syncope
画面の右上のタイマーがカウントされる
脳震盪・意識混濁・嘔吐のバッドステータスが表示されてから画面は真っ暗で音も聞こえない
いつ動けるようになるのかもわからないのでこのままログアウトするわけにもいかず
そんな状況で5分が過ぎたころ少しずつ画面が明るくなっていた
はっきり見聞きできるころには自分はNPCのテントに寝ていたのがわかった
「お、動ける」
体も問題なく動ける
「あ、ガザニア君目が覚めた?」
「見りゃわかるだろ」
すぐ横にはアイアスも一緒にいた
「戦況は?」
「ナンバーズの皆さんは犠牲無しで大破と小破がいくつかなんだけど・・・」
「歯切れが悪いな?」
「12時間後に私が死にます。多分」
なんで12時間後なんだよ
「あのぉ・・・自分の機体にプレイヤーの肉体が持たなくてこうなったわけじゃない?」
「あぁ」
とんでもない機体作ったもんである
まだまだ下手くそな俺であんな動きができる機体だ
ラシャプさんやエバーあたりがあんなの乗り回したら
「俺の知ってるゲームと違う!」
ってことになるだ・・・・
「あ・・・」
「気づきました?エバーさん死んじゃったんですよ」
「機体は?」
「戦闘では無傷です。戦闘終了後に戻るために跳躍して陸に着地した衝撃で即死しました。その時にバランス崩して機体も大破です」
フォローできないな
「エバーさんに殺されても12時間すれば生き返れるんで問題無いですけどね!」
そうだなぁ
ゲームの中でそれなら問題ないんだけどなぁ
「じゃあお前12時間ログインし続けるのか?」
「あ・・・・・・・・・・」
当然ログアウトしないといけない
明日は月曜日で学校があるのだ
そして俺たちは同じ屋根の下で生活しているのである
「どうしよう?」
「問題ないんだろ?頑張ってくれ」
「た、助けてください」
「2次災害の恐れがあるので辞退いたします」
アイアスが頭を抱えて悩んでいるときにNPCが入ってきた
「あの・・・大丈夫でしょうか?」
あ、こいつ確か敵BWの後ろにいたやつだ
メニューを開いて検索する
-クレア-
と、NPC特有の名前表示がされた
「そっちも無事だったようで何よりだ」
NPCは被害が出れば友好度が下がり
危険から助けると友好度が上がるそうだ
残念ながら友好度は表示されないのでどれだけ上がったのかは確認できない
「おや?巨人様も目が覚めましたか」
長老が入ってきた
「ん?そちらのか方は、た確かメイソンの娘メでしたな」
音声が一瞬おかしく聞こえる
「あ、なんか処理落ちした」
「私たちのHMDって第五世代だっけ?」
「らしいな、やっぱ今回のアプデは負荷が強すぎたか」
「とっととログアウトしたほうがいいね・・・したくないなぁ」
長老が心配そうにしている
「体調が優れないしょうか?」
「いや、長く行動しすぎただけだ。拠点に戻って休めば戻る」
「そうですか。仲間を助けていただきありがとうございました。他の方にもよろしくお伝えください」
拠点に戻るためにオリジン・セイバーに乗ろうとハッチを開く
「なにこれ?」
ハッチの中には黄色い液体が飛び散っていた
「デバフの嘔吐の影響ですね」
感触と臭いはないもののスティックやペダルを動かすたびに不快な水音と粘着音が聞こえる
「アイアス。ちゃんと耐G対策考えろよ?」
「全力で対策させていただきます。うえぇぇ・・・」