閑話 ミュリアの人生3
いつもありがとうございます
閑話を引き続きお楽しみ下さい
ラインハルトは道中、ずっとシェリルいう女性を口説いていた
「私は和弘様を愛しております、関わらないで下さい」
そんなことで引く男ではない
「こんな奴のどこがいいの?俺の方がイケメンだよ?」
たしかに、顔はラインハルトの方がいいかもいれない
「私にとって和弘様が世界一カッコいいです」
彼女は当たり前のように言いきった、そこまでの人なのかな?
「そうかなぁ、彼すごく弱そうじゃん、ってかオーク倒せるの?そんな奴より俺の方が強いから守ってあげるよ」
いや、貴方も1人で討伐してないじゃないか
「はぁ~、君さぁそもそも2人も彼女連れてるのに人の彼女ナンパするってどうゆう神経してるの?そんな奴にシェリルがついて行く訳ないじゃん、ちょっと考えれば分かるじゃん、てか頭悪いの?馬鹿なの?」
男の方が呆れた声で言ってきた、でもこいつにはそんんな常識は通用しないですよ
「貴様ぁ、調子に乗るなよ俺がその気になれば即殺せるんだぞ!」
いやいや、貴方の実力も微妙ですよ、私が奴隷でなければさっさと殺してますから
「いやいや、そうゆう話じゃないから、とりあえず彼女2人いるのに人の女をナンパするのはなぜか?ってことに答えてよ」
この人はなんでこんなに冷静なのだろうか?
シェリルという女性ももの凄く冷静である
「そんなもの貴様には関係ないだろ!」
「いや、関係あるから、やっぱ馬鹿なのか?」
すごい、この人は相手を逆撫でるのが旨いのかな
「この世界のいい女はすべて僕の物になるべきなんだ、だから貴様の女だろうが関係ない、引っ込んでろ」
これ以上は周りの目もあるからまずいかもしれない
2人の女は以前ニヤついたままだった
「シェリルほっとこ・・」
「そうですね・・」
「まて、まだ話は終わってないぞ、そこの女!僕の女になれ!」
「嫌です、私は和弘様の物です」
そんなにこの男の人がいいのかな?
「貴様俺と勝負しろ!勝ったら女をよこせ!貴様が勝ったら見逃してやる」
でたっ、ラインハルトの理不尽
「いやメリットないじゃん」
さすがに不味い
「ハルト様おやめください・・・今はクエスト中です」
私はこれ以上騒がしくなるのはまずい思い止めに入りました
いえ、それよりもこの男性に興味が沸いたのかもしれません
意見を言ってしまうとお仕置きされるのはわかっていたのに・・
私に酷いことした人族なのに・・
「貴様ぁ、奴隷の癖に僕に意見したなぁ」
案の定いつもの様に蹴飛ばされました、しかも彼とのやり取りで相当ストレスが溜まっていたのでしょう、いつもより強めでした
「ぎゃっ!!」
私は2メートルほど吹き飛ばされました、そして更に追い打ちをされました
「ぐっ!うぐっ!」
いつもより強い蹴りなので、このまま死んでしまうかもしれません、でもそれでいいかも
だってもう生きるのに疲れましたから・・・
すると
「おい、やめろ!死んでしまうぞ」
彼が止めてきました、助けてくれたのかな?
「僕の奴隷なんだ、貴様に指図される言われはない!!」
そう言いながら、再び蹴り始めた、そんなことでこの人止まるはずないですよ
私は意識がなくなりそうな感覚を覚えたころ
「お前たち何をやっている!!」
何処からか大きな声が聞こえてきた、気づいたらラインハルトの足が止まっていた
「ふん、おいミュリア!貴様は飯抜きだ!!あと貴様も覚えておけ、その女は必ず手に入れる」
私は薄れた意識のなか朦朧としていた
「大丈夫かい?」
彼が私に薬草を与えて回復させてくれていた
「あ、有難うございます、奴隷の私を助けて頂いて・・」
「いや、こっちこそ喧嘩を止めようとしてくれて有難う」
まともにお礼を言われたのは初めてかもしれない
私は彼が気になって仕方がなかった
「いえ、とんでも御座いません、失礼します・・・」
でも、きっとラインハルトが迷惑をかけてしまう
深く関わるのはよそう、きっといつもの様に彼女が奪われてしまうのだから
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この後、ラインハルト達はブリッツというリーダーに注意を受けていた
「おい、ギルド内での私闘は禁止されているのはわかっているだろ!俺達は今同じクエストをしている仲間なんだ、もう少し節度ある行動をしてくれ!次も同じことがあったらクエストから外すし、ギルドにも報告させて貰ううからな」
「はい、わかりました・・・」
ラインハルトは悔しそうにしていた
その分私は道中、気に入らないことがあるたびに蹴られていた
ん?今一瞬だけどものすごい殺気が飛んでいた気がしたのだけど
このクエストいそんな殺気を出す人はいたのかな?
