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デジャヴ

3月が始まりもう少しで卒業式

亜子先輩と奈々子先輩は卒業後は北海道の大学に行くのだという

二人の周りには毎日のように後輩たちが騒いでいる


「人気者だなぁ・・・」


なんとなく屋上で昼飯を食べてボーっと中庭を見てるとそんな言葉が出る


「人気者ですねぇ」


いつの間にか全く同じ姿勢ですぐ横にアイアスがいた


「突然現れるのやめてくんない?」

「わざとじゃないですよ?菊月君が鈍いだけです」

「ぁんだとゴルァ!」

「キャアイターイ」


頭をひっぱたくが全く痛くなさそうである

むしろこっちの手が痛い


「で?なんか用かよ?」


手のひらをさすりながら質問する


「あ、茶番終わりました?じゃあ本命に入りますね」


いつものニコニコ顔が消えて真面目な顔になる

それだけで突然自分の体温が下がったような気がした


「4月から学院やめて私とアス共和国に行きません?」

「は?」


何言ってんだこいつ?


「ん~・・・・正直このままだと菊月君には嫌な思い出ができると思うんですよね」

「あ~・・・遥先輩絡みか?」

「正解」


やっぱりか


「正直あの3人はいろいろ溜め込みすぎでもうそろそろ破裂します」

「断言すんのかよ」

「断言できます。アス共和国建国当時から世界中の人間を観察してきたスーパーコンピューターのアイアスちゃんが言うんだから間違いありません」


大した自信だなおい


「アイアスちゃんの存在意義は菊月君を最高の幸せを提供するためなのでそろそろ逃げたほうがいいんですよ」

「逃げるって・・・」

「大丈夫!アスだって日本ほどではないですが安心安全で経済も安定!」

「いや・・・」

「しかもアイアスちゃんの個人資産は億超えてますので一生働かなくても遊んで暮らせますよ?」

「魅力的な提案だけどさ・・・」

「なら今すぐパスポート取りに行きましょ?大丈夫戸籍関係は全部私が完璧にねつ造しますから」

「無理だって」

「無理じゃないですよ!ワタシに地球上でできないことは・・・あ、子供身ごもるのは無理か・・・それ以外ならできますから」

「無理だから」

「なんでそんなに頑なに拒むんですか?アイアスちゃんのこと嫌いになった?」

「そういう事じゃねぇんだよ!!」


あまりのしつこさに思わず声を荒げちまった

怖がる様子もなくアイアスは無表情に目を合わせてくる


「理由を聞かせてください」


まるで機械のようだ。いやこいつ機械だった


「だってこの学院楽しいだろ?」

「今のこの状況が?」

「今の状況は楽しくねぇけどさ。入学して、みんなと会って、馬鹿みたいに騒いで、ゲームん中でやりたい放題やって、その・・・・なんだ・・・お前と会って」


黙って聞くアイアス

自分が今から言おうとしてることに恥ずかしさを感じる


「俺ってさ、あ~・・・・バッドエンドって嫌いなんだよ」

「バッドエンドですか?」

「ん、ああ。やっぱさ、なんか嫌なんだよ。自分の知ってる奴が不幸になるっての」


------------


自分の記録にある古い会話と似ている


「ワシはね?大勢の人間に幸せになってほしい。結論を言ってしまえば世界の全ての人間を幸福にするのは不可能だ」

「その結論は子供でも分かる答えだと思いますが」

「だが身近な人間、家族、友人、知人くらいは幸せになってほしいもんだろ?」

「自分が苦労することになってもですか?」

「それでも・・・」


-----------


「自分が苦労することになってもですか?」

「そうだとしてもさ・・・」


「「やっぱり皆笑ってるのが一番だ」」

「・・・・・・・・・・あ~~・・・・・」


なんだその呆れたような顔は

畜生恥ずかしい

いつの間にかニコニコ顔に戻ってるし


「・・・うん、じゃあその願いかなえましょう」

「どうやってだよ?」

「世界中の人間を観察してきたスーパーコンピューターのアイアスちゃんに不可能なんて無いんですよ」

「さっき1個だけあるって言ってたじゃねぇか」

「あ、あれ?よく考えれば人口胎盤でも発明、小型化して私の下腹部に内蔵すれば体外受精的な感じで再現できますよね?」


無茶苦茶言い出したぞこいつ


「人道論理的な問題はありますが構想自体は今考えたので大丈夫です」

「その話はまた今度でいいから!遥先輩の件何とかなるんだろうな?」


また表情が変わる

さっきと同じ真面目な顔

でもさっきのような体温が下がるようなことはない

それどころか謎の頼もしさを感じる


「80%の確率で何とかできますよ」

「思ったより低いじゃねぇか」

「私だけが頑張った場合ですよ」

「協力者がいるのかよ?」

「目の前にいるじゃないですか?」

「俺ができることなんかたかが知れてるだろ」

「えぇ、菊月君が手伝ってくれれば80.000000000001%になります」


俺の価値ってそれだけか


「なので菊月君は手伝わなくて結構です」

「戦力外通告ですかそうですか」

「他のコネで協力者がいるのでそれで99.999%まで上昇しますよ」

「協力してくれるのかよ?」


直後にアイアスはすごい悪い顔になる


「弱みをしこたま握ってるんで嫌でも協力してもらえますよ」

「怖っ!」

「あとは菊月君が普段道理にみんなと接すれば100%です」

「戦力外通告じゃねぇのかよ?」

「一言も「そうだよ」なんて言ってませんよ?」


腹立たしいほどにドヤってやがる


「ついでですから根本的な原因もへし折ってしまいましょう」

「根本的?」

「菊月君たち一般人は知らないでしょうが遥先輩の問題ってすごい深いんですよ」


そんなにか


「どんな問題なんだよ?」

「知ったら世界中から口封じされかねないので言えませんね」

「そんなにヤバいのかよあの人」

「おっとぉ!菊月君怖気づいたぁ!」

「そりゃ殺されるかもしれんって聞かされたらなぁ」

「でもダメです。ダメダメです!何とかする。何とかしたいってぇ言ってしまったんですから菊月君はもう戻れません。このままアイアスちゃんと修羅道に落ちてもらいますよぉ?」

「修羅道!?」

「冗談です」


-----------

菊月君が誰かの幸せを願うように

アイアスは

ワタシは

chord.AIASは

貴方の幸せを願っているのです

だからあなたが願うとおりに

全てを叶えましょう

ワタシの持てるスベテを使って

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