孤独のガザニア
新大陸に来てから自分のアイテムボックスを全く整理してないことに気が付いた
なので久しぶりに整理しようと開くと中身がえらいことになっていた
大量の運営からのお詫び系アイテム
毎日配給される消耗品
放置しすぎて腐った有機物アイテム
「うわ、満杯寸前じゃん。気づいてよかった」
しかし後悔しないとは言ってない
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「何時になったら終わるんだ・・・・」
終わらない
もう2時間整理しているが一向に終わらない
「1人でログインしてるから寂しいのも鬱屈する原因かなぁ?」
「すいません、少しよろしいでしょうか?」
そんな時に後ろから声を掛けられる
寮の仲間もナンバーズの人もログインしてないはずである
では別大陸のプレイヤー?
振り向いて名前を確認して答えがわかった
「ん?なんか集落に問題?」
名前はメイソン
名前横に勢力などは表示されてないのでNPCだ
ん?メイソンって確か
「あぁ、クレアの親父さん?」
「あ、はい。あの時はありがとうございます」
やっぱりか
「んで、何か用事?いま俺1人しかいないからできることは限られるぞ?」
「そうなんですか・・・実はここから遠く離れた場所に森がありまして」
「うん」
「そろそろ我々の食糧を補充したいと思いまして」
「いいよ」
「そんな簡単にいいんですか?」
「護衛と食料運搬すればいいんでしょ?」
「はい」
それくらいなら俺1人で何とかなる
敵プレイヤーがいなければこの大陸の敵は余裕だ
運搬を考えるとヤバルとユバルでは厳しいだろう
確か誰も使ってないバグウェルがあったはずである
それを頂こう
「BWの準備してるからそっちも行けるように準備しててくれ」
「はい、ありがとうございます!」
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倉庫の奥にちょっと埃のついたバグウェルが寝ていた
「えっと清掃モード起動して・・・・ペイントモード起動っと・・・」
その埃も一瞬で払われ塗装ブースが起動する
「色・・・色か・・・・・・ん~・・・森だし緑のが・・・あ、DPM-95迷彩じゃん。これでいいや」
いい感じに森っぽい迷彩塗装発見
「武器はサブマシンガンと中距離ライフルでいいな。背中は大容量のバックパックだな」
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「おまたせー」
集落のNPCはすでに準備を済ませていた
出会った頃は上半身裸の木の槍しかなかったのに
「見違えたなぁ」
「何か問題でしたか?」
「いや、初めて会った頃は槍投げつけられたっけなぁって・・・」
「あの時は本当に申し訳ありませんでした」
「いや責めてるわけじゃないよ。懐かしいなぁって思っただけ」
そんな会話を楽しんでいると何か声が聞こえる
「うぅ~・・・」
「だからダメだって、ね?危ないんだから」
「やだやだやだ!私も行きたい!行きたい~」
子供特有の甲高い声
ありゃクレアか
「何かあったか?」
「クレアが森についていきたいと我儘を言っておりまして。お恥ずかしいところを」
ふ~ん
「・・・・・いいよ?」
「え?」
「俺の機体に乗せれば安全だろうし。行きたがってる子供はクレアだけ?」
「え、あ、はい。クレアだけですが」
「じゃあ連れて行こう」
なぜこんなことを思いついたんだろうか?
当然下心である
シートに座る俺の上にクレアを座らせる
これが狙いである
クレアは気にすることもなく俺の上でキャッキャッとはしゃぐ
NPCとはいえクレアは美少女である
一度こんなリア充な展開を経験したかった
NPCならセクハラで訴えられることもないからネ
「すごいすごい!たかいたか~い!」
はしゃぎまくるクレア
とてもいい気分です
これアイアスに知られたら怖いな
って思いつつ森に向かって進む
他のNPCは馬で移動を始める
馬と言っても現実のような見た目ではなく
ところどころ堅い鱗のようなものがあり鋭い角が生えている
一応戦闘もできる動物のようだ
足はBWほど速くないのでこちらがNPCに合わせるカタチ
「すごいねコレ」
そんなことは関係なくハイテンションなクレア
「バグウェルってBWなんだ」
「バグう・・・ばぐうえる?」
「バグウェル。エをちょっとだけ早く言うんだ」
「ばぐうえ~る・・・ばぐううえる・・・ばぐ、ばぐう」
かわいい
「うう・・・びーだぶるって何?」
「BWはバトルウォーカーって意味。このでかいの全部をBWっていうんだ」
「この巨人はばぐうえるじゃないの?」
「クレアだって人間だろ?」
「あ、この子はびーだぶるのばぐうえるって名前!」
「せやせや」
すごいかわいい
「お兄ちゃんは?」
「ん?」
「お兄ちゃんのお名前!」
「ガザニアだよ」
「がざにあ・・・・ガザニアお兄ちゃん!」
これがリアルだったらどんなに幸せだったことか!