ラインハルト達は気づいていないし、気の所為だろう
「よし、ここで食事を取り休憩をしたら作戦開始だ!」
各々が休憩の準備を始めた食事をする者、武器の手入れをする者、仮眠を取る者
「おい、ミュリア!お前は飯抜きだ!俺達の見えない所で休憩しろ!」
「はい・・・・」
私は1キロ程離れた場所で休憩するのだった
「お腹減ったニャ」
いつも食事は残りものか残飯が普通だったそれでもないよりはマシだった
今回みたいにご飯を抜きにされることもざらではない
「はぁ、辛いニャ、死にたいニャ」
もう人生に疲れていた、今回のオーク戦で目を盗んで死のう
私は心に決めていた
「どうしてこんな処で休憩しているんだ?」
え?なぜ?
「え?あっ、先ほどの・・・ハルト様が私に見えない処で休憩しろと・・」
声を掛けてきたのはあの男の人だった
「そうか、良かったら俺達も一緒に休憩していいかな?」
「ええ、ご一緒ましょう」
「あ、はぃ」
私は力なく答えた・・
すると彼は何処からかコップを3つ用意してくれた
「え?」
私の分かな?
さらに何処から出したのかわからないがご馳走を私の前に出してきた
「え?え?」
私の前には出来立てのオークやコボルトのステーキ、野菜スープ、ゴブリン肉のシチューとパン
涎が出ていたのに気づかなかった
「さあ、ミュリア食べるぞ」
「え?え?え?」
食べて・・・いいの?
「ん?どうした食べてもいいいんだぞ」
「そうですよ、食事は一緒に食べると美味しんですよ」
「いいのですか?」
私は恐る恐る聞いた、すると彼は満面の笑みで
「ああ、一緒に食べよう」
私はこの時の彼の笑顔は忘れないだろう
ステーキ肉を一口食べる
「お、おいしいニャァ」
ああ、こんなに美味しいのは生まれて初めて食べました
「ほら、いっぱいあるからどんどん食べな」
「このシチューも美味しいですよ」
シェリルさんがシチューを進めてた、彼女の表情も慈愛に満ちていた
なんて素敵な2人だろう
「凄いニャ、お肉が柔らかくてとろとろしてるニャ」
私は一心不乱にご飯を食べたのだった
「私のような奴隷に施しをして頂き有難う御座います、この恩は一生忘れません」
そう、こんな獣人の私にここまでしてくれるなんて、最後にいい思い出ができました
「そんなに気にするなよ、一緒に戦うんだ当然だよ」
「ミュリアー!いくぞ!でてこい!」
ラインハルトの声だ
「あ、そろそろ戻ります、本当に有難う御座いました」
もう心残りはない・・・ここで死ぬ決心はつきました
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「よし、いよいよオークの討伐だ、手筈通りやれよ!」
「はい・・・」
手筈通りとは私が囮や盾になることだ
「オークの群れだ!さあ、ミュリア行け!多少は倒しても構わんぞ」
これが最後の戦闘だろう、全力でやって殺されよう・・
私は意を決してオークの群れに飛び込んで行った
持てる力をすべて使うつもりだ
次々とオークを戦闘不能にする、たまに当たり所が悪く絶命するオークもいた
「おお、これは楽だな、こいつを買って本当に良かったぞ」
私の耳には何も聞こえない、ここですべてを出し尽くして死ぬのだから
30体くらい倒した時、周りにオークはいなかった・・
私は生き延びてしまった・・・
「はぁ、はぁ、はぁ」
「この数のオークをやるとは、まだまだいけるな!もっと奥に行くぞ!」
ラインハルトは調子に乗っていた
しかし、私としても有難かった、このままでは死ぬことは出来ないから・・・
「お!次の群れが攻めてきたぞ!さっきより多そうだ!」
私はラインハルト言う前に突っ込んでいった
10体目を倒したところで違和感を感じた・・・
「小娘の癖になかなかやるな」
金色の鎧をきたオークが話しかけてきた
「なんだ?あのオークはいやに偉そうだな?それに生意気にも人語を話してやがる」
オークは基本は話さない、ということは固有種なの?
「小娘、我が相手になってやろう、かかってくるがいい」
相手の威圧が飛んできた、ああ、こいつには勝てないな・・次元が違いすぎる
でも死ぬ相手にはちょうどいい
「なんだ?小娘、貴様まさか死にたいのか?目を見ればわかるぞ」
見透かされた!
私はあいつらに悟られまいとオークい向かっていった
ガキィン
「我らは女を孕ませなければならんのだ、死んでもらっては困る」
私の剣を軽々と受け止めたそして斧の柄を鳩尾にくらわされた
その衝撃はすさまじく、遠くに吹き飛ばされた
やはり私は死ぬ自由すらないのね・・・・
それならもう一度あの人達に会いたかったニャ
あのご飯美味しかったニャ
これから奴らに死ぬまで犯され子を産まされるのだろう
奴隷の為、自決することは許されない・・まさに永遠の地獄である
深い絶望とあの一瞬の幸せを思い出しながら意識を無くした・・・・
閑話はまだ続きます




