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第6部 究極の理想世界論説までのカウントダウン①【全人類に平等な富を】

 西暦1997年が終わりに近づいていたこの頃、私の頭脳は恐ろしいほど回転速度を高めており、ワールド・ルネッサンス実現のための新世界観を怒涛の勢いで発見し続けていた。


 


 

 まずは手始めに、貧困・格差というものを根絶させる方法から。


 


 

 貧困、失業者、経済的不公平━━これらをなくすにはどうすればいいのか?ずばり、貨幣というものをすべてなくしてしまえばいいのだ。


 


 

 貨幣さえなければ貧困も格差も消滅する。いたってシンプルである。そして貨幣のない世界で人類は、それぞれに生産したものをただで提供しあって生きていけばいいのだ。


 


 

 米をつくる仕事、パンをつくる仕事、野菜をつくる仕事、医者、教師、建築家、警察官など、この世の中には仕事は無数にあるが、それぞれの仕事に100人ずつくらいに分かれ、それぞれのグループが生産したものをお互いに提供しあえばいいのである。そのような社会を築けば、貧困と格差はいやでも消滅していく。


 


 

 たとえば地球の人口が4人だったとして、それぞれ農業、医者、教師、建築業という仕事に分かれていたとする。そして━━


 


 

 「私は食料をただであげるので、あなたは病気をただで治してください」━━「わかりました」


 


 

 「私は勉強をただで教えるので、あなたは家をただで建ててください」━━「わかりました」


 


 

 「私は病気をただで治すので、あなたは勉強をただで教えてください」━━「わかりました」


 


 

 「私は家をただで建ててるので、あなたは食料をただでください」━━「わかりました」


 


 

 ……この世界にお金など必要だろうか?必要ないはずである。貨幣制度をなくしてひとりひとりがなんらかの仕事につくだけで、この世界から貧困や格差は消えていくのだ。


 


 

 失業者もいなくなる。米をつくる仕事には何人ついてもいい。パンをつくる仕事には何人ついてもいい。野菜をつくる仕事には何人ついてもいい。仕事が見つからずに困る人間は完全にいなくなる。


 


 

 また、明るくはきはきした性格も必要ない。これまでの世界では明るくはきはきしていないと面接に落ちることが大半だったが、米をつくるのに、パンをつくるのに、野菜をつくるのに、明るくはきはきした性格など関係ない。やる気と素質さえあればいいのだ。


 


 

 ところで数ある仕事の中でも、ゴミ関係とトイレ関係の仕事はイメージが最悪である。よって、ゴミ・トイレ関係の仕事の人たちにはランクの高い生活をおくってもらう。


 


 

 ほかの人がいやがる仕事を代わりにやってくれている人たちなのだから、ほかの人たちよりいい暮らしをおくってもらうのは当然のことである。


 


 

 そして、女性は労働をする必要はない。女性には出産、育児、家事という仕事が生まれながらにしてあるのだから、それにつけくわえ生産的労働までこなさなければならないなどというバカな話はないだろう。


 


 

 女性は労働をしなくていいので、世界最古の職業といわれ続けてきた娼婦や風俗は消滅することになる。


 


 

 また、このことによってヒモと呼ばれる男も消滅する。女性は労働しなくていいので、これまでやってきた仕事をやめることになる。そのため女性の稼ぎに頼って生きてきた男たちは、これからなんらかの生産的労働につかないと生きていくことはできない。


 


 

 また、ヤクザやマフィアも消滅する。ヤクザやマフィアは生産的労働に貢献していないので、これからなんらかの生産的労働につく必要がある。


 


 

 このような世界を展開させれば、世界中の人間ひとりひとりがなんらかの仕事を持つことができ、豪邸に、高級車に囲まれた生活を一生おくることができるのだ。


 


 

 そんな中、質素な暮らしをおくってもらわなければならない仕事の人たちがいる。プロスポーツ選手や芸能人をはじめとする娯楽職業の人たちだ。


 


 

 もしも全人類がプロサッカー選手になってしまったら、社会の機能は停止してしまう。もしも全人類が映画俳優になってしまったら、社会の機能は停止してしまう。よって娯楽職業は厳密にはあってはならないものなのだが、世の中に娯楽は必要なのであり続けてよしとする。


 


 

 しかし、その代わり、自分のやりたいことをやれて生きれるのだから、ほかの生産的労働者とは対照的に質素な生活をおくってもらう。ゴミ・トイレ関係の仕事の人たちが住む家が大豪邸で、娯楽職業の人たちが住む家が小さなアパートといったところ。


 


 

 しかし、それでも娯楽職業が得であることに変わりはない。質素ながら一生の生活は約束されている上、有名になれる、人気者になれる、尊敬を集められる、歴史に名を残すことができるとメリットだらけである。


 


 

 最後に富裕層の人たちについて。彼らは現在の生活に満足していると思うので、わざわざ人類史的大革命を起こして現在の生活を変えるまでもないと考えていることだろう。


 


 

 しかし、私の考案した貧困・格差をなくす新世界観は、実は富裕層の人たちにもたいへんプラスに働くものなのだ。


 


 

 メリット①詐欺にあう心配がなくなる━━格差がなくなれば詐欺師もいなくなる。


 


 

 メリット②強盗にあう心配がなくなる━━エリートサラリーマンの夫が仕事で家にいない間、妻と子供が強盗犯に殺害された事件を耳にしことがあるが、格差をなくせばそのような悲劇はぜったいに起こらなくなる。


 


 

 メリット③誘拐される心配がなくなる━━身代金目的で子供だけでなく、大富豪の親が誘拐されてそのまま殺されたという事件をテレビで見たことがある。格差をなくせばそのような悲劇はぜったいに起こらなくなる。


 


 

 メリット④リストラの心配がなくなる━━どんな高学歴優秀ビジネスマンでも、いつリストラされるかわからないのが現在の世の中。しかし格差のない世界では、リストラという言葉自体存在しない。


 


 

 メリット⑤会社の倒産の心配がなくなる━━どんな大企業でもいつどんな理由で倒産するかわからないのが現在の世の中。しかし格差のない世界では、倒産という言葉自体存在しない。


 


 

 メリット⑥人類は同胞!やっぱり平等が1番!というわけで【イマジン】や【ウィー・アー・ザ・ワールド】をみんなで肩を抱き合いながらうたうことができる。


 


 

 【勝ち組】などと呼ばれる富裕層の人たちにも、格差のない世界ではこのようなメリットがたくさんあるのである。


 


 

 以上、これが私のたどり着いた貧困・失業者・経済的不公平を消滅させる究極の方法だ。これから世界は貨幣のないまったく新しい時代をむかえることになる。

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