表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/57

第3部 第8話【皆殺し】

 西暦が1995年に突入━━相変わらず壮絶な絶望にうちのめされていた私は、この頃からちがう方向に思考を傾けるようになっていった。


 


 

 それまでの私はいかにして混沌とした世界を変えられるか?ということを考え続けていたのだが、1995年から【いかにしてにっくき人類を滅ぼせられるか?】ということを考えるようになっていった。


 


 

 私の頭の中は中学時代と建設会社時代のあざけりの記憶で支配され、四六時中人からバカにされる苦しみに襲われ続けていた。そんな生活をくる日もくる日もおくっているうちに人間が憎くなり出し、『自分の手で人間どもを根絶やしにしてやる』と思いはじめるようになったのである。


 


 

 そんな私は建設会社時代に見ていた【幽遊白書】というアニメを思い出していた。その中に【人間が人間を笑いながら惨殺するビデオテープ】というものが出てくるのだが、それを見て人間に絶望した仙水という登場人物が人類滅亡を画策。その仙水の名台詞に次のようなものがある。


 


 

 「皆殺しだ。皆殺しだ。女も子供も妊婦も神父も。掘っても掘っても足りないほどの墓を立ててやる。掘っても掘っても掘っても掘っても……」


 


 

 自分をあざけた人間たちへの憎悪、殺意、怨念の炎で体中が燃え盛り続けていた当時の私にとって【皆殺し】という言葉はとても気持ちがよく、苦しみに襲われるたびに『皆殺しだ!』と口にし続けるようになっていった。


 


 

 しかし、具体的なものはなにもない。この頃ゲームクリエイターの通信講座を受けており、私のゲーム案が先生から大絶賛を受けていた。とりあえずゲームクリエイターとして成功をおさめて大金を得、巨大な船を建造して謎の未来都市を探すことにしていた。


 


 

 それは中学時代の社会の先生のお話で、北極海かどこで遭難した人たちが目が覚めると、SF映画に出てくるような未来都市にいたというのだ。船でその未来都市に行き、そこの人たちの科学力を貸してもらって人類を滅ぼす━━それが人生の目標になっていた。


 


 

 今思うとなんとアホらしいことを考えていたのかと苦笑してしまうが、学歴もない、コネもない、金もない、友達もいない、そんな自分にほかになにができるというのだ?私はゲームクリエイターとして名をあげ、手に入れた大金で船を建造して未来都市を探す━━これを実現させるべく前に足を進めていった。


 


 

 皆殺しだ、皆殺しだ━━この言葉を1日中ぶつぶついい続けている自分に気づくまで、私は少々の時間を要していた……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