第4部 最終話【全人類を一夜のうちに滅亡させることができる新世界観】
西暦1996年の春のある日のことだった。私はその日、朝から笑いが止まらず、1日中ひとりでクスクスクスクス笑い続けていた。そんな私を家族は気味悪がっていたが、私は笑いを止めることができなかった。
私はこの頃、なんということか、なんということか━━
ついに、ついに━━
人生最大の目標に掲げていた【人類を滅ぼす究極の方法】を考えつくことに成功したのである!これぞメシアの新世界観記念すべき第1号【全人類を一夜のうちに滅亡させる新世界観】である!
……『全人類を一夜のうちに滅亡させる方法を考えついただと?なにとち狂った寝言をいってるんだか(笑)』と、ほぼすべての人が一笑にふして相手にしないのだろう。しかし、笑いたいだけ笑うがいい。なんとでもいうがいい。
私は西暦1996年の春、本当に全人類を一夜のうちに滅亡させる方法を考えつけたのだ。
私は人類を一夜のうちに滅亡させることができる。
私は人類を一夜のうちに滅亡させることができる。
人類を一夜のうちに滅亡させることができるといったらできるのだからしかたがない。
人生と人間に絶望し、世を憎み、人類を滅ぼしてやろうという野望に燃えてから1年と数ヶ月。私はそれまでありとあらゆる角度から人類を滅ぼす方法を毎日毎日、くる日もくる日も、血まなこになって考えに考え続けた。
当初は宇宙人に協力してもらおうと、宇宙人と交信をはかったりなどもしたのだが、やがて現実的な視点から人類を滅ぼす方法を模索するようになっていった。
その死に物狂いの努力が実り、ついに、ようやく、西暦1996年の春に究極のゴールにたどり着けたわけである。これで狂喜を爆発させ、笑うなというほうが無理な相談だろう。
しかし、これだけ書いても、やはりにわかには信じられないことだろう。
私は11月生まれなので、【全人類を一夜のうちに滅亡させる新世界観】を考えつけたときはまだ18歳になっていない。17歳だった。
日本の、東京の、とある町に住む、ひとりの17歳のどこの馬の骨とも知らない子供が、人類を一夜のうちに滅亡させる方法を考えついた━━こんな話を信用する人間のほうがある意味異常だろう(笑)
しかし、懐疑的な方たちにはたいへん申し訳ないのだが、私は17歳のとき、本当に全人類を一夜のうちに滅亡させる方法を考えつけてしまったのである。どこの誰がなんといおうと、これは揺るがない明白な真実だ。
ちなみにこの【全人類を一夜のうちに滅亡させる新世界観】の詳細は、私の直属の部下と私の後継者、つまり【時期世界天皇】になる人物くらいにしか教えることはできないのであしからず。
……ただ、ひとつだけヒントを与えようと思う。
西村京太郎という作家の推理小説【華麗なる誘拐】というものの中に、【日本国民1億2000万人を誘拐するトリック】が出てくるのだが、そのトリックと私の【全人類を一夜のうちに滅亡させる新世界観】は、少しだけ似ているところがあるのだ。
西村京太郎の【華麗なる誘拐】━━【全人類を一夜のうちに滅亡させる新世界観】の詳細に迫りたい人は読んでみるといいだろう。




