第5部 最終話【四次元の視点】
【全人類を一夜のうちに滅亡させる新世界観】を発見した当初は意識したことはなかったのだが、それから数ヶ月かたつうちに私の中で“新しい視点”が生まれるようになっていった。
その“新しい視点”というのはうまくいえないのだが、私ひとりだけが身長1000メートルくらいある別格の超巨人で、地上を悠然と見下ろしながら生活しているような感覚に包まれていった。
それからいろいろ調べるうちに、私の視点はどうやら【四次元の視点】というものに近いことがわかるようになってきた。
私の視点と四次元の視点は厳密には異なる可能性はあると思うが、ほかに適当な呼び方が思いつかないので【四次元の視点】でいこうと思う。
そしてこの頃、四次元の視点からまた新たな世界観をふたつほど発見することに成功していた。ひとつ目は【墓の矛盾】。
墓━━これから人類は地球上に建てられているすべての墓を取り壊さなくてはならない。
人間がひとり死ぬたびに墓をつくり続ける━━そんなことをくり返していたら、いつしか地球上のすべての土地は墓で埋めつくされ、人間が住む土地がなくなってしまう。
そんなアホな?これは否定不可能の完璧に論理的な絶対的事実。よって地球上のすべての墓をなくさなければならないのである。
このことに気づけたのも、地球全土を一瞬で見渡せる四次元の視点を持つがゆえだ。
四次元の視点から発見した新世界観━━ふたつ目は【いじめを根絶させる新世界観】。
たとえば地球の人口が10人だったとする。たったの10人だ。
そのうちのひとりZ(仮名)という奴が、ほかの9人に連日にわたって罵倒と暴力を浴びせていたとする。
この場合、ほかの9人はZの罵倒と暴力にじっと耐え忍びながら人生をおくるのだろうか?そうはしないはずである。9人は一致団結してZを捕らえて牢獄に閉じ込めるなり、殺害するなりするはずだ。そうでもしないと9人全員が自殺、つまり人類が滅亡してしまうからである。
つまり罵倒や暴力などのいじめを根絶する方法とは、死刑制度をはじめする法律を現在より格段に厳しくすることなのである。たったのそれだけでいじめは消滅する。いじめをおこなった途端、死刑や懲役を下されてしまうわけなのだから。
私がなぜこの新世界観を発見できたのかというと、世界中を一瞬で見渡せる四次元の視点があるからだ。
たったひとりの人間のいじめが原因で、世界中の全人類100億人が自殺してしまう可能性がある。もしも自殺してしまったら、その時点で人類は滅亡してしまう。よっていじめはぜったいにあってはならず、いじめをおこなった者を限りなく厳しく罰する必要があるのだ。
無論、100億人が一斉に自殺をすることなど現実にはありえない。しかし、9人だけなら充分にありえる。
地球の人口が10人だろうと100億人だろうと変わりはない。たったひとりの人間のいじめが原因でその他全員が自殺してしまう可能性が0・000001%でもある以上、法律を格段に厳しくしていじめをおこなった者を罰さなければならないのである。
私がこの文を書いている今もなおいじめに苦しんでいる人は無数にいるだろうし、それどころかみずから命を絶っている人も無数にいることだろう。
しかし安心してもらいたい。私の発見した【いじめを根絶させる新世界観】は論理的に無敵であり、いずれ必ずこの世界に確立されることになるから。




