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第6部 第2話【創価学会員、再び】

 キウチさんらとホロコースト展に行ってから1週間後くらいのことである。再び母の知り合いの創価学会員がメシア家にやってきた。


 


 

 その人は30歳くらいのクマハラさん(仮名)という男性で、最近子供が誕生したらしい。そしてクマハラさんは玄関に立ちながら話をはじめた。


 


 

 「メシアくんは創価学会のことを、池田先生を頂点にしたピラミッドみたいなものと思っているかもしれないけど、実はそうじゃないんだよ。池田先生のおかげで我々がこうして活動できるのであって……」彼は熱く続ける。「【たまごっち】にしてもね、ひとりの力で誕生したんじゃないんだ。多くの人たちが力を合わせてヒットしたんだ」


 


 

 それからクマハラさんはおかってのテーブルの椅子につき、さらに熱く語り出した。しかし話の内容はいまいちよくわからなかった。


 


 

 クマハラさんの熱弁がひとだんらくついてから私が口を開いた。


 


 

 「……あの、創価学会のすごさはなんとなくわかったんですが、私は、その、なんというか……自分が宗教の開祖として、自分の教えを世界に広めたいと考えているので」


 


 

 「へー、宗教を?」


 


 

 「まあ、創価学会を上回るような」


 


 

 「それでさ、メシア教でもなんでもいいからさ、宗教をつくっていったいどうするつもり?」


 


 

 「まあ、世界を変える、ということですかね」


 


 

 「それは今から10年以内ということかな?」


 


 

 「もっとかかるかもしれませんが、だいたいそのくらいですかね」


 


 

 するとクマハラさんはこういった。


 


 

 「起きないね」


 


 

 「は?」


 


 

 「起きないよ」クマハラさんはきっぱりといった。「ノストラダムスにしてもさ、あんなのがほんとに起きるわけないじゃん!」


 


 

 ノストラダムスといえば人類滅亡予言が真っ先にイメージされるが、この頃発売されていたノストラダムス本の傾向は破滅的な内容より、【新しい時代が到来する】的な内容なものが主流だった。クマハラさんはきっとそのことをいっているのだろう。


 


 

 「そんなことよりさ、創価学会だよ!」クマハラさんは激烈にいった。「100人や200人じゃないんだよ!何百万という人をだませると思う?これよりいいのがあるんならほかの宗教やってるよ!」


 


 

 ややたってからクマハラさんがいった。


 


 

 「メシアくんは尊敬する人とかいる?」


 


 

 「尊敬する人ですか……」


 


 

 「自分、とかいうつもりじゃないだろうね?」


 


 

 「いや……」私はしばらく考えてからいった。「いろいろいますが、ひねったところでは武田信玄ですかね」


 


 

 「ああ、武田信玄ね。今の時代、ああいう生き方をする男はなかなかいないからね」


 


 

 そんなことをいいながら、おそらくクマハラさんは武田信玄の生涯をまったく知らないと思われる。


 


 

 「僕はね、織田信長なんだよ。織田信長なんだよ!」


 


 

 それからしぶしぶクマハラさんの車で、創価学会の平和会館に訪れた。実に小学生のとき以来のことだった。


 


 

 この頃、選挙期間中らしく、創価学会の公明党の応援がおこなわれていた。


 


 

 数日後、私はクマハラさんとカラオケに行くことになるのだが、そのときひとつの事件が起きるのであった……。

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