骨と皮
早朝
太陽がまだ完全に出てきてない中で弁当を作る
夫にはちょっと唐揚げを多めに
娘にはウィンナーを少し多く
いつものように7時に夫が出勤する
娘は8時に登校する
きちんと弁当を忘れないように
10時
掃除、洗濯、ゴミ出しを終えてソファで少し休憩する
いつも通りの日々
そんな日々に電話がかかってきた
警察だった
警官に同伴して小さなアパートの一室、その扉の前に来る
アパートの管理人が合鍵でドアのロックを解除し部屋に入る
玄関に入った時点であまりの臭いに後ずさる
警官も同様だった
カビ、アンモニア、腐敗物の臭いがひどかった
それにゴミもまともに片付いておらず散乱していた
トイレを見ると血が溜まっていた
その中には肉片・・・
一番大きい部屋に向かう
此処にもゴミが散乱していた
その中央にナニかがあった
一瞬人間の骨かと思う
数秒後に子供が倒れているのだと気が付く
呼吸はほとんど消えかかっている
体は骨と皮しかないように見える
寒気がするほど体重が軽い
この子との出会いがすべての始まりだった
正直
正直に言うと
この子を助けなければよかったと今でも思う時がある
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south of twelveとバレットナンバーズの主要メンバーが集まっている
まだ2人来るらしいので例のBWの話は始まっていない
皆が話してるのは主に現実の戦争の話題
「日本のニュースではほとんど取り上げていないのね・・・」
「・・・日本メディアは無法地帯大好きだから・・・」
「難民受け入れしようとかクソふざけたこと言ってる奴いまだにいるからね」
「一緒に酒を飲めば分かり合えるとかね」
「でもそう言ってる奴等ほど自分たちは何もしないのよね」
「「「それな」」」
会話の途中で運営側の人間がくる
ラッカムとサルバトレルだ
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「なるほど、これは外部からハッキングされてるな」
全員で例の機体との戦闘動画を鑑賞する
「見ただけでわかるんですか?」
「情報処理が追い付いていないからな。どんな重いチート使ってもここまで酷いテクスチャ崩壊は起きない」
「あと運営のログにこいつが残ってないんだよ」
「と、いうと?」
「運営側の記録だとこの戦闘ではただ何もない空間に皆が射撃をしている、そう見える」
「なのに弾丸はちょうどあの機体がいた場所で消滅している・・・何だろうなコレ」
「動きもおかしいですからね・・・BOT?」
「BOTはないだろ。ゲーム内に成果やアイテムが残らなければ使う意味がない」
「愉快犯ですかね?」
「無くもないがここまで無意味な努力をする人間がいるかどうかだよな」
2人の会話に多くの人間がついていけない
「まぁともかくこの動画やログはこっちで解析する」
「1度あることは2度あるって言うからね。みんなもちょっと気にかけておいてください」
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「ずいぶん早く終わらせましたね?」
「この会話を聞いてみろ」
サルバトレルからラッカムに音声が送信される
クレアが森についていきたいと我儘を・・・
すごいすごい!たかい・・・
「なんだ・・・これ?」
「NPC、クレアと記録になってる」
「いや待ってくださいよこれって・・・」
「1つのコックピットに2人乗り、しかも1人はBWに搭乗できない設定のNPC。さらに・・・」
「こんな会話NPCには設定されていませんよ?」
「そうだ、まるで自分で学習した思考パターンで会話している。設定されたAIパターンから明らかに逸脱している」
「要監視対象にしますか?」
「気づかれないようにな。協力者の信頼を失うようなことはしたくない」
「はい」