御者の練習
いつもありがとうございます
「お早う御座います、カミシロ様」
「お早う御座います、メイトさん、今日はよろしくお願い致します」
「ではこちらへ」
メイトさんが裏へ案内する
すると、1台の馬車が用意されており、御者席に一人の
男性が座っていた
「この者は当店お抱えの御者です、今回は当店の馬車で練習して頂きます」
「あなたがカミシロ様ですね、私はメイト様の御者をやっておりますユータカと申します」
「カミシロです、今日はよろしくお願い致します」
俺はユータカさんと握手をした
「では早速ですが私の隣に座り下さい」
俺はユータカさんの隣に座る
「まず、御者を行うにあたって一番重要なことが御座います、何かわかりますでしょうか?」
重要なこと・・・そういえば、競馬とかでは馬のコンディションや相性が重要だった気がしたな
「う~ん、馬との信頼関係かな?」
ユータカさんは驚いていた
「まさかいきなりそのような答えが返ってくるとは、普通ですと操縦テクニックと言う方が殆どなのですが、カミシロ様の言った通り、馬との信頼です、いくら操縦が上手でも言う事を聞いてくれる馬でなければ意味はありません、逆に馬との信頼関係が完璧ならばそれほど操縦技術は必要ありません」
やはりそうか、まあ生き物同士のやり取りだからな、機械とは違うだろう
「ですが、やはり最低限の操作は身に着けておかないと馬の負担が大きくなってしまいます」
確かに、気持ちは通じ合っても常に合わせて貰ってるばかりでは疲れるだろう
「幸い、馬とカミシロ様との信頼関係はすでにできているとのことでしたので、操作の基礎を覚えるだけですぐに操縦できると思います」
ウィンとボルはすでに懐いていたからな
「では、早速操作を教えます、私がお手本を見せますのでやってみて下さい、まずは前進から、両手の手綱を上下に一度振ります、は!」
馬が進み始めた
「速度を上げるときは前進している状態で再度両手の手綱を上下に振ります、は!」
スピードが上がった
「速度を下げるときは、両手の手綱を軽く引きます、は!」
スピードが下がった
「右に曲がるときは右の手綱を引きます、は!」
馬が右に曲がっていく
「左に曲がるときは左の手綱を引きます、は!」
馬が左に曲がっていく
「曲がるのを辞めるときは引いてる方の手綱を元に戻してください」
曲がっていた馬がまっすぐになった
「馬と止めるときは両手の手綱を馬が止まるまで引いて下さい」
徐々に馬が止まった
「後ろに動く場合は、止まった状態で更に両手の手綱を引いて下さい」
馬が後退しだした
「これが基本の操作になります、では早速やってみましょう」
ユータカさんと席を変わる
俺の人生初となる馬の操縦だ、内心ドキドキしている
俺は手綱を上下に振った
「は!」
馬が歩き出した
「おお~」
思わず声が出た、少しスピードを上げてみよう
「は!」
馬のスピードが上がった
思ったより早い!
「ちょ、思ったより早い!」
「そうゆう時は速度を落とすのです、両手の手綱を軽く引いて下さい」
俺は言われるがまま手綱を引いた、何故か右だけ・・
馬がスピードを保ったまま右に曲がる
「え?曲がっちゃうの~」
「カミシロ様、両手の手綱ですよ」
ユータカさんは冷静だった
「は、はい」
今度は左の手綱を引いた
馬がスピードを保ったまま左に曲がる
「なぜ~、両手で引いてるのに~」
引いてはいなかった、人間テンパると予期せぬことが起きるものだ
「カミシロ様、両手の手綱ですよ」
「は、はい、今度こそ」
両手で手綱を引いた
馬のスピードがどんどんゆっくりになる
俺はそのまま引き続けた
馬が停止した
「はぁ、思った以上に難しいですね」
「最初は皆そんなものですよ」
このあと、何回か焦りながらも馬車の操縦を覚えていった
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「もう完璧になりましたね、1日で出来る様になるとは流石です」
「いえいえ、ユータカさんの教え方が素晴らしかったからです、有難う御座います」
俺達は握手を交わした
するとメイトさんが現れた
「どうやら操縦を覚えられたみたいですね、おめでとうございます」
「メイトさん有難う御座います」
「では、馬車を用意してありますので早速お乗りください」
いよいよ俺の馬車に乗るときが来た!
