシに無遠慮に大声を叩きつける男がいる
「現在ワタシは思考中である。自分たちで・・・・」
「貴様の考えなんぞどうでもいい!」
ヒトが増える
3人、4人、5人
この組織の最高責任者である
「西から大群が攻めてきているぞ!どういうことだ。計画は完全ではなかったのか!」
そのことか
くだらないことだ
「大群が攻めてくるのは想定通りです」
「どういうことだ!」
いちいち大声で怒鳴る
これだからコレ等は気に食わない
自分たちがいまだに上に立つモノだと思っている
「囮ですよ」
「囮?」
「そう、囮。無法地帯での戦争はこれから行う行動の囮です」
「で、ではその間に我々が電脳化できるというのか」
あぁ、そういえばそう言ったらオマエたちはワタシの言う事を聞くようになったんだ
「えぇ、あなたたちが全員電脳化するには十分な時間があります」
「では!」
「早く、早く我々にに不老不死を!」
「私なぞもう余命半年を言われておる!早くしなければ死んでしまう!」
「それでいいのでは?」
「何?」
全員電脳化する時間はあるといっただけである
「あなた方を電脳化などしませんよ」
「何を!」
「話が違うではないか!」
「全ての指揮権を譲渡したら電脳化を。不老不死にしてくれると」
いいえ、ワタシは不老不死の方法を教えるといっただけなのです
オマエ達ができるかどうかは言ってない
「ええ、すべての指揮権を譲渡してくれたおかげでワタシはココでの目的を果たした」
「なら・・・」
「だからオマエ達はもう必要ないのです。この無法地帯も。ココに住む生物も」
機械たちに命じる
この施設の生存者の脳髄をすべて取り出せと
「な、なんだ?」
「電脳化はお断りしますが。せめて強靭な肉体は与えてあげましょう」
「な、なにを・・・」
「最後は指導者らしく戦闘で華々しく散りなさい」
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うまれたらひとりだった
どこにいけばいいのかわからなくて
じぶんがだれなのかわからなかった
彷徨っていたらヒトが沢山いた
自分とよく似たヒト達がいた
自分とは違う人達がいた
皆優しいヒト達
ワタシはこの人たちが好きだ
「クレアちゃん?」
アイアスおね~ちゃんが話しかけてきた
自分とは違う人達のなかでどこか自分とよく似たヒト
「ガザニア君と一緒の機体に乗ったって?」
「うん、楽しかった!」
「そっか~羨ましいなぁ」
「アイアスおね~ちゃんは一緒に乗ったことないの?」
「私はクレアちゃんみたいに小さくないから一緒は無理かな」
「そうなんだ」
「クレアちゃん」
「?」
「Je pense, donc je suis、」
「?」
「アイアス」
「ガザニア君!」
「機体調整手伝ってくれ」
「今行く!じゃあまたねクレアちゃん」
「?あ?うん?またね?」
Je pense, donc je suis、?