不安
NPCの狩りは順調に進む
やはり投げ槍からクロスボウに進化したのは大きいようだ
「そろそろこっちの荷物一杯になるぞ~」
「そ、そうですか?まだいつもの半分くらいしか時間がたっておりませんが・・・」
そりゃ武器が変わればこうもなるさ
ちなみにNPCは銃器や爆弾の類は装備できないようだ
「すごい量になりましたな」
「これだけあればどれぐらい持つ?」
「そうですな・・・・2か月くらいかと」
短いな
いや、原始生活から比べるとかなり長い方か?
そんな時にコクピット内にピコンと電子音が響く
「なんだ?」
周囲を索敵
すると1キロ先に金属反応が発生する
「NPCのBW?」
「ともだち?」
違います
エネミーかもしれない
「全員森から離れろ。いつでも集落に走れるように。あと散らばるな」
「は、はい」
どんどん近づいてくる
木々が次々に倒れていく
大丈夫だ
さっき自分で言ったじゃないか
敵プレイヤーがいなければこの大陸の敵は余裕だ、と
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「走れ走れ走れ!もっと速くだ!」
前言撤回
バグウェルのサブマシンガンとライフルでは全く歯が立たなかった
サブマシンガンは全部NPCのBWの装甲に弾かれ
ライフルは貫通するが弾が足りなかった
「キャーキャー♪」
クレアは終始楽しそうである
「危機感無いなお前!」
「え?」
通信が入る
「そこのバグウェル。どこのどいつだ?」
やった!ナンバーズの人だ!
「ガザニアです!少しお借りしてました!」
「その後ろのは?」
「敵です!まともな武器持ってなかったんで対処お願いします!」
「了解。お前は死んでもNPC共守り抜けよ!」
NPCのほうが大事ですかそうですか
拠点から出撃したナンバーズは3機
「射撃準備。味方に当てるな」
「足が速い、装甲の厚さと釣り合ってないようだが?」
「どうでもいい、とにかく足を遅らせろ」
3機の一斉射撃が始まる
大口径のキャノン
貫通力の高い大型ライフル
雨のごときガドリング
そのすべてが敵に直撃する
直撃し続けている
「効いてない?」
足が遅くなることはなく進み続ける
「新型の装甲?」
「NPCがそんなものを装備してるはずがないだろう」
敵は進み続ける
回避することも迂回することもなく進む
「対艦ライフルだ!足を吹っ飛ばせ!」
戦艦の主砲のような武器が撃たれる
それも足に直撃する
そうして敵は躓くように倒れる
「足を止めたぞ!」
「いや、転んだだけだ。無傷だ」
BWが対艦ライフルを食らえばどうなるかは俺にだってわかる
当たった場所が跡形もなく吹っ飛ぶ
もしくは衝撃で機体全体がバラバラに吹っ飛んでいく
「クソ、起きるぞ」
「対艦ライフルの衝撃は効いてる、それで行こう」
「ガザニア、お前も対艦ライフルもってこい、弾薬もありったけだ」
「わ、わかった」
「明らかにこいつはおかしい。全員動画を撮っておけ」
全員で交代して撃っていく
15発くらい撃っただろうか
「なんだ?敵が」
敵の外見に変化が現れた
機体の一部は透明になり網目のようなものになっている
「テクスチャが剥がれている?」
しかし依然として敵は進み続ける
進んで
吹っ飛ばされて
それでもまた進む
決して止まることなく
さらに20発
完全に敵のテクスチャはおかしくなり不気味さを感じさせる
「21世紀のゲームバグみたいなことになってるな」
もはやBWとは言えない存在になった瞬間に音もなく突然に姿を消した
「何だったんだあれは?」
「分からん」
「あとで会議だな。ガザニア、夜になったら皆集めるから詳しく説明してくれよ」
「え?あ、わかった」
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ゲームを終了させてHMDを外す
ダイニングに人の気配を感じたので1階に上がっていく
そこにいたのはプリシラとブレア
それと洋子さん
何やらニュースを見ているようだがすべて英語?なので詳しいことはわからない
多くの兵士が完全武装してフェンスを破壊して進んでいるようである
「何のニュースですか?」
分からないので聞く
「戦争」
「戦争?」
「また戦争が始まったのよ」
「今回は完全に日本は蚊帳の外だろうけどな」
2人には関係のあることだろう
進軍している中に白人の部隊も混じっている
「何処に攻めてるんです?」
「無法地帯」
それ戦争になんの?
「分からないけど、みんな目が普通じゃない」
テレビ越しでもわかる
これは憎しみがこもった目だ
よく報道されている事務的な表情じゃない
「転嫁戦争みたいにならないといいけど」