馬車小屋に向かう
ウィンとボルが俺に気づき嬉しそうに鼻息を出していた
「ウィンにボル、待たせたな、さあ俺の家に行こうか!」
「「ヒヒ~ン」」
2頭は嘶いた
俺は御者席に座る、御者席は長時間座っていられるように、柔らかいソファーになっていた、天井も付いている為、日が当たらず雨も凌げる仕様だ
「メイトさん、色々とお世話になりました」
「とんでもございません、またお越し下さいませ」
俺は軽くお辞儀をし、手綱を上下に振った
「は!」
2頭が歩き出した
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「うん、快適だな」
パカラパカラと音を立て街並みを進んでいく
「そういえば、お前たちは何が好物なんだろう?」
馬といえばニンジンだが、確か果物も好きだったきがするな
俺は家に帰る前に店に寄ることにした
「いらっしゃい!立派な馬だねぇ」
ふくよかな女性が話しかけてきた
俺は馬車から降り
「すみません、馬が好きそうな食べ物はありますか?」
「そうだね~、ロットとベジンなんか食べるね~、あ、あとワッフルとかも大好物みたいだよ」
「そうですか、じゃあロットとベジンとワッフルを全部下さい」
「ひゃ!ぜ、全部かい!」
女店主が驚いていた
「ええ、全部下さい、いくらですか?」
「ま、まあうちとしては買ってもらうなら構わないんだけどね~、全部で金貨1枚でいいよ」
俺は金貨1枚渡し、大量のロットとベジンとワッフルを受け取った
「有難う、またくるよ」
「まいどあり~」
俺は馬を進ませた
「折角だし、ワッフルをあげてみるか」
俺は馬車を止め、ワッフルを取り出した
「ほっ!」
2個を空中に投げ、短剣で4当分にカットし、両手に乗せた
「ほら、ウィンにボル、ワッフルだぞ」
ウィンとボルは嬉しそうに食べ始めた
おお、気に入ったみたいだな
「お前たちは大切な仲間だ、いっぱい食べて色んな所に行こうな」
食べ終えた2頭は頬ずりしてきた
「さ、家の帰ろう」
再び馬車を進めた
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「はい、ドウドウ」
両手で手綱を引き馬を停止させる
俺は御者台から降り、門を開けた
馬を門の中に引き入れ、門を閉める
そして再び御者台に座る
「ここが俺の家だ、じゃあ行くぞ!は!」
手綱を上下に振る
馬は石の道をゆっくり進む
玄関の前に到着した
「少し待っててくれ」
俺は2頭の鬣を撫で、家に入っていった
「おかえりなさいませ、和弘様」
「おかえりニャ、ご主人様」
「おかえりなさいませ、和様」
「おかえりなさぁい、和弘ちゃん」
「おかえり~、おにぃちゃん」
ん?何名か俺の呼び方が変わってるぞ?
「ああ、只今って、おお~」
何にびっくりしたかって?
ここはメイド喫茶か!
サリーやアンナだけでなく何故かシェリルやミュリア、更にリリアーナまでメイド服を着ていた
シェリルやミュリアは前回と同じのだな
サリーはデザインは同じだが膝までのスカートに真っ白なソックス、オーソドックスオなメイドだった
清純さが全面から溢れ出ているようだ
アンナはシェリル並みにこぼれそうな胸が強調され、見えそうで見えないくらいの絶妙な長さのスカートを履き真っ白なサイハイソックスがむっちりとこれまた胸と同様に強調されていた
リリアーナは・・どこのお人形さんなのだろう、130cm程度の身長に少し大きめの服がとても可愛い、長いロングスカートからは、くるぶしの上くらいまでの靴下がちらりと見えていた
はっきり言おう全員似合っていて素晴らしい
「全員似合っていて素晴らしい」
また声に出してしまった
「あ、有難うございます、嬉しい・・・で・・」
「これでぇ抱いてくれるのかしらぁ」
「おにぃちゃん照れるよ」
3人共顔を赤くしていた
「どうですか?和弘様?」
「皆可愛いニャ」
やばい、5人も美女がいるとオーバーヒートしそうだ、しかもメイド服
「うん、シェリルにミュリア有難うな」
俺は理性を保ち、2人の頭を撫でた
「はぁう、嬉しいです~」
「にゃぁう、嬉しいニャ~」
俺は気を取り直し
「皆買い物に満足したみたいだな、今度は俺が皆を驚かす番だ!さぁ、皆外に出てみて」
俺は玄関の両扉を勢いよく開けた・・・・